【暗黒騎士団VS反逆のレジスタンス】 吸血鬼アンデッド軍団と最後の人類は、たった一人でも戦う

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デブにゃーちゃん
デブにゃーちゃん

第234話 スイカ戦車を撃破しろ

公開日時: 2024年7月12日(金) 12:04
更新日時: 2024年7月14日(日) 21:50
文字数:3,006


 バフチャーが滑降砲と同軸機銃を、メルヴェとフランシーヌ達が陣取る土嚢に撃ってきた。


 コイツは、スイカと名付けられた小型戦車だが、それは砲弾《たね》や人員が車内に沢山入っているからだ。



「きゃああああっ!!」


「ぎゃああっ!?」


 幸いにも、砲弾は外れてしまい、壁を破壊するだけで終わった。


 だが、間近に存在する、メルヴェとフランシーヌ達を、砲弾と壁の破片が灰煙となって襲う。



「メルヴェッ!? うわっ!!」


「うぐっ! これじゃあ、下手に動けないなっ!」


「オラ、オラ、オラ、オラッ!」


 ナタンとマフディ達にも、ソムサックの短機関銃による牽制射撃が迫る。



「おっ?」


 だが、ソムサックは頭を撃たれて、防弾兜が変形してしまい、一瞬脳内が揺れた。


 狙撃による直撃は受けなかったが、グニャリと歪んだ顔面装甲により、彼は前がよく見えない。



「まだ、俺は生きているぜっ!」


「隊長、対戦車兵器を持って来ましたっ!」


「発射ぁぁーー!!」


 タカヤマは、ブルパップ式対物ライフル、バーレットM95を撃っていたのだ。


 その後方から、RPGに似た兵器である、パンツァーファウスト3を自衛隊員たちが運んできた。



 彼らは、戦場から一旦離脱して、武器を用意しに後方へと下がっていたのである。


 そして、成形爆薬が入った弾頭が、真っ直ぐ飛んでいき、複数の爆発を起こした。



「きゃっ! ヤバイわっ!」


 バフチャーに向かっていった、無数の弾頭により、床が吹き飛ぶ。


 それに巻き込まれた、レギナも身を守ろうとして、両腕を交差させて、爆風から顔を防御する。



「くそがっ! 戦車が破壊されたっ!」


「うっ! がっ! 敵の反撃かっ!」


「ここは一旦、戦車の残骸まで下がるわよっ!!」


「カルミーネ、早く後方へいぎまじょう」


 レオとカルミーネ達は、連合軍兵士や自衛隊員が体制を立て直したことで、銃撃を受けてしまう。


 全身から青い血を垂れ流し、黒い制服を汚す、ミアは撤退しようと言いだす。



 そして、ベーリットも、口や鼻から青い血を大量に吐き出しながら走り出した。



「逃がすかっ!! 今度は、こっちの番だっ!!」


「させないわっ! 喰らえっ!!」


 ベクターSSー77汎用機関銃を、左右に激しく振って乱射する、ジハード。


 それに対して、レギナは素早く、コンパウンド・ボウから、凍結矢フリーズ・ボルトを放った。



「ぐぅぅっ! だが…………まだ撃てるっ!」


「根性だけは、あるのねっ!」


「敵を視認した、援護するっ!」


「ランチャーを撃つっ!」


「狙撃支援は任せてくれっ!」


 右肩に矢が刺さり、凍結して動かしにくくなっても、ジハードは銃を落とさない。


 彼は、ベクターSSー77汎用機関銃を手放すどころか、さらに乱射を激しくする。



 レギナの背後から、誰か分からないが、味方だと思われる声が聞こえてきた。



 一人は女性らしく、後ろ側からグレネードランチャーを撃ったあと、自動小銃を単発連射し始めた。


 さらに、その後ろからも、RPGー7による砲撃と狙撃が行われる。



「ぐわああっ!!」


「ぎゃっ!?」


「ぐああああーーーー!?」


「ぐ、がっ!」


 連合軍兵士や自衛隊員たちが、爆風や狙撃により、次々と倒されていく。



「ルルワ? 援護しに来たの?」


「向こう側は、ほとんど片付いたからね」


 レギナは、ジハードから乱射される機銃弾や連合軍側の銃撃から、身を隠そうと走る。


 そして、破壊された、バフチャー空挺歩兵戦闘車の裏に素早く移動する。



 彼女が、次矢を背中に背負った矢筒から取り出すと、アラビ系の女性警察隊員が右隣に現れた。


 PASGTヘルメットを被り、黒いアバーヤで顔を隠した女性兵士は、顔は目元しか見えない。



 しかし、黒緑色の目付きは鋭く、キリリとした眉は整っている。



 服装は、灰色・白・黒・灰青などに染色された、警察DPMユニフォーム・グレイタイプが目立つ。


 装備は、弾帯付きの黒い軽量防弾プレートを装着している。



「西側は、ほぼ制圧したわっ!」


「残るは正面の連中だけねっ!」


 弓の玄を引いた、レギナは電撃矢サンダー・ボルトを放った。



 ルルワは、FN、F2000の弾倉を交換したあと、直ぐに撃ち返す。


 そして、弾切れになると、H&K69グレネードランチャーから榴弾を発射した。



「ぐわっ! くっ! うおーー!」


「う…………だがな」


「援軍だぞっ!」


「敵は…………あっちか?」


 一人の自衛隊員は、体を撃たれても倒れる事なく、雄叫びを上げながら89式小銃を連射する。



 タカヤマは、土嚢に突き刺さった、電撃矢から飛び出た、紫電を喰らって苦しむ。


 だが、それでも彼はM95を持って、スコープを覗くと、一人の警察隊員に十字照準を合わせた。



 そして、大きな射撃音とともに、敵の女性隊員を射殺した。


 その間に、チィーナ軍部隊やアラビ人部隊が援軍に到着した。



「ぐぅ? 不味い、これを喰らえっ!」


「このままじゃ死ぬぞっ! ベーリット、必ず助けるからなっ!」


「げぶぁっ! ヒューー? ヒューー?」


「うあぁぁ? ヤバイわ…………マジで、コレは死ぬ」


 敵の銃撃を掻い潜った、レオは毒ガス缶を投げて、牽制しながら視界を遮ろうとした。



 そして、青い毒ガスが充満する中、カルミーネは重傷を負った、ベーリットを左手で引きずる。


 彼女は、口から盛大に吐血しながら、元から悪かった顔色を、さらに蒼白へと変化させる。



 ミアは、苦し気な顔をしながらも、サクセニア、セミ・ポンプを何度も撃ちながら下がる。



「ぐぅぅ…………」


「サミーラ、今助けるわっ!」


 苦し気な表徐で、口からヨダレのように青血を垂らす女性隊員を、ミアは見つけた。


 射殺されたかに見えた、女性隊員サミーラはまだ死んではいなかった。



 アンデッド故の生命力が高いことで、胸に大穴が開こうとも、微かに息はあった訳だ。



「有り難う…………援護するわ」


「良いから無理しないでっ!」


「ミア、逃がさないぞっ!」


 青・黒・白の迷彩服を着ているサミーラは、AKMSを撃ちまくる。



 そんな彼女の首根っこを両手で掴みながら、ミアは後退していく。


 だが、毒ガスの向こう側から、ナタンによる銃撃が飛んでくる。



 それは、後ろに下がる二人の体を貫いていく。



「ぐ、がっ! やったわね…………」


「う?」


 ミアは、何発か弾丸を喰らいながらも、サミーラを引っ張っていく。


 引きずられていく、彼女の被る黒いPASGT・ヘルメットに拳銃弾が何発か当たる。



 その度に、カツンッと弾けた音を立てる。



「サミーラ、撃ち返してっ!」


「分かってるわ、今やるわ」


 無数の弾丸が飛んでくる中、ミアは必死で破壊された、バフチャーまで逃げようとする。


 サミーラのPASGT・ヘルメット正面に取り付けた、サーマル・スコープが破壊された。



 それで、焦った彼女は、黒い弾帯ベストの上に、首から青いスリングで下げたAKMSを手放す。



 そして、背中側から取り出した、タブク狙撃銃を構えた。



 スケルトン・マスクを装着している、彼女の青緑色に淀んだ瞳は、スコープを覗く。



「青ガスで見えないけど、音や軌道を探れば…………」


「撃てるの?」


「二人とも、こっち、こっちっ!」


「早くこいっ! 一旦、体制を立て直すぞっ?」


 サミーラは冷静に、敵を狙って何回か、狙撃するが、ミアは彼女を引っ張りながら走り続ける。


 レギナは、コンパウンド・ボウから催涙矢テラ・ガス・ボルトを放ちつつ二人を呼ぶ。



 レオも、毒ガス缶の二発目を投擲しながら叫んだ。



 こうして、連合側・帝国側と、双方の姿が見えなくなってしまった。


 それにより、戦いは互いに無駄弾を撃ち合う消耗戦へ突入した。

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