【暗黒騎士団VS反逆のレジスタンス】 吸血鬼アンデッド軍団と最後の人類は、たった一人でも戦う

レジスタンスは今日も戦う
デブにゃーちゃん
デブにゃーちゃん

第155話 エレベーターに向かえっ!!

公開日時: 2024年7月11日(木) 17:27
更新日時: 2024年7月14日(日) 08:49
文字数:3,285


 エレベーターが、連合側部隊に封鎖されているため、来た道を戻る、ナタンとメルヴェ達。


 

 そんな二人は、帝国兵たちを引き連れて、再び十字路にまで戻ってきた。



「あ~~! ここの連中から衣装を借りましょうっ! あんたらも、そっちの部屋で着替えてっ! あと…………また、外に出たら帝国兵の姿に着替えてもらうから、ズボンの上に、ズボンを履いてね」


「あ、なるほど、変装すれば僕たちは安全に脱出できるっ!」


「分かりました、ではっ!」


「着替えてきますっ!」


 そう言うと、メルヴェは、レジスタンス員や連合軍兵士たちの死体を探りだす。


 ナタンも、余り血が付着しておらず、襤褸くなってない衣服がないかと遺体を漁る。



 二人は今着ている衣服の上に、少し上着を羽織り、帽子などを被れば良い。


 だが、帝国兵たちは衣服全部を着替えねば成らず、変装には時間がかかる。



 幸い、彼等は顔にあまりキズがない、トーテン・シェーデル・ゾルダートだ。


 服装さえ、変えれば怪しまれずに連合側を何とか誤魔化せるだろう。



「おっし、私はこれで…………」


「僕は…………これに」


 メルヴェは、緑色のポンチョを羽織り、頭はフードを被って顔をなるべく見られないようにした。


 また、ポンチョ自体は、弾痕穴と血飛沫の後が多少ついているだけで、そんなに襤褸《ぼろ》くない。



 ナタンは、緑と茶色の迷彩トレンチコートを羽織り、野球帽を被り、顔は赤い頭巾で隠した。



 これだけで、だいぶ印象が変わり、遠目からは二人であると分からない風になった。



「我々も、着替えました」


「これなら、変装もバレないでしょう」


 帝国兵たちも、連合軍兵士に変装して、近くの部屋から出てきた。


 防弾ベスト、緑のフリッツヘルメット、上下には迷彩服など、完璧に連合軍兵士へと擬態している。



「ーーと言うか、ヴァンパイアやソーサラーとかが居れば、楽に逃げられたでしょうね?」


「連中、変装や幻影を見せるのは得意だからね……」


「それで、次はどうします?」


「早速ですが、エレベーターに向かいますか?」


 メルヴェが言う通り、変装兵ヴァンパイアなら簡単に敵兵士へと化けただろう。


 そして、ソーサラーならば幻影を見せる事や自身の姿を変化変装させて、ここから楽に逃げられた。



 ナタンも、それに同意したが、二人とも改造されたアンデッドではない。


 帝国兵たちも同様だ。



 彼等のうち、コンバットナイフを持った方は、次なる指示を待つ。


 もう一人も、AK109を下ろして、命令が下るまで立っている。



「そうしよう、エレベーターから脱出だっ!!」


「そうね…………行くしかないわ」


 ナタンが歩き出すと、メルヴェも後を追い、エレベーターまで向かっていく。


 帝国兵たちも、二人の後ろ歩いていき、通路を静かに進み出した。



「急げ、急げっ! 先に行かせてくれっ!」


「急患だっ!? 退いてくれっ!!」


「あっちに、まだ敵兵が潜んでいるらしいっ!」


「よし、分かった、行くぞっ!!」


「人質を取っている奴らが、向こうで抵抗しているっ!!」


「こっちで、ヴァンパイアが変装して味方に紛れたらしいぞ」


 暫く進んでいた、ナタン達の前に慌ただしく走る連合側部隊が現れた。


 レジスタンス達が、担架に重傷を負った連合兵を載せて前方から走る。



 それに、四人は慌てて、左右に別れて壁際に避ける。



 そこから先は、連合軍兵士やレジスタンス員たちが、ああでもない、こうでもないと騒ぐ。



「残敵が、まだ残っているようだね? 入口や出口はアチコチにあるし、もしかしたら敵が掘った坑道とかも存在したりして…………てな?」


「まさか…………まあ、有り得なくもないわね」


 どうやら、連合側も勝ったとは言え、未だ残る敵の掃討に苦慮しているようだ。


 四人だけでなく、他にも人質や変装と言った手段で密かに逃げ出そうとする帝国側の者がいる。



 彼等も、ありとあらゆる手筈を使って、ここから地上へと逃げ出そうとする。


 戦闘は掃討戦に移行しただけで、未だ終息はしていないのだ。



 ナタンとメルヴェ達が、話ながら進む中、さまざまな人物が叫び声や怒声を上げる。


 紅いベレー帽を被った、レジスタンス隊長は、スパイを追うと言って、部下を引き連れてゆく。


 F1キャップを被る連合軍下士官も、部下に命令を下して、自身も急いで走ってどこかへと消える。



「ここから、先も忙しい見たいだな…………」


「ん? アレ、ヤバイッ! ギガントが移動させてないっ!」


 地下駐車場にきた、ナタンは連合側部隊が、忙しそうに装甲板を片付けている姿を見た。


 しかし、それがエレベーター前に持って行かれていると勘づいた、メルヴェは慌てだす。



 きっと、正面入口を塞いでしまい、出入りが出来ぬようにする。


 こうする事で、ここから残存する帝国兵が逃げられないように妨害でもするのだろう。



 そのために、ギガントと呼ばれた、オーガー達が装甲板を運ぶ作業を行っている。



「ギガント? オーガーじゃなくて?」


「貴方が居なかった時に…………いえ、後で説明するわっ!」


 ナタンに話をしている暇はないと走る、メルヴェだったが、時すでに遅かった。


 緑色の鎧に包まれた、ギガント達が、装甲板をエレベーター前に運んでしまったのだ。



「しまった…………」


「ん…………どうかしましたか?」


「ここは、封鎖するよう命令が出てますが?」


 一歩遅かったと、メルヴェは思ったが、そんな彼女に、ギガント達は話しかけた。


 移送作業を行った、二人は何のようだと不思議がり、次に運ぶ物はなんだと考える。



「あの、ね?」


 そんなオーガー達の前で、焦るメルヴェ。



「いや、こっちに帝国側のスパイが逃げてきたとか、きてないとか…………あ?」


「逃げられんように、今言った通り、封鎖してますが?」


「帝国側なら、もう入ることも、逃げることも出来ないですが?」


 命令により、ここに来たと困ったような表情を浮かべ、何とか誤魔化す、メルヴェ。


 そんな彼女に対して、スパイの事など知らないと、ギガント達は答える。



 確かに、彼等が答えた通り、封鎖してしまえば、エレベーターは出入口として使えない。


 そして、いきなり表れた、女性レジスタンス員を、二人は怪しむ。



「それで、いったい何のようで?」


「まさか…………お前らは?」


「ストップ、貴方たち? その二人はスパイを探していたのよ、上層部から指示は出てなかったのかしら?」


「こっちには居なかった、次は向こうを探すぞ」


 メルヴェの正体を怪しんだ、ギガント達は彼女に一歩迫った。

 

 だが、そこに、連合軍女性兵士と別のギガント達が現れた。



「まだ、敵は多数潜伏しているわ…………そいつらの排除と見回りに、彼女たちが寄越されたの」


「搬送作業は終わったし、俺たちは向こう側の秘密通路を調べて来るからな」


「ああ、あ…………そうか、それなら分かった」


「危うく敵だと誤解するところだったよ、まあ~~ナタンとメルヴェ達を見つけたら射殺しといてくれや」


 メルヴェを助けた、連合軍女性兵士は白人で長い茶髪に、薄青い瞳の美女だった。


 彼女は、赤いベレー帽を被り、上下に緑と茶色の迷彩服を着ている。


 装備も、軽量型・防弾ベストを装備しており、その上に弾帯ベストを付けている。



 ギガントは、目の前に立つ二人と同じ姿をしているが、腕には太いトンファーを付けていた。


 この二人が、庇ったおかげで、ナタンとメルヴェ達は正体がバレずに済んだ。



 片方のギガントは、横から出てきた二人による説明に納得した。


 もう片方も、目の前に居る二人が、メルヴェとナタン達であるとは分からなかった。



「じゃあ、そゆことで…………」


「あっちに行くからな」


 平静を装い、メルヴェとナタン達は正体不明の二人を追ってゆく。


 連合軍女性兵士とギガント達は、やがて柱の側まで来た。



 そこで、女性兵士は一回だけ足踏みをした。



 すると、ゴゴゴッとコンクリートが動きだし、下に沈んでいく。


 これは、帝国側を不意討ちするために設けられた秘密通路の入口だ。



「さあ、こちらへ…………ガルム、アセナ」


「詳しい話は中に入ってからだ」


 そう言って、女性兵士とギガント達は、コンクリートが沈んで出来た、穴の中に入っていった。



「僕らも行こう」


 ナタンは、一言だけ呟くと、意を決して中に飛び込んでいった。

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