【暗黒騎士団VS反逆のレジスタンス】 吸血鬼アンデッド軍団と最後の人類は、たった一人でも戦う

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デブにゃーちゃん
デブにゃーちゃん

第149話 窮地に陥る第三小隊

公開日時: 2024年7月10日(水) 22:15
更新日時: 2024年7月13日(土) 11:53
文字数:3,872


「さっさと、俺達のためにくたばれ」


「そいつはゴメンだねって……え?」


 ワータイガーにより、フロスト中尉は投げ飛ばされてしまう。



「う……」


 フロスト中尉は、投げ飛ばされてしまい、事務机が割れるほどの勢いで、ぶつかった。



「中尉、無事ですかっ!」


「雑魚は黙ってろっ!」


 ネージュ準尉が心配する中、ウィザードは魔法を放つことを止めず連続で攻撃してくる。


 火炎、雷撃、風刃などの魔法で牽制してくる奴を誰も止められない。



 奴は、かなりの使い手らしく、強力な一撃を連続で放つだけでなく、攻撃範囲も広い。


 それだけに、中々反撃に移れず、ネージュ準尉たちは焦る。



「このままじゃ、遮蔽物まで破壊されちゃう」


「それに、後ろからも」


「不味いわね、挟み撃ちにされちゃう」


「私の魔法より上の威力だし……」


 前方からは全体攻撃魔法が連射され、後方からも敵部隊が近づいてくる。


 ネージュ準尉は何とか反撃しようと隙を伺うが、敵ウィザードは休む気は無さそうだ。



 ミアとベーリット達は、前に立つ敵をだけではなく、後ろから来る敵部隊の攻撃を警戒する。


 兵種が同じウィザードである、シモーネも魔法を撃つ暇がないほど、敵の魔法攻撃は凄まじい。



「オラオラ、どした? そんなんじゃ俺たちは倒せないぜっ!」


「早く、お前ら全員、俺の魔法で死んでしまえっ!!」


「あっちでも戦闘が行われているっ!」


「援護に向かうぞっ!」


 ワータイガーは、腰からを両手でイングラムを取り出すと同時に撃ちまくる。


 それに合わせて、ウィザードも火炎放射器みたいに、火炎魔法を横凪に放つ。



 こうして、事務机が燃え始めると言う絶対絶命のピンチに陥った、第三小隊だが。


 運悪く、前進していた敵部隊が、いよいよ自分たちの真正面へと近づいてくる。



「うげげ、本格的にヤバいわね」


「この二人も意識がないわ」


 ミアは、後ろから聞こえる声に対して、非常に険しい顔になる。


 シモーネも、満身創痍で動けない、レオとカルミーネ達を心配する。

 



「ハッハーー! このまま挟み撃ちにしてやるぜっ!」


「お前たちは終わりだょ?」


 ワータイガーは、残弾が空になる度に、新しい弾倉を装填しながら、イングラムを撃ち続けていた。


 ウィザードも、多様な魔法を射ちまくっては、遮蔽物を徐々に破壊していた。



「よ…………」


 しかし、直後どこからか音もなく、射撃が跳んできて、ウィザードの頭を横から矢が貫いた。



「はっ? 奇襲っ! さっきのスナイッ?」


 ドンと言う大きな音が響くと同時に、ワータイガーは崩れ落ちるように倒れた。



「きっと、レギナとミネット達だわっ!」


「それより、負傷者を連れて前進するわっ! 撤退よっ!」


 ミアが叫びながら、レオを引き摺り始め、ネージュ準尉は、直ぐさま撤退命令を下す。



「フロスト中尉? 無事ですか?」


「う……うぅ? 無事だよ? 大丈夫だ、自分で立てる」


 ネージュ準尉の問いに、後頭部を机にぶつけて気を失っていた、フロスト中尉は目を覚ました。



「全く……スマホも無線も使えない、これじゃハインドも呼べないぜ」


「こっちだっ! 敵が隠れているぞっ!」


「追い詰めろっ!!」


 フロスト中尉が愚痴を吐く間に、敵部隊が直ぐ側にまで迫っていた。


 無線は、妨害電波を敵が放っているらしく、味方司令部に連絡ができない。



 それにより、攻撃ヘリや負傷者を運ぶヘリも呼ぶ事も叶わない。



「チィッ! しつこい連中だっ! ネージュ、シモーネ…………援護を頼むっ!! ミア、ベーリット達は二人を運べ」


 フロストは、命令を下しながら、割れた事務机から、MABモデルD拳銃を右手で構える。


 こうして、突撃してくるのであろう敵部隊を、警戒しながら待つ。



「了解、援護に着きます」


「分かりました、ここからなら魔法の方が……」


「私達は、お先に」


「了解、負傷者を後送しますっ!」


 ネージュ準尉は、P90を両手で握ると照準を覗いて机の陰から敵を待ち構える。


 立ち上がった、シモーネは背中にARー10NATOライフルを回すと、右手を前に出す。



 その間に、ミアとベーリット達は重傷を負った、レオとカルミーネ等を連れ出す。



「レオ、頑張りなさいっ!」


「カルミーネ、確りしてっ!」


 ミアは、レオを背中に背負いながら後方へと、素早く走っていく。


 ベーリットも、カルミーネを引き摺りつつ、後ろに下がってゆく。



 それぞれ、二人を彼女達が後送している間にも、敵は刻一刻と迫る。



 さらに、カランカランと妙な物音がした。



「不味い、閃光手榴弾《フラッシュバン》だっ!」


「きゃっ!」


「め、めめ目がっ?」


 目映い光が辺りを白く照らし、フロスト中尉たちは怯んでしまう。


 それに、負傷者を運んでいた、ミアとベーリットたちは目をやられてしまった。



 ネージュ準尉とシモーネ達は、目を瞑ったり、腕で顔を隠したために無事だった。



 だが、耳をやられた、二人もまた一瞬の隙を作ってしまう。



「突入する、援護しろっ!!」


「突撃だあっ!!」


「行け、行け、今が好機だっ!」


 閃光が消えると同時に、何人もの連合軍兵士たちが室内に雪崩れ込んで来た。


 彼らは、AK47で武装しており、それを乱射しながら、アチコチにひたすら走っていく。



「うわっ! 凄い数だ…………」


 MABモデルD拳銃を、敵に向かって、目を瞑りながら、フロスト中尉は素早く何度も撃つ。


 ネージュ準尉も、敵に反撃するべく、P90を撃ちまくった。



 同じく、シモーネも雷撃や氷結魔法を放って、敵を押し留めるべく応戦する。



「効くかよっ!」


「このくらいっ!!」


「ダメだわ、まるで全然効いてないっ?」


「何なのよ、コイツら……」


 銃撃や魔法を何発喰らっても、敵は怯む事なく突っ走ってくる。


 まるで、攻撃が効いてない幻かの如く、無限に沸いてくるかと思うほど、走る敵。



 ネージュ準尉が持つ、P90から放たれた弾丸が全く効かない。


 同様に、シモーネが氷結魔法の氷柱《つらら》弾丸を乱発しても効果がない。



「援護するっ! 俺なら魔法も弾丸も弾き返せるからなっ!」


 しかも、ミニガンを装備した敵のシュヴァルツ・リッターまで現れた。


 コイツには、軽火器での銃撃や半端な魔法攻撃では歯が立たない。



 爆弾や対戦車用兵器を持たぬ、軽装備の第三小隊に取っては、かなり強敵である。




「不味い、このままでは敵が圧してくるっ! ………は?」


 絶望的な状況の中、フロスト中尉は妙な音が聞こえてきた、向かい側にあるビルをチラリと見た。


 そこから、今度は大きな爆発音が聞こえ、噴煙がビル内から噴出するさまが見えた。



「うわっ! 今度はこっちに来るっ! みんな伏せろぉっ!! ぐわっ!?」


 向かい側のビルから跳んできた、RPGー弾を見て叫ぶ、フロスト中尉だったが。


 直後、大きな衝撃音が室内に響き渡り、灰煙が辺りを覆ってしまう。



「はあ? シュヴァルツ・リッターが粉々だと?」


「敵兵士も、何人か死んでいるわ? 後の連中は何処に?」


「と言うか、我々も早く逃げないとっ!」


「負傷者を連れてかないと、ならんしっ!」


 RPGー7から放たれた弾頭は、敵のシュヴァルツ・リッターに見事命中した。


 ようするに、RPGー弾が直撃した奴は、木っ端微塵に吹き飛んだのだ。



 周りの連合軍兵士たちも、爆風と衝撃に巻き込まれたらしく、死体と化していた。



 これにより、辺りは静まり返る。



 フロスト中尉とネージュ準尉たちは、死んだ敵部隊を見て呟く。


 ミアとベーリット達も、負傷者である二人を連れて行こうと、再び走り出す。



 後方から、何台もの黒いパトカーが車列を作って、やってくる。


 その最後尾には、黒色に塗装された、BTRー80装甲車が、二台も止まっている姿があった。



「援軍だっ! 敵は何処だっ!」


「ここの敵を押し返すぞっ!」


 一般の警察隊員が、何人も現れた後、医療チームもやって来た。



「負傷者は?」


「あの二人だ、かなりの重傷だ…………」


「二人とも、助けて下さい」


 医療チームのリーダーらしき、軍医みたいに白衣を着た、リッチが質問した。


 それに、フロスト中尉は傷ついて動けない、レオとカルミーネ達を指さす。



 到着したばかりの医療チームに、ミアは二人を治療して欲しいと悲痛な顔をしながら頼む。



「分かった……衛生兵、負傷者を搬送するっ! 自動担架を呼んでくれ、私はその間に治療を施す」


「了解しました、直ぐに呼びますっ!」


 軍医のように白衣を纏った、リッチは部下であるナース姿をした、リッチに命令を下す。



「……爆散したのは分かるが? 死体が少ない……」


 フロスト中尉は、ふと敵の死体が足りない事に気がつき、そちらに目を向ける。


 無限に到着する敵兵士たちの姿には、流石に驚かされたが、それらが死体と化した。



 その数が足りないから、彼は困り果てる。



 一人、彼は敵兵士が隠れていた、事務机の裏まで行くが、やはり死体が数体程度しかない。



 だが、その理由が分かった。



「そう言う事か…………やはり、化かされていたか」


 呟きながら、敵シュヴァルツ・リッターの吹き飛んだ場所を調べた、フロスト中尉。


 彼が目に入れた物は、数人の連合軍兵士たちが、火傷や破片が刺さって頃がっている姿だ。



 無論、既に事切れてはいるが、その中には、気になる死体があった。


 ソイツは、緑色の服装だったが、肩からは赤色をした派手な民族衣裳を羽織っていた。



 つまり、先ほどの戦闘では、敵ソーサラーが幻影を見せていた訳だ。



「さっきのRPGー弾が着弾して、上手く爆風に巻き込まれてくれたか?」


 ソーサラーも、全員がピエロのような姿をしている訳ではない。


 そして、今回は、アラビ人ソーサラーが敵に存在したわけだ。



 それが、運良く味方が放ったRPGー7による砲撃で散ってくれた。



 こうして、フロスト中尉たちは窮地を救われ、何とか助かったのだった。

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