【暗黒騎士団VS反逆のレジスタンス】 吸血鬼アンデッド軍団と最後の人類は、たった一人でも戦う

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デブにゃーちゃん
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第43話 逃げ出した遊び仲間達は?

公開日時: 2024年7月9日(火) 20:19
更新日時: 2024年7月12日(金) 22:53
文字数:3,131


「レオはっ! レオはどうしたの?」


「レオは、やられた…………」


 ミアに一人、殿に残ったレオの安否を聞かれた、ナタン。


 彼は、レオが皆を逃がすために、帝国に捕まった事を、仲間達の前で話す。



「レオは帝国から俺達を助ける為に…………」


「そんなぁ…………」


 悔しがる、ナタンとミア達だが、しかし、悔しがったり悲しんでいる暇はない。


 もう直ぐそこまで、帝国による追っ手が迫っているのだ。



「とにかく先を急ぐぞ」


 ナタン達は、急いで学校から離れて、市街地へと向かう。


 街が、ノルデンシュヴァイク帝国軍とハンザ連邦軍が銃を撃ち合う戦場と化している事を知らずに。


 彼等が、逃げてきた学校付近は、帝国軍と反対勢力による戦闘が、散発的にしか発生してなかった。



 それ故に、彼等はまだ本格的な戦争が始まっている事が、理解でき無かったのだ。



「ノルデン帝国の奴等、追って来ないな?」


「多分? 他の生徒を捕まえるのに忙しいんでしょう?」


「いや? 奴等は俺達を油断させるつもりかも知れないぜ、だから気を付けた方が良い…………」  


 帝国軍兵士の追手が来ないことを不思議がる、ナタンとメルヴェ達だが。


 ベーリットを背負う、キーランは油断せず、もっと遠くに逃げた方が良いと進言した。



「とにかく、先を急ごう? また奴等が現れたら面倒だよっ!」


「じゃあ? 彼処のデパートまで行こうよ、彼処なら隠れるのに便利だし食べ物も沢山あるし…………」


 この場所も、何れは帝国軍兵士が、やって来るかも知れず危険だ。


 そう思った、レギナとカルミーネ達を背負う、ナタンとキーラン達は先を急ごうと、皆を急かした。



 そして、彼等はデパートを目指して十字路を走る。



 その場所で、彼等は四方向を見てみたが。



 車は破壊され、外灯は曲がり、割れた窓ガラスが目立つ。


 また、壁にも銃撃により弾痕だらけとなった、ビルの壁面があった。



 と、先程まで、ここが戦場のど真ん中である事を伺わせるほど、十字路は酷い有りさまであった。



「居たぞっ! 子供達だっ!」


「HQへ? 子供達を発見した、直ちに保護する」


 彼等の後ろからは、帝国軍兵士らしき屈強な男達による声が聞こえて来た。


 七人は、急に聞こえた敵の声に驚き、後ろに振り向いた。



「おいっ! 君達、早くそこから離れて此方に来るんだっ!」


「我々は君達を保護する、危害は加えない、だから安心して良い」


「さあ早く来るんだっ! でないと帝国軍が君達を殺すかも知れないぞ」


「司令部、子供達は無事だ? ああっ? 俺達はまだ敵と交戦はしていない、追って情況を報告する…………」


 振り向いた場所に立つ、兵士たちは、ノルデンシュヴァイク帝国軍の兵士ではなかった。


 緑と茶色い迷彩服から察するに、ベルギュー州軍所属の兵士達であろう。



 その姿は、緑を基調とした服装ゆえに、すぐに帝国軍兵士ではないと、七人にも分かった。


 そして、七人は兵士たちを確認すると、早速保護して貰おうと、走り出した。



 そこへ突然、ナタン達七人とベルギュー州軍歩兵部隊との間に、軍用車両が走ってくる。


 黒い装甲車両ティーグルMが、いきなり十字路の脇から現れた。



 そして、州軍に保護して貰おうと走り出した、ナタン達の行く手を帝国軍部隊が塞いだ。



「CPへっ! こちら、ユニット23っ! 敵発見、直ちに戦闘を開始する」


「降車、散開しろ」


「了解…………」


「…………援護する」


 州軍歩兵部隊の姿を確認した、ノルデンシュヴァイク帝国軍兵士たちは、すぐ行動に移る。


 奴等は、ティーグルMから降車すると、それぞれが地面に伏せて、AK12を撃ち始める。



 そして、スクラップと化した乗用車や、ビルの陰に隠れた、州軍歩兵と銃撃戦になった。



 双方で、激しい撃ち合いを展開する、州軍部隊と帝国軍部隊。



 その帝国軍部隊が乗ってきた、ティーグルMよりも、後方に位置するナタン達。


 彼等は、急ぎ、その場から離れようと駆け出して、デパートが見える方向へと逃げる。



「ナタン! 急いでっ!このままじゃあ、私達は捕まっちゃうわよっ」


「分かってるメルヴェ! そうだっ? 今思い付いた、路地裏を通るんだ、そうすれば敵に見つからずに済む?」


 今の走る速度では、敵に追い付かれてしまうと考える、メルヴェ。


 彼女は、ナタンに対して、もっと早く走れと急かすのだがが。


 ベーリットを背負う彼が、早く走れる訳が無く、息を切らして、苦しそうに空気を吐く。



 そして、彼は思い付く、路地裏に入れば、敵に見つからない。


 しかも、安心して、デパートまで進めるのではと考えた。



「それは、ナイスアイデアね? じゃあ、皆で一旦路地に隠れましょう」


「はぁはぁ? そうしましょうよっ! もう私へとへとぉ~~」


「俺も賛成だ、カルミーネを背負って走るのはナタン同様に俺もキツいからな?」


 路地裏に隠れると言うアイデアに、メルヴェは賛成した。


 その後ろを走る、ミアとキーラン達も賛成して、近くに見えた狭い路地へと彼等は進んだ。



「ここなら帝国軍も暫くは来ないわね?」


「だと良いけどな? 今襲われたら抵抗も出来ないし、一堪りも無いぞ」


 路地裏の建物にある、倉庫らしき場所に身を隠した、ナタン達。


 彼等は、眠りこける、カルミーネとベーリット達を、数個あった段ボール箱の上へと運ぶ。


 こうして、二人を、ゆっくりと丁寧に下ろして寝かせた。



「この二人はまだ寝ているね?」


「どうする、このまま二人が目を覚まさ無かったら?」


 ミアとメルヴェ達は、眠りこける二人を心配そうに視線を向け見つめる。


 彼女らだけでなく、他の三人も、段ボール上で動かない二人が、早く目を覚ましてくれる事を願う。



「さてと、この場所に何時までも隠れて居られ無いわね?」


「食料も無いし? 暗くて寒いし、デパートを目指して移動を開始したいけど…………」


 デパートまで、この場所から移動を開始したいと考える、ナタンとレギナ達。


 しかし、二人の考えに、ミアとキーラン達は反対する。



「移動するのは早いわっ! 二人もまだ意識が戻って無いのに」


「俺も賛成だ、夜になれば姿が見えないから奴等に見付かる心配も無い、それまでは此処に潜んでいよう」


 それぞれが、反対する理由を仲間に話す、ミアとキーラン達。


 二人の理由を聞いた、ナタンとメルヴェ達は、さらに反論した。



「だけど? このまま、ここで待って居ても、さっき見たいに救助が来るか分からないぜ?」


「それに、アイツ等? 夜になれば逆に強く成って目も良く見えるんじゃない? 見たところアイツ等は黒い軍隊の格好をした、ゾンビや吸血鬼の群れ見たいだし」


「うぅーーん? あれっ! 皆、レオは?」


 ナタンとメルヴェ達に、この倉庫から早く離れたい方が良いと、ミアとキーラン達を説得している。


 すると、段ボールをベッド代わりにして、昏睡状態であった、カルミーネが目を覚ました。



「レオは何処なの?」


「レオはガスで眠らされてしまった…………お前とベーリット、そして転んだレギナを助ける為に捕まったよ」


「そして、男らしく自らを犠牲にして私達を帝国から逃がしたわ」


 目を覚ました、カルミーネは、姿が見えないレオの安否を心配した。


 そうして、周りの仲間達に、彼は何処だと問い掛けるが。



 キーランとレギナ達は、彼に絶望的な真実を告げた。



「そんな? 僕のせいで…………レオは帝国に? そんな………………」


「はぁ~~? 気にすんなよカルミーネ、俺も皆も奴に助けられたんだ、お前だけの責任じゃない」


「そうよ、今はレオの事を考えても仕方が無いわ? 私達は彼の犠牲を無駄にしない為に前に進まなきゃ…………」


 告げられた真相を知って、ガクリと肩を落として落胆する、カルミーネ。


 彼に対して、キーランとレギナ達は、自分達にも責任は有る。


 それに、彼の犠牲に、報いる為にも先を急ごうと考えるが。



 皆全員が、既に精神と体が疲れ切っており、とても動ける雰囲気では無かった。

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