レオとカルミーネ達は、暴れ回り過ぎたせいか、敵に包囲される形となってしまった。
そんな中、流石に彼等もヤバい雰囲気が漂っていることを察する。
「やべぇわ、敵の気を引きすぎちまったぜ…………」
「コレは、僕らが窮地に立たされたんだな…………」
連合軍コマンドー部隊が、何処から仕掛けて来るか、それが分からず彼等は緊張感を高める。
正面の建物から、二人に集中砲火が浴びせられる中、レオとカルミーネたちは敵を待ち構える。
しかし、耳を済まそうにも、匂いを嗅ごうとしても、敵が来る位置が二人には分からない。
大量の弾丸は、建物や地面に当たり、うるさい発砲音と着弾音を鳴らす。
さらに、銃弾による建物の壁が削られたり、地面から吹き上がる事で塵《ちり》が舞う塵。
これが、二人の鼻に土臭さと埃っぽさを感じさせる。
「敵が多すぎだろっ! ふざけんなっての…」
「全くだね、こりゃ相当ヤバいわ」
レオは、拳銃から背中に背負うH&K、G36G自動小銃を握りしめ、姿を現さない敵に向ける。
同様に、カルミーネも、ベレッタMX4カービンを構えつつ、全方位に集中力を上げて見回す。
「なあ、カルミーネ? これじゃあ~~まるで、俺達はマクレーン刑事とゼウスたち見たいじゃあねーーかっ!」
「…………マクレーン? ゼウス? 白人と黒人コンビの事かい? それは映画のダイハー…………!?」
「居たぞっ! 奴らだっ!」
「仲間たちの仇討ちぃぃーーーー!!」
ビル内には、段ボール箱や倒れた机が散乱するが、その中から敵が奇襲を仕掛けてきた。
呑気に構えていた、レオも真剣な顔立ちになり、敵を迎え討たんとする。
カルミーネもまた覚悟を決め、敵が何処から来てもいいように、全神経を使って周囲に気を配る。
その時、何発も銃撃が鳴り響き、さらに、一発ド派手な散弾銃による銃声が轟いた。
「うわっ! 回避しねーーとっ! と、見せかけてっ! そこかっ!」
「がああ~~!?」
「こっちだな……もう少し静かに来いよっ! それじゃ奇襲の意味がないぜ」
「うおおおおっ!!」
レオとカルミーネ達は、それぞれ隣室から姿を現した敵に反撃した。
その結果、二人に攻撃を仕掛けた、コマンド隊員たちは銃で撃たれて絶命する。
「いや、今の銃声は気を引くためだよ…………」
「まだまだ、仲間は居るぜっ!」
レオとカルミーネ達が、ビル内で敵を迎え討ちにしたと思った瞬間、再度奇襲が仕掛けられた。
レオの右からは、アラビ人コマンド隊員が、シミターを振るう。
カルミーネの左斜め橫からも、黒人コマンド隊員がMP5F短機関銃を撃ってきた。
「くっ! これでもくらえっ!」
「うげげぇっ!?」
レオは、咄嗟に右手でH&K、G36Gを振るい、巣早く反応した。
それで、アラビ人コマンド隊員が振るった、シミターの刃を弾く。
最後に、今度はワルサーP5を抜き取りざまに、至近距離から発砲する。
「ぐはっ! まだ死なねーぞっ!」
「ぐわああああぁぁっ!?」
黒人コマンド隊員が銃を撃っている間に、カルミーネもまた、お返しとばかりに撃ち返す。
ベレッタMX4で撃たれた、奴は瀕死の重症を負ってしまい、後ろにバタンと倒れた。
「終わったな……だが、直ぐに次の敵が襲ってくるな? 俺たちは蜂の巣を突っつくどころか、ど真ん中に入ったんだしな? なあ、カルミーネ?」
レオは、倒れた連合軍コマンド隊員たちを見下ろしながら、冷静な思考で次の戦いに備える。
だが、一方カルミーネはと言うと。
「…………死にきれなかったか、なら散々に痛めてやるうゥゥゥゥッ!! グルルッ!!」
「や、やめろっ! く、来るなっ! 頼む、助け……」
カルミーネは暴走したらしく、ワーウルフに変身しながら、黒人コマンド隊員に近づいていく。
奴の兵種は、こちらで言うトーテン・シェーデル・ゾルダートらしい。
だから、アレだけ、カルミーネに撃たれても、まだ息があるのだ。
「カルミーネ、落ちつけっ!」
「落ちついてられるかっ! お前達のせいで、彼女は…………彼女は傷ついたんだっ!」
レオの制止も聞かず、ブチきれたまま、カルミーネは黒人コマンド隊員を惨殺せんとセマル。
「な、なんの話だ、そんなの知るかっ! ゴフッ!」
「死に損ないが、黙ってろっ!」
黒人コマンド隊員は、重症を負い、血を大量に流しながらも、必死で後ろに下がる。
だが、それが余計に、カルミーネを怒らせたのか、彼は腹を思いっきり力を込めて蹴り上げた。
「ぅ…………」
「黙ってろと言うのが聞こえなかったか? あ?」
怒りのあまり、暴走するカルミーネは両手指に生えた、ナイフが如く鋭い鉤爪を振るいまくる。
「くそ…………こうなったら、誰にも止められねーー! しょうがね、俺が周りを警戒するしかね~~よな」
暴れまくり、鉤爪による残虐な殺しを行う、カルミーネを見て、レオは呟く。
そして、彼は周囲を警戒しながら彼方此方《あちらこちら》に、H&K、G36Gの銃口を振り回した。
「がはっ! ぎゃああっ!! ぐえっ! く………」
「ベーリット…………君の仇は討ったよ? グスッ! グスッ! ………………」
血が流れでる無数弾痕が開いた胸を、二回も鉤爪で抉り、また腹を蹴り上げる、カルミーネ。
こうして、彼は最後に黒人コマンド隊員の頭を踏みつけた。
「ベーリット………守れなくて、ごめんよ? イタリィーの男なのに、僕は戦えなかった」
カルミーネは、黒人コマンド隊員の死体を見下ろしながら、ワーウルフ顔から涙を流す。
「助けて、助けて~~~~! カルミーネッ!」
「クソ、話せっ! 彼女に何をする気だっ!!」
「やかましいっ! お前は、そこで観ていろっ!」
帝国が、ハンザに侵攻を開始した時、カルミーネとベーリット達は、一緒に行動していた。
市内全体が、戦場と化している中で、彼等は帝国軍や警察部隊から逃れるべく動いた。
二人は、裏街道を通ったり、スラムに近づいてしまったのだ。
それが、却ってアダとなり、アラビ人や黒人などからなる難民たちに捕まってしまったのだ。
「グへへ…………コイツは上玉だぜっ!」
「いや、いや、止めてーー!!」
「止めろ、このクズどもがっ!」
複数人の男達が、ベーリットを押さえ込み、よからぬことを企んでいる。
カルミーネは、彼女を助けようとするが、ロープで縛られており、身動きが取れない。
「お嬢さん、それに、そこのクソガキッ! いい加減に黙らないと痛い目を見るぞっ!」
「そうだ……散々、オレ達を虐げやがって、今度はオレ達が仕返しをする番だっ!」
「いやああああ~~~~~~!?」
アラビ人と黒人からなる難民たちは、ベーリットの顔を容赦なく、スプレー缶とライターで焼いた。
『ベーリット~~~~~~!?』
『いやああああーーーー!!』
カルミーネが叫ぶも、ベーリットへの拷問は止まらなく、暫くは悲鳴が轟いた。
ベーリットを助けようと、もがき暴れてやろうとする、カルミーネだったが。
彼、一人だけでは何もできない。
手足はボロ布で縛られ、体は何人かの難民たちに力強く押さえられているからだ。
「熱いーーーーーー!?」
「ベーリット…………」
カルミーネの前で、ベーリットは顔面を焼かれ続ける。
そうして、酷い悪夢が永遠に続くかと思われた。
だが、その時、プロペラを回転させる駆動音が聞こえた。
カルミーネとベーリット達が空を見ると、上空を一機の大型ヘリ、Miー26が飛んできた
「不味い、逃げるぞっ! ぎゃあっ!!」
「うわあ、連中が来たぞっ!? ぐ…………」
アラビ人や黒人の難民たちは、ベーリットを放して、我先にと逃げだそうとするが。
音のしない武器によって、彼等は次々に殺害されていった。
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