【暗黒騎士団VS反逆のレジスタンス】 吸血鬼アンデッド軍団と最後の人類は、たった一人でも戦う

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デブにゃーちゃん
デブにゃーちゃん

第148話 敵と戦い、また戦い

公開日時: 2024年7月10日(水) 22:13
更新日時: 2024年7月13日(土) 11:55
文字数:3,602


 いきなり、機銃掃射が始まり、素早い連射がビル内に響き渡った。



「ぐわああああああっ!?」


「ぐぶぉっ!!」


「うぎゃあーーーー!!」


 帝国軍兵士たちは、大量の銃弾を浴びてしまい、さらなる攻撃を受けてしまう。


 次に跳んできた弾は、散弾銃から発せられた、無数の丸いスチール弾だ。



 この攻撃を受けた帝国軍兵士たちは、三名も戦死者を出してしまった。



「く、味方に何をするっ!」


「貴様、分かっているのか」


 残る二人の内、右側で床に伏せた兵士は、怒鳴りながら腰から、357マグナムを抜く。


 もう一人も、胸を撃たれて紅い血を流しながらも、AK200を構える。



「がっ!」


「ぐぶ?」


 しかし、生き残った兵士たちも眉間を正確に狙い撃ちされた。


 両方とも、脳天を撃ち抜かれた事により、紅黒い脳髄が後ろから吹き出る。



「危なかったわね…………敵ヴァンパイアの変装だわ」


「敵も、本格的に強化兵士を出してきたかぁ」


 そこに居たのは、銃を構えた、ネージュ準尉とフロスト中尉たちだ。


 ネージュ準尉は、ブローニング・ライフルド・ディアハンターの銃口を下げる。


 フロスト中尉は、MABモデルD拳銃を右手に構えつつ、壁に貼り付きいて、外の様子を探る。



「敵は…………」


 フロスト中尉が見た先では、路地を挟んで、ビル内から敵味方が銃撃している光景があった。



「ふん……ベーリット、ミア、二人は重傷のようだね? だが、敵はまだ来るようだぞ?」


 路地の敵を撃っている味方は、ヴラウリオとイェスパー達だろう。


 そう考える、フロスト中尉の目を向けた先に新たな敵が現れた。



「突撃っ!! あそこに隠れる敵を蹴散らすぞっ!!」


「援護するっ!! 散開しながら攻撃だっ!!」


 一人は、緑色の塗装を施されたオーガーであり、PKM汎用機関銃を撃ちまくりつつ走ってくる。


 さらに、もう一人はミニガンを装備した、緑色のシュヴァルツ・リッターだ。



「うおおおおっ!!」


「うらーーーー!!」


 オーガーは、突撃しながら乱射しているが、アレは自分に注目を集めるための囮だろう。

 

 対する、シュヴァルツ・リッターは凄まじい速度で、ミニガンの他銃身を回転させながら連射する。



 二人だけでなく、他にも連合軍兵士たちが、自動小銃を撃ちながら前進してくる。


 連中は、時おり物陰に身を隠しつつ銃撃して、互いに援護し合いながら近づく。




「今度は、総攻撃して来たか? ん…………シモーネとレギナだな」


 路上を進軍する連合軍部隊は、防弾装甲を持つ、二兵種を盾にするような形で進軍している。


 そんな中、連合軍兵士たちの頭や胸に遠方から弾丸と矢が放たれる。



「あぎっ!?」


「かっ!!」


 強力な一撃を受けた、連合軍兵士たちは簡単に死んでしまう。


 恐らく、進軍してくる連中も、ただの人間ではないだろう。


 奴等も、改造手術を施された、トーテン・シェーデル・ゾルダートだ。



 しかし、いくら強靭な肉体を持つとは言え、急所を撃たれれば、一溜りもない。


 フリッツ・ヘルメットを貫通する弾丸、首を貫く鋼鉄製の矢。



 これらを喰らった連合軍部隊は、多少は怯みながらも前進を止めない。



「不味いな、ヴラウリオとイェスパー達を援護しないとな…………全員、敵が我々の射線に入ったら、一斉射撃する……それまで指示を待て」


「了解、我々は待機します」


「獲物は固すぎて、大変そうですがね?」


 フロスト中尉は、壁から少し顔を出して、敵を睨みながら見つからないように警戒する。


 ネージュ準尉は、P90を構えながら膝だちになって窓の外を眺める。



 ベーリットも、まるで疲れたとような愚痴を吐きつつも、AGー3を両手で確りと握る。



「愚痴を言っても、しょうがない………………よし、今?」


「すぅ~~~~ぶしゅううぅぅぅぅ」


 フロスト中尉は、敵を充分に惹き付けたと思い、射撃命令を下そうとしたが。


 しかし、連合軍部隊から緑色の毒々しい煙が噴出し始め、連中は姿が見えなくなってしまう。



 どうやら、連合軍兵士の中にはグールが混ざって居たらしく、煙幕として毒ガスを吐いた訳だ。



「く、これじゃあ~~何も分からない…………レオ、カルミーネも重傷か…………よし、撤退だっ!! 二人を後送するっ!」


 一度、敵を撃退してから隙を作り、二人を搬送しようと考えた、フロスト中尉。


 しかし、余りに敵が多くて強いので、ついに撤退を決断した。



「ミア、ミネット、二人はレオ&カルミーネに肩を貸してやれっ! ネージュ、ベーリットは援護だっ! 行くぞっ!!」


 そう言いつつ、フロスト中尉は外に向かって煙幕弾を投げた。


 投げられた煙幕弾は、ガスを吐き出しつつ白い噴煙で辺りを包みだす。



「ヴラウリオ、イェスパー、撤退だっ! たく、我が隊にも通信機《インカム》が欲しいよっ!」


 そう愚痴りつつも、MABモデルDを何度も発砲した後、直ぐに走り出す。


 だが、そう易々と敵も見逃してくれるはずもなく、彼等を追撃してきた。



 窓から急に、ワータイガーが奇襲を仕掛け、フロスト中尉を蹴り跳ばしたのだ。



 さらに、ビル内を逃げる彼等の先からも敵が現れた。



「死ね、帝国兵っ!!」


「ぐわっ! クソ……」


「喰らえ、積年の恨みだっ!!」


「中尉っ! はっ!?」


 ワータイガーと揉み合いになった、フロスト中尉を助けようにも、部下たちは銃は撃てない。


 殴ったり、蹴ったりと、二人が激しい格闘を始めたからだ。



 さらに、黄色いベレー帽を被るウィザードが雷撃魔法を放った事で、容易には救出できなくなる。


 下手に、近寄ろうとしようとするなら、強力な魔法攻撃が跳んでくるからだ。


 しかし、ネージュ準尉はP90を構えながら横に飛んで、何とか雷撃魔法を回避した。



 こうして、出口を塞がれた、第三小隊の面々は逃げられなくなる。



「喰らえ、喰らえ、お前らは全員殲滅してやるっ!!」


「ヤバい、いったん身を隠さなきゃ燃えるっ!」


「コレは当たったら、氷で死ぬわっ!?」


 ウィザードらしき兵士は、一人だけで雷撃や火炎に氷結魔法まで乱発しまくる。


 これら、多数の魔法攻撃により、第三小隊たちは周囲にある事務机や椅子に隠れる他なくなる。



 机の上には、書類やノートPCが設置されていたが、魔法が当たる度に吹き飛ぶ。


 燃える紙が舞い、ベーリット頭を下げて、事務机に体を隠す。


 凍ったPCやキーボードなどが、氷とともに壁に当たって砕け散る中、ミアは床に伏せる。



「ヤバいな…………あのウィザード相手じゃあ、うちの連中が死んじまう」


「そうだ、お前たちは、ここで死ぬんだ」


 格闘しながら横目で、フロスト中尉は教え子らが無事か様子を確かめるが。


 その隙を突いて、ワータイガーは鋭い爪を真っ直ぐ突き出す。



「ぐ……だが、これしきっ!」


「隙を見せたら終わり何だよっ! まだまだ行くぞっ!」


 フロスト中尉は、右胸を鈎爪で切り裂かれてしまい、窮地に陥る。


 さらに、ワータイガーは、彼を確実に仕留めるべく次は喉を狙って右手を振り上げた。



「そう簡単に殺られるかっ!」


「やるなっ!」


 しかし、フロスト中尉は寸での所で、ワータイガーによる引っ掻きを、右腕を掴むことで止めた。



「ぐぅぅ………………」


「貰ったっ!」


 だが、フロスト中尉が思っていたよりも、ワータイガーの腕力は強く、段々と押され気味になる。



「うわっ! ダメか?」


「止めだっ!」


 そして、つかまれているにも関わらず、ワータイガーの鈎爪が、フロスト中尉に迫る。



 鋭利な爪は、後少しで彼の喉を切り裂くだろう。



「いや、それは俺の台詞だっ!」


「げふぅぅっ?」


 フロスト中尉は、ワータイガーの腹に膝蹴《ひざげ》りを喰らわせる。


 

「追撃だっ!」


「ぐわっ!」


 おそらく、自分達と同じく、ワータイガーやウィザード達も、痛覚は遮断されているだろう。


 フロスト中尉は、そう思ったが、流石に体へて伝わる衝撃までは止められない。


 痛みは無くとも、ダメージだけは伝わるはずだ。



 そう考えた、彼は強烈な一撃を放って、敵を見事に怯ませたのだ。



「今度は、そっちが隙を見せたな?」


「な、何をする気だっ!」


「は? まさか、人質にする気かっ?」


 腹を押さえた、ワータイガーの胸を掴んだ、フロスト中尉は勢いよく、コイツを立たせた。


 そして、背中をウィザードの方へと向けつつ走り始めた。



「その通りだっ!」


「ぐぅ? させるかぁっ!!」


 フロスト中尉とワータイガー達は、互いに両手を掴み再び格闘戦を演じ合う。



「ふざけやがってっ! 俺ごと野郎を撃ち抜けっ!」


「クソがっ! 分かったっ! 死ぬなよ……」


 ワータイガーは、自分ごと魔法で、フロスト中尉を殺せと、ウィザードに頼む。


 そして、奴は一瞬だけ怯むも、直ぐに様々な魔法を撃ってきた。



「ぐ、が…………」


「お前と俺、我慢くらべだ」


 フロスト中尉とワータイガー達の体を貫く、氷結魔法による氷柱弾。


 致命傷には至らないが、他にも放たれる火炎魔法や雷撃魔法は、二人の体力を徐々に削る。



「数の上では有利でも、俺たちの方が戦闘技術は上だな」


「悔しいが認めざる得ないな?」


 ワータイガーは、一気に両腕へと力を込め、フロスト中尉は押され始めた。

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