【暗黒騎士団VS反逆のレジスタンス】 吸血鬼アンデッド軍団と最後の人類は、たった一人でも戦う

レジスタンスは今日も戦う
デブにゃーちゃん
デブにゃーちゃん

第90話 穴の中での死闘

公開日時: 2024年7月10日(水) 09:22
更新日時: 2024年7月13日(土) 10:09
文字数:3,012


 閃光手榴弾が放った、眩《まばゆ》い光が収まると、すぐに機関銃手は敵を狙おうとする。



 だが、再び、重機関銃から正確な銃撃が始まらない内に、ザミョール中尉達は先手を撃つ。



「敵に対して、射撃するっ! こっちも圧力をかけるんだっ!」


 地面に伏せたままの姿勢で、ザミョール中尉達は、AK12で制圧射撃を行う。



 彼等が、行った銃撃は、本来なら重機関銃に命中しているはずだが。


 鉄板に被弾しているのか、金属音を立てて弾かれているようであった。



「くぅっ!?」


 楯を構えた、カピトリーナ二等兵は、ゆっくりと歩いきつつ前進する。


 そして、時折命中する重機関銃から飛んできた弾丸が、自らの楯を削る音を耳にする。



 飛んでくる弾丸は、12、7ミリ弾よりも大きいらしい。


 もしそれが、楯のど真中に命中すれば、彼女は命を落としてしまうであろう。


 さらに、銃撃とともに飛んでくる火炎球や、他の小火器類による銃撃など。



 レジスタンス側は、彼女を、そう易々と前進させてくれない。



「敵の姿が見えない…………」


 カピトリーナ二等兵の背後に隠れている、ギルシュ二等兵。


 彼は、ドラムマガジン付きのAEKー941を横向きにして、乱射しつつ援護する。



 姿を隠しつつ、彼は視認性を下げるために、自らの口から青い毒ガスを吐き出す。


 これで、重機関銃手からは、自分達の姿が見えないように視界を遮った。



「これで、少しは安全に成りましたよ」


「ありがとう、でもまだ気は抜けないわよ?」


 ギルシュ二等兵が、援護射撃を続ける中、カピトリーナ二等兵は、楯を構えつつ小走りで前進する。



「二人を助けないとね、そらっ!」


 ドライアド姿をした、女性警察隊員は、再び閃光手榴弾を投げ込み、重機関銃の視界を妨害する。



「タマラ、もう無いのか?」


「中尉、もう弾切れです」


 ドライアド姿の女性警察隊員は、ザミョール中尉から、タマラと呼ばれる。


 彼女は、ポケットや弾帯を探り、残念そうな顔をしつつ、もう閃光手榴弾が無いことを伝えた。



「ぐふっ!?」


「ソロモン一等兵、無事だったか?」


 そんな中、地面に倒れて動かなかった、ソロモン一等兵が息を吹き替えした。


 なので、ザミョール中尉は、すぐさま彼に無事かと声を掛けた。



「ええっ! 肩と脇腹を負傷しましたが、何とか無事のようですっ!」


「ふむ、キルサン、手当てしてやれ」


「直ちに」


 衛生兵リッチである、キルサン二等兵は匍匐前進で動いていく。


 そして、ソロモン一等兵に近付くと、魔法を詠唱して負傷痕を癒す。


 

「エフロン、これで出血は止まったが、飽くまで応急処置ですから、後で医務班にて本格的な治療を受けて下さい」


「分かった、助かったよ」


 呪文を唱えた、キルサン二等兵の右手からは、淡く発光する青白い光が出てきた。


 その光は、ソロモン一等兵が負っていた、怪我を癒した。



 唱えられた、エフロンと言われた、回復魔法。



 それは、肉体改造を施された帝国人の身体中に流れる青い血液だが。


 即ち、ナノマシンによる体内の修復作用を刺激して、回復力を増進する効力を持つ。


 これは、出血や壊死を止める魔法と、医療技術を組み合わせた物である。



「イスハーク、お前の手品で、アレは何とか成らないか?」


「何とかなるなら、とっくにやってますよ、隊長?」


 ザミョール中尉は、ミミックマスターである、イスハーク二等兵に期待するが。


 彼もまた、事態を打開する手段を持ってはいなかった。



「もう少し近付けたなら、俺も何かできたでしょうがっ!」


 イスハーク二等兵は這いつくばったまま、敵を狙う。


 そうして、RMBー93散弾銃を両手に構えて、ポンプを引きつつ乱射していた。



「止まった…………弾切れか? それとも銃身過熱でも起きたか?」


 重機関銃による激しい機銃掃射は、なぜか急に止んでしまった。


 これを好機と捉えた、ザミョール中尉は部下に命令を下す。



「ソロモン、ゲンナジー、あそこまで行けるか?」


「大丈夫です、まだまだ自分もアーマーも何とか動けますから」


「行けます、突撃ならば行くのみです」


 ザミョール中尉は、案内役の二人に敵に向かって行けるかと問う。


 すると、ソロモン一等兵とゲンナジー伍長たちも、何時でも行動出来ますと答えた。



「よし、なら俺に続けっ! 他の者は援護射撃を頼む」


「はい、中尉っ!!」


「了解です、中尉っ!」


 重機関銃から、制圧射撃が再開される前に、ザミョール中尉は素早く駆け出す。


 その後を、ソロモン一等兵とゲンナジー伍長たちが続き、突撃していく。



「今がチャンスだわ、ギルシュ、行くわよ」


「そうですね、援護は任せてっ!」


 楯を構えたままのカピトリーナ二等兵も、銃撃の中を突っ込んでいく。


 彼女も、右手のGShー18ピストルを撃ちながら、前進し始める。



 その背後から、ギルシュ二等兵も、ドラムマガジン付き、AEKー971を撃つ。



「そんなに簡単には行かせないよ」


 緑色のピエロ男は、天井から、ぶら下がりながら不気味に笑って呟く。


 奴は、カピトリーナ二等兵とギルシュ二等兵たちの背後を狙って腕を振る。



 そうして、勢いよく、スローイングナイフを投げ始めた。



「ぐっ!?」


「うわっ!」


 突然の奇襲に驚き、カピトリーナ二等兵とギルシュ二等兵たちは、身を屈める。


 音もなく背中に当たった、刃は運良く防弾プレートに弾かれた。


 しかし、二人は敵を放置する訳にはいかず、背後に振り向いて、天井付近へと目を向ける。



「弾切れ、ならコイツを喰らいなさいっ」


「後ろからとは…………」


 カピトリーナ二等兵は、弾切れのGSHー18ピストルを、腰のポケットに仕舞う。


 それと同時、即座に広範囲へと雷撃魔法の紫電を天井に放つ。



 ギルシュ二等兵も、それをAEKー971による弾幕射撃で援護したのだが。


 二人が攻撃した時には、既にピエロ男は移動しており、頭上には居なかった。



「くぅ~~? アレに当たらなくて良かった、弾丸は肩を貫通したが」


 そう呟きながら、天井を音も無く、ピエロ男は真っ直ぐ走る。


 そのまま彼は、味方の重機関銃が配置された、陣地にまで戻る。



 重機関銃の設置してある場所からは、途切れなく、14、5ミリ弾や火炎球が放たれ続ける。



 そこには、六人で構成される、連合軍コマンドー隊員が、木箱やドラム缶などの裏に隠れる。


 彼等は、銃を撃ち、激しく抵抗しながら応戦していた。



「ウェイン、どうだった? 敵の様子は?」


「いや~~? 中々、手強い連中だわ」


 緑色のベレー帽子を被り、黒髪ロングヘアーが、草葉に成っている黒人女性が、後ろに振り向く。


 迷彩服とギリスーツ姿をした、彼女は戻ってきたばかりのピエロ男ウェインに声をかけた。


 また、弾薬が尽きたらしく、重機関銃から放たれていた機銃掃射が途切れた。



「それより、間も無く掃射を再開するっ!」


「援護しろ、弾幕を張って奴等を近付けるなっ!」


 緑色のケピ帽を被った、顔半分が赤黒く腐っている、迷彩服を着ている男。


 プーニーハットを被った、迷彩服を着ているヒゲ面の男。


 敵を、重機関銃に近付けまいと、弾幕を張るためにと、二人は必死で手持ちの銃を発砲する。



 ケピ帽の男は、FAーMASG2を左右に銃身を振って乱射させる。


 プーニーハットの男は、L96を構えたまま横凪に弾丸を連射しまくる。


 二人は、それぞれ銃を撃って段々と距離を詰める、帝国側部隊を迎え撃とうとする。



「もう襲いっ! ここまで来たら、こっちの勝ちだっ!」


 彼等は、重機関銃による制圧射撃を再開しようとしたが。


 もう既に、五メートルほど、手前にまで、ザミョール中尉たちの部隊が迫っていた。

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