「ぐああぁぁ」
「がごぉーー」
「うわあっ!!」
「ぐおっ!?」
ナタンの機関掃射は、窓やベランダなどに身を隠す敵兵を、撃ち殺していく。
メルヴェの放つ榴弾は、屋根や屋上から敵を吹き飛ばして落下させる。
二人による奮戦により、帝国側の兵士は車列後方を攻撃できずに殺られてゆく。
「また、装甲車が殺られたぞっ!」
「燃えている…………」
味方PMC部隊が走らせていた、黄緑と深緑に塗装されたBTRー60が爆発した。
左右から帝国兵が、RPGー弾による攻撃に対戦車用の大型爆弾や地雷を投げたからだ。
そんな中、PMC要員たちは、周囲に銃を撃ちまくる。
「手榴弾だっ! 投げ返せっ!!」
「不味いっ! 早く何と…………うっお?」
「ぐわあっ!?」
「うわああああぁぁっ!!」
「きゃああああっ!!」
応戦していた、PMC要員たちは投げられた様々な爆発物に、大慌てで対処しようと躍起になる。
C4爆薬から収束型手榴弾まで、様々な爆発物が飛んでくる。
それにより、猛土の真下に、回転しながら転がり込んだ対戦車地雷が、車輪に踏まれる。
これで、たちまち車体が、下から爆発して吹き飛ぶ。
「前からBMPが来たぞっ!」
「大丈夫よっ!」
そんな声が聞こえてきたが、ついで爆発音が聞こえてくる。
「撃破したのか? お、撃ちもらさないぞっ!」
「これでも、喰らいなさいってのっ!」
ナタンとメルヴェ達は、通りすぎてゆく両側の建物に向かって攻撃を緩めない。
そうして、戦っている二人の体は、トヨタ・テクニカルに激しく揺さぶられる。
「あれが、破壊されたBMPかっ!」
「何を撃たれたのかしら?」
黒いBMPが炎上して、砲塔部分がなくなっているさまが、二人の目に映る。
だが、それに何時までも、見とれている暇はない。
ナタンは直ぐに、AAー52の銃口を右側に建ち並ぶ建物へと向け、火を吹かせる。
メルヴェも、後ろにダネルMGLを構えて、道路に飛び出た帝国兵を、榴弾で纏めて吹き飛ばす。
「まただ、避けろっ!」
「スカニアが破壊されたっ! ミサイルランチャーもダメだっ!」
「クソ、対戦車用の兵器がっ!」
前方にて、PMC要員らの苦戦している様子が、ナタンやメルヴェ達にも伝わってくる。
次いで、二人の体が再び揺らされ、破壊された大きなトラックが目に入った。
「殺られちまったか…………」
「燃えているわ…………」
ナタンとメルヴェ達は、味方部隊のトラックが破壊されているさまを見て、戦慄する。
スカニア、リジッドトラックの荷台にある銀色コンテナが、全体的に燃えている。
コンテナ側面には、細長い銃眼があるが、そこからも火が燃え盛っている。
上部には、回転式にされた、連装ロケット砲BMー14が、前後二機もあった。
しかし、後部にあった物は、RPGーか爆弾が直撃したのか原型を止めておらず、炎上している。
「空中から来たぞっ! ドローン部隊だっ!」
「ショットガンを装備しているぞっ!」
「気をつけてっ! 先に私達から狙われるわよっ!」
「ぐふぇっ!!」
「ごばああっ!?」
小さな鉄塔の後部に、飛行機が取り付けるような翼を備えた、ドローンが多数飛来する。
アルマース・アンチェイ製の対ドローン迎撃用ドローンだ。
鉄塔先端には、十発の弾倉を備えた散弾銃ヴェープル・モロトー12を搭載している。
突然の空襲に、PMC要員たちは空に、AKMやM16A3を向けて乱射する。
だが、銃撃は当たらず、飛来するドローンに散弾を当てられて、何人か死んでしまう。
「おいっ! アレを出せっ!」
「今出したっ!」
「何だっ! 空の奴らに対抗策があるのか? うわっ!」
「きっと、ショットガンでも出すきなのよ? きゃっ!」
PMC要員たちの会話を聞きつつ、ナタンとメルヴェ達は、飛んでくる散弾に身を屈める。
そんな二人が、顔を上げると、空を二台のドローンが舞う。
「何だ、あのドローンはっ!」
「知らないわっ! それより敵を撃って」
ナタンは、上空を舞うドローンに対して、AAー52を撃ちまくって、近寄らせないようにする。
そんな中、メルヴェは、ダネルMGLを建物に打ち込む。
肝心の味方ドローンは、火炎放射を放出しながら次々と、敵ドローンを撃墜していく。
これは、チィーナ製の安物ドローンに火炎放射器を備えた、昆虫駆除用に使われる兵器だ。
「ドローン対ドローンか?」
「そんな事より、後ろよっ! 後ろっ!」
ナタンは、AAー52を撃ちながら、丸焼きにされて、落下していく敵ドローンを見る。
メルヴェは、後方から追撃部隊が現れたのを視認した。
上空には、複数のホバーバイクが飛び、地上には、小型車両が後を追ってくる。
ホバーサーフ社製、ホバーバイクが六機も上空から飛来する。
その後ろには、カラシニコフ社製、フライング・カーが、一機だけ飛んでいた。
また、四台の黒い軍用ATV、AMー1が道路を疾走してくる。
「空と地上からっ! 空襲がまた来たのかよっ!」
「ナタン、殲滅するわよっ!!」
ナタンは、上空から迫る、敵ホバーバイク隊を機銃掃射で近づけないようにする。
メルヴェも、グレネード榴弾を、ATV部隊に対して、放ちまくることで距離を取らせる。
だが、敵も当然ながら攻撃してくる。
ホバーサーフ社製の黒いホバーバイク隊に乗った、隊員たちは近づきながら腰に手を回す。
白いバイクヘルメットを被り、黒いレーシングスーツを着た連中は、空から手榴弾を投げてきた。
「また、味方が殺られたっ!
「あああああっ!?」
「うわーーーー」
「空中から来るなんてずるいぜっ!」
トヨタ・テクニカルの運転中は、前を走る屋根なしハンヴィーが破壊されるさまを見て叫ぶ。
荷台に、手榴弾が落下して、乗っていた味方PMCたちが、爆撃で車ごと吹っ飛んだからだ。
左側の窓からMP5を乱射する、アシュア系PMC要員も、額から汗を流して愚痴る。
「お前たち、空と後ろは任せたぞっ!」
「分かっている、大丈夫だっ!!」
「もう既に、やっているってばっ!!」
ナタンはら上空のホバーバイク部隊に機銃掃射すると、運良く二機に機銃弾が当たった。
そして、車体ごと落下してくる。
メルヴェは、叫びながら険しい表情で、荷台の左脇にある弾薬箱を開く。
そして、中に入っていた40ミリ榴弾を、ダネルMGLの回転式弾倉に装填していく。
しかし、今度は地上部隊が攻撃してきた。
軍用ATV、AMー1部隊が、KBP、GMー94グレネードランチャーを撃ってきたのだ。
「うわ、気をつけろっ! 撃って来たぞっ!」
「上から来るわっ! 避けてっ!」
「分かってるが、どうにもならんっ!」
「うわあ…………」
ナタンとメルヴェ達は、トヨタ・テクニカルの運転手に、榴弾が飛んでくると伝える。
その様子を、怯えながらアシュア系PMC要員は見ていた。
発射された榴弾は、弧を描くように飛んでいき、前を走る車両に命中した。
「また、ハンヴィーが二台、やられたっ! 避けられんっ!」
「上からも手榴弾が来るっ!」
「さっきの火炎放射ドローンは?」
「そんなの当の昔に落とされているわよっ!」
円形交差点にまで走ってきた、トヨタ・テクニカルだったが。
運転手が言う通り、二台のハンヴィーが破壊されて横転しており、道を塞いでしまった。
しかも、上からは、ホバーバイク隊による手榴弾の投下が続く。
ナタンは、上空に味方は居ないのかと叫んだが、メルヴェはダネルMGLを撃ちながら答える。
「ぐわあ?」
ダネルMGLから発射された榴弾は、見事に一台のAMー1を破壊した。
そして、二人が乗ったトヨタ・テクニカルは、塞がれた道の右側を走ってゆく。
そこは、歯科医院の手前にある駐車場だった。
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