【暗黒騎士団VS反逆のレジスタンス】 吸血鬼アンデッド軍団と最後の人類は、たった一人でも戦う

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デブにゃーちゃん
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第88話 別件だ、そちらに向かう2

公開日時: 2024年7月10日(水) 09:19
更新日時: 2024年7月13日(土) 10:09
文字数:3,106


 ザミョール率いる、第二小隊の全員が、突撃用に武装を整える。



 すると、かなり年配の士官が、二警備隊員を二名も連れて、近づいてきた。



「私が、警備隊長のルドルフ・エイフマン少尉で有ります」


 現れた士官は、黒いロングコートを着ていて、両手を後ろ手に組ながら、自らの名を名乗った。



「こちらは部下のゲンナジー・ニクリン伍長とソロモン・ルビンシテイン一等兵です、二人とも私の優秀な部下で貴殿等の道案内を勤めさせます」


 ルドルフは、自らの背後に控える、二警備隊員たちを、ザミョール中尉に紹介する。



「そうか…………有り難い申し出だ、では早速我々は工作員の救出に向かう、全員出発だっ!」


 歓迎してくれた、ルドルフ少尉とザミョール中尉たちは、互いにローマ式敬礼を返す。


 少尉と別れ、工作員の場所を目指す、一向を案内する、ゲンナジー伍長とソロモン一等兵たち。



「こちらです」


「さあ、行きましょう」


 ゲンナジー伍長は、ブルバップ式ライフルである、OTsー14を装備した男性だ。


 スチール・グレイ色の髪、黒い瞳、黒いヘルメット、黒いガスマスクなど。


 装備から察するに、バクテリエラー・ゾルダートの格好をしていた。



 ソロモン一等兵は、自動散弾銃である、ヴェープル12モロト散弾銃を両手に構えていた。


 彼は、中世の鎧みたいな防弾装備を身に付けており、まさに騎士と言った格好をしていた。



 そして、アイスランド・ブルーのキツそうな目をした瞳だけしか、素顔を確認できなかった。



 また、格好からは彼の兵種が、シュヴァルツ・リッターであると分かる。


 それに、動きやすそうな防弾プレー徒から、中量級のアーマーを、装備している事が伺えた。



「ハッ! では早速、我々が内部に案内します」


「私達の後に続いて下さい」


 ゲンナジー伍長とソロモン一等兵たちは、八人の前を歩いて、先導していく。


 そして、下水処理施設から左脇に作られた、倉庫みたいな建物のドアを開けて、中に入って行った。



 その後に続いて、八人も入ってくると、二人は右端に存在する地下へと続く、階段を下り始めた。



 ソロモン一等兵が、階段の奥にある青いドアを素早く開いた。


 すると、即座に、ゲンナジー伍長が中に入り、奥の暗闇へと走っていった。



「チュチュ? チュッ!」


 深い暗闇の中を、ひたすら走る、十人で構成さられる帝国警察隊員たち。


 その姿を目にする、鼠《ネズミ》や蜘蛛たちは、壁際へと下がっていく。



 何処までも続く、長い通路の隅に、彼等は静かに佇んでいた。



 這いつくばる彼等、小さき者達は、足音が聞こえる度に隅へと逃げる。


 そうして、じっと動かず、部隊全員が過ぎ去るのを、怯えながら待っていた。


 彼らの足に、踏み潰される事を恐れ、黒いブーツを両目に映して、鼠達は震える。



「こちらです、ここから先は我々の巡回範囲外なので、何が待ち受けているか、分からないので気を付けて下さい」


 長い通路最奥には、ドアがあり、その施錠をソロモン一等兵は外して、ノブを回す。


 彼は、中量級のアーマーを装備した、シュヴァルツ・リッターだ。



 それで、室内に対する突入時には、彼がドアを開く事が適任なのだ。



 彼が、ヴェープル12モロトを片手に構えながら扉を開く。


 中には誰も居らず、ガランとした長い通路が再び続いていた。



「内部構造は分かって居ますが、普段立ち寄らない通路ですから、罠が仕掛けられている可能性も」


「分かっている、さぁ案内してくれ」


 ゲンナジー伍長は、OTsー14を両手に構え、腰を低くして暗い通路を進む。


 後ろに続く、ザミョール中尉はAK12を構えながら、鼠色の廊下を走る。



 彼等が通路の奥へと消えていく姿を、小さな黒蜘蛛は八つ目で見ていた。


 やっと静寂が訪れた地下通路に、ヒンヤリとした空気が戻ると、鼠や蜘蛛は安心した。



 雨が降ってきた時、コンクリートで出来た、アパート等に入ると漂う、湿気の匂い。


 頬を撫でるように、充満するカビ臭さの混じった、それは鼻に入ってくる。



「ここが、ポイントの近くですね?」


「ああ、だが? どうやってテロリストの拠点の入り口を探すとするかな?」


 潜入している工作員から発信される信号に、ギルシュ二等兵のノートPCは反応する。


 信号自体の発信源は、壁よりも向こう側である土中から発信されている。



 だから、どのように進もうかと、ザミョール中尉は悩む。



「奥の方を調べて見るか?」


 ザミョール中尉は、鼠色をしあ壁の向こう側に通じる隠し扉を探るべく歩いていく。


 部下を率いて、彼は通路を奥へと向かうが、その先には幾つか、小部屋が存在している。



 そこには、錆び付いたマンホールの蓋や、ロッカーみたいな形状をした、機械が並んでいた。


 他の部屋にも、大型のボイラーに見える機械が無数に設置してある。



 また、そこから延びる、所々が錆び付いた、青と赤の太いスチームパイプも見えた。


 そして、多数ある、それ等の配管が天井や壁へと続いていた。



 これ等の機械が、所狭しと並ぶ部屋を進む、十人からなる警察隊員たち。



「しらみ潰しと行くか…………」


 ザミョール中尉は両目を瞑り、力強く足を床に踏みつけ、周囲に響く反響音を確かめる。


 一つずつ部屋を回り、足音を立てたり、壁を叩いたりして、彼は隠し通路への入り口を確認する。



 そんな中、今までの場には何も異常は見当たらず、彼は最後に残った、所に向かう。



 そこには、ノルデンシュヴァイク帝国がハンザを制圧・占領する以前だが。


 アラビ地域から避難してきた、難民が隠れていたので有ろう、ゴミが散乱していた。


 空になったペットボトル・床に敷かれた・ブルーシート・スナック菓子・揚げパンの袋など。


 こう言った、生活に使っていたであろう、ゴミが辺りに散乱している。



 その奥には、壁に空調を制御する機械が設置されてあった。


 しかし、埃を被った姿から、今は作動していない様子が伺えた。



「中尉…………今までの部屋には、何も怪しい物は見あたらなかったですね?」


「ああそうだな、だから最後のここが怪しいぜっ!」


 ガリーナ二等兵が、部屋の中に入り、PPSh41短機関銃を、構えながら姿勢を低くする。


 その後を、AK12を構えて、安全を確かめつつ部屋に入る、ザミョール中尉。



「何発か当てればっ!!」


 ザミョール中尉は、奥にある空調制御の機械が怪しいと睨んだ。


 そして、彼は直ぐに、AK12を背中に回すと、そのままTOZー194に持ち変えた。


 次いで、ポンプを引きながら発砲しまくって、散弾を、装置に何度もブチ当てる。



「ふぅ…………出て来ないか?」


 三回も、散弾を浴びた、空調制御の機械は穴だらけに成ってしまった。


 しかし、何も変化はなく、辺りは再び静寂に包まれたまま、沈黙が訪れる。



「他に怪しい物は有りませんね、隊長?」


「爆薬でも、持ってくれば良かったぜ」


「今からでも、遅くは無いから取りに行くか」


 カピトリーナ二等兵・リッチの隊員・ミミックマスターの隊員たちは、敵が居ないかと周辺を探る。


 そして、彼等は、気を抜いているのか、呑気な会話をする。



『…………何か妙だな? …………』


「そうだな、カピトリーナ」


 ザミョール中尉は、目の前にある空調制御用に設置された、機械を睨んでいたが。


 ほかに、怪しい物は無いかと、彼方此方《あちらこちら》に目を向ける。



 「何だっ!?」


 天井に目を向けていた、ザミョールの眼前で、いきなり空調制御装置が右に動く。


 すると、その四角い穴から、誰かが頭を出してきた。



「敵が、ここにも!?」


「貴様っ!」


 紅いベレー帽を被った黒髪の男は、ザミョール中尉を見や否や、機先を制してきた。


 奴は、胸のベストから、M1917リボルバー拳銃を抜き取る。



 それを、ザミョール中尉は即座に、TOZー194の銃口で叩き、続いて素早く散弾を発砲した。

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