【暗黒騎士団VS反逆のレジスタンス】 吸血鬼アンデッド軍団と最後の人類は、たった一人でも戦う

レジスタンスは今日も戦う
デブにゃーちゃん
デブにゃーちゃん

第54話 追い詰めた狼と追い詰められた狢=むじな

公開日時: 2024年7月10日(水) 00:30
更新日時: 2024年7月12日(金) 23:02
文字数:3,127


「右側からもっ!? 火炎瓶と手榴弾を投げろっ!」


「発煙筒もだっ!!」


 レジスタンス達は、銃弾をバラ撒きながら、投擲武器を、倉庫の彼方此方《あちらこちら》に投げる。


 こうやって、なんとか帝国側部隊を足止めしようと、試みる。



「手榴弾だっ! 隠れろっ!?」


 ウィザードが叫ぶと、周囲に散らばる帝国兵達は、遮蔽物の陰に隠れる。


 その瞬間に、手榴弾は炸裂して、爆炎と破片を周辺に振り撒く。


 爆弾類だけではなく、火炎瓶も床に炎を広げ、発煙筒は、白灰色の煙幕を充満させる。



 こうして、レジスタンス達を追撃しようとする、帝国側部隊の視界を邪魔させる。



「ぐっ! 怯むなぁーー! 追撃しろっ!」


 下士官の命令が聞こえると、逃走するレジスタンス達を追うべく、帝国側部隊も通路へと走る。


 そして、通路左側から現れた、ドライアドとリッチ達も、レジスタンス達を追撃しようとする。



「そこの、ワーウルフ、ドライアド、お前等は上の階の敵を追撃する、ミミックマスターを援護しに行けっ!」


「はっ! 了解しましたっ!」


「了解っ! 我々は上階を制圧します」


 ワーウルフとドライアド達は、下士官の命令を受けるると、すぐに動きだす。


 彼等は、二階の通路へと向かう、ミミックマスターを追うべく、それぞれ手摺を掴もうと準備する。



「行くぞっ!」


「やるぞっ!」


 ワーウルフは、体を一気に屈め、両足に強く力を込めた。


 次いで、二階の手摺に向かって、兎みたいに高く飛び上がる。



 ドライアドは、二階の手摺に狙いを定めると、右腕から蔦を伸ばした。


 それを鉄ポールに巻き付け、アンカーショットのように、一気に体を引っ張らせて上がった。


 彼等は、逃げ出した四人のレジスタンス達と、先行する、ミミックマスターを追って行った。



 その階下では、リッチが負傷者に、応急手当てを行っていた。



 それ以外で、殆んどの帝国軍兵士・帝国警察隊員達は、通路を通って行った。



「負傷兵は、こちらへ」


 だが、残された負傷者たちを、放って置く訳にはいかない。


 なので、衛生兵である、リッチが負傷者の様子を見る。



 黒い野戦帽に、青紫のロングジャケットを着た、リッチ。



 彼は、負傷者であるシュバルツ・リッターを調べるが、時既に遅く、中の兵士は死亡していた。


 死因は、戦闘中に燃え広がった、火炎瓶の炎による焼死であった。


 もう一人の負傷者である、オーガーは、かなり重症では有ったが。


 まだ、意識は有り、重傷ながら何とか生存していた。



「CP、担架ボットをっ!」


 リッチは、負傷者を後送する為のボットを無線で司令部に要請する。


 それから、オーガーや他の隊員達に、応急処置と治療を続ける。



 一方、倉庫一階の通路奥へと、逃走していった、レジスタンス達を追撃する、レオとミア達。


 二人を含む、帝国側部隊は、激しい銃撃戦を展開しつつ逃走する、敵を追い詰めていく。



 連中は敗走しながらも、時折、手榴弾や手持ちの銃で反撃してくる。



 ポンプアクション式散弾銃M1912を発射して、帝国側部隊を足止めする、レジスタンス員。



 それを、別のレジスタンス員が、背後からスターリング・サブマシンガンを連射する。


 彼等は、大量の銃弾を周囲にバラ蒔いて、撤退を援護する。



「くっ! これじゃあ前に進めないっ!」


「奴等を殲滅しなければ成らないわね」


 廊下の曲がり角で、レオとミア達は、ずっと陰に隠れている。


 二人は、自分達に対して、命を奪おうと向かってくる銃弾の嵐が止むまで待つ。



 その間にも、レジスタンス達は、色々な手段で敵が追跡できないように対策を取る。



 積み上げられた段ボール箱の山を崩したり、空のドラム缶を倒したりする。


 こうして、追ってくる、帝国側部隊の追撃を妨害しようとする。



「これ以上奴等を近付けるなっ!」


「ああっ分かっている」


 カートを横に押し倒して、楯代わりに使う、レジスタンス員。


 部屋の入り口から此方に向かって、銃撃してくる、レジスタンス達。



 彼等は、通路の奥から地下トンネルに通ずる、脱出用に掘られた穴を通る。


 そうして、帝国側部隊の追っ手から逃れ、迅速に脱出する算段であった。



「おいっ早くしろっ! このままじゃあ自決する嵌めになるぞっ!」


「分かっているが、予想より奴等がしつこいんだっ!」


 予想以上の帝国側部隊による猛追に対して、レジスタンス達は苦戦する。


 そして、何とか脱出する為に、彼等は必死で反撃した。



「来たぞ、帝国軍だっ!」


「兎に角撃てぇーー」


 コマンド短機関銃と、ダブルマガジンを備えたAK47を発砲する、レジスタンス達。


 彼等は、迫り来る、帝国側部隊の兵士達に弾丸を浴びせる。



「これでも喰らえっ!」


 一人のレジスタンス員が、火炎瓶を投げると、それは床に落ちて、ガシャンと割れる。


 すると、割れた瓶の中から、油と火が直ぐさま燃え広がる。



 こうして、狭い通路を、通れないように炎の障壁を張る。


 また、彼等レジスタンス達は、敵である帝国側部隊に対して、さまざまな手段で抵抗する。



 銃弾・散弾・手榴弾・火炎瓶など。



 有りったけの武器で、帝国側部隊を攻撃して、追撃を振り切ろうと試みた。


 こう言った反撃により、帝国側・追撃隊に、再び多数の死傷者が出てしまった。



「ぐあっ?」


「くっ!? …………」


 一人のレジスタンス員が、遠くに投げた手榴弾は頃がっていく。


 それによって、身を隠していた場所から炙り出された帝国側部隊の兵士達だが。


 彼等は、次々と連中の放った銃弾に体を貫かれて倒れてしまう。



「不味いなぁ? このままじゃあ、埒が空かない…………」


「ヤバいわねぇ~~? 反撃が強力過ぎるわ」


 前進した、帝国側部隊の兵士達が倒れていくさまを見せつけられた、レオとミア達。


 二人は、呟きながら、燃え広がり続ける火の海へと目を向ける。



 そして、その向こう側に見える、レジスタンス達を睨む。



 遠くから攻撃してくる連中に対する攻撃方法が、手持ちの拳銃による発砲しか手段が無い、二人。


 彼等は、何か別の攻撃方法が、ないかと辺りに目を配り探す。



「…………あっ!? アレだっ!」


「何か有ったの?」


 目を配った先に、倒れている警察隊員の死体が転がっていた。


 その手に握られた、グレネードランチャー付きH&K、G36Gを見つけた、レオ。


 彼は、レジスタンス達の銃弾が飛ぶ中、銃を拾い取るために、隙を伺う。



 そんな彼に対して、ミアは両手に握る、ステアーGBとステアー・ハーン・ドッペルを下げる。


 この二丁拳銃から、空になった弾装を、交換しながら声を掛ける。



「ああ、ちょっと援護してくれっ!」


「あっ! 待ってよ…………たく、仕方無いわねーー?」


 倒れた、警察隊員のH&K、G36Gを目掛けて、レオは駆け出した。


 彼の背後から、ミアは両手に握る、ステアーGB&ステアー・ハーン・ドッペルで援護する。



「奴を狙えっ!」


「撃ち殺せっ!」


 廊下の陰から通路に飛び出した、レオに狙いを定めた、レジスタンス達は銃撃を集中した。



「うわっ!」


 H&K、G36Gを拾いつつ、レオは銃撃を避けて移動する。


 そして、向かい側にあるドアの開いた部屋まで、スライディングして逃げ込む。



 彼は、部屋に入ると立ち上がり、壁際から通路を覗こうとするが、いきなり腹部に違和感を覚えた。



「…………つっ?」

 

 レオは脇腹を確認すると、黒い制服に小さな穴が三つ開いていた。


 そこからは、青黒い血液が、ダラダラと流れている。



 彼は、レジスタンス達による銃撃で負傷してしまっていたのだ。



 帝国に肉体を改造されて、ヴァンパイア化した、レオは、多少の怪我では痛みこそ感じないが。


 そう流石に、何度も攻撃を喰らう訳には、いかなかった。



「レオッ! 無事なの?」


「ミア、怪我を負ったが俺は無事だっ!」


 ミアは、向かい側にある部屋に隠れる、レオの安否を心配して声をかける。


 そんな彼女の優しさに対して、彼は安心させようと素早く返事した。

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