【暗黒騎士団VS反逆のレジスタンス】 吸血鬼アンデッド軍団と最後の人類は、たった一人でも戦う

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デブにゃーちゃん
デブにゃーちゃん

第202話 ビル内の激闘

公開日時: 2024年7月12日(金) 10:30
更新日時: 2024年7月14日(日) 21:29
文字数:3,208


「まだまだ、敵が多いわ」


「味方は、未だ不利だな」


 シルヴィは狙撃を止めると、次なる技を放つべく戦闘服の袖から蔦《ツタ》を出す。


 ナタンは、彼女を援護しようと敵の機関銃手を狙って、AK弾を何発か撃つ。



「それっ!」


「■◥▣◇▤◢◣っ!?」


 蔦を伸ばした、シルヴィは机の隙間から、間近にまで迫って、ソファーに身を隠していた敵を掴む。


 そうして、ニューナンブM60を握るジューポン人兵の首を閉めて、ソファーから左側に投げる。



「よくやった、シルヴィッ!」


 連合側部隊の中でも、敵に対して、一番近くに居る、ドゥロルは棚裏から左側に身を出す。


 そして、体勢を崩された、ジューポン人兵を狙って、右手から素早く火球を放った。



「●■◢◣◆◇▣…………」


「一人、倒したぞっ!」


「▩■○〇▣▤●◤◣っ!!」


 ジューポン人兵は、顔が炎が包まれて踠《もが》いていたが、やがて物言わぬ躯と化した。


 一人、敵を倒したドゥロルの声が響いたが、次いで、K2自動小銃をコリャン人兵は連射する。



「おわわっ!? 危ねぇ…………」


「◥▣■●◣◤◇▧□っ!」


 銃撃から冷静かつ素早く身を隠すことで、難を逃れたドゥロルだったが。


 別のK5ピストルを持った、コリャン人兵は机から一気に身を出す。



 そして、片手で銃を撃ちながら、天井に向かって、キラリと光る何かを投げた。



「うわ、コインが飛んで来たぞっ!?」


 ドゥロルは、叫びながら味方に危険を伝える。



「ヤバいっ! なっ!」


「何か、くるぞっ!!」


「ぐわっ!」


 何回も、バウンドした銀色のコインは、天井や床を行ったり来たりする。


 そして、遂にはPMCと民兵の混成部隊に襲いかかった。



 銃撃に混じって、飛来した銀色コインは最終的に、真っ直ぐトンプソンを持つ民兵へと迫る。


 次いで、彼が被る緑ベレー帽を斜め上から突き破った。



「ミミックマスターか? あっちにも厄介な敵が居るなっ! うわっ!?」


「どうやら、そのようだわねぇ…………ふっ!」


 ナタンとシルヴィ達が、隠れていた机裏に小さな茶色のマンホールが投げられた。


 ガコンッと金属音を鳴らした、それは回転しながら拳銃弾を振り撒いた。



「危なかったわ?」


「死ぬかと思った…………」


「ナタン、無事っ!?」


「シルヴィ、死ぬわけ無いよな?」


 シルヴィは、すぐさま床に伏せた事で射撃を回避した。


 ナタンも、机の中に入ったことにより、拳銃弾が当たらなかった。



 投げられたのは、マンホールに偽装された、空中炸裂型地雷である。



 これを投擲したのは、先ほどK5拳銃を撃った、コリャン人兵ミミックマスターか。


 それとも、別の兵士が、ミミックマスターとして、投げつけてきたかは不明だ。



 たった今、空中炸裂地雷による思わぬ攻撃を受けた、二人をドゥロルとメルヴェ達は心配した。



「大丈夫だよ、何とか生きているっ!」


「私も無事だわ、次の行動に移るわ」


 そう言って、ナタンとシルヴィ達は自分らの身を案ずる二人に返事を返した。


 だが。



「ぐわわっ? 今度は、どんな技を使う気だっ!」


「上からっ!? あっ!」


「◆◢○◣●▧□っ!?」


「▶□▧◆◇◎●◤◣◣◉◌っ!!」


 ガタガタッと、天井が揺れだして地震のような震動が辺りに響く。


 ナタンとシルヴィ達は、突然の事態に身動きが取れなくなる。



 そして、何故か天井が崩れたかと思いきや、帝国側兵士たちが、瓦礫の下敷きになってしまう。


 こうして、運良く帝国兵が崩落に巻き込まれたかと思ったが。



「うおおっ? ここにも、敵兵が存在するとは…………まああ、見つけたからには撃ちまくるだけだ」


「ぐああっ!?」


「ぶぶああっ!」


「う…………やられた」


 崩落した瓦礫の山から、シュヴァルツ・リッターが現れた。


 しかも、連合側を見るなり、両肩に装着したPKP汎用機関銃と、RPK分隊支援火器を撃ち出す。



 それは、周囲の帝国側アシュア系兵士たちが放つ弾丸と相まって、連合側を圧倒する。



 ダットサイトを備えた、AK74を撃っていた、ラテン系PMC要員は、胸を撃ち抜かれる。


 MP28を撃ちまくっていた、鉢巻きを頭に巻いていた、アシュア系の民兵も胴体を撃たれた。



 そして、一発の弾丸がチィーナ軍兵の機関銃手に当たってしまう。



「朱《ヂュー》っ! 大丈夫かっ!」

 

「ああ、あ、何とかな、だが機関銃は?」


 階段の曲がり角から攻撃していた、05式微声短機関銃を握る、チィーナ兵は叫ぶ。


 同じく、階段付近で床に伏せていた、チィーナ軍兵の機関銃手は、右肩に銃弾を受けていた。



「負傷したのっ? 後送しなきゃっ!」


「いや、大丈夫だ、まだ左手で撃てるっ!」


 メルヴェは、ヂューと呼ばれたチィーナ軍兵を引っ張りながら様子を探る。


 真っ赤に染まる右肩には、何発もの弾痕があり、衛生兵が必要だと彼女は思った。



 しかし、肝心の彼は未だ戦意が衰えず、左手で床に置いていた、80式汎用機関銃を掴んだ。



「く、敵の火力が不味いっ! オラ、オラオラッ!」


「わっ! 前が見えんっ! クソがあーーーー!?」


 雷撃魔法や火炎魔法を乱発しつつ、ドゥロルはシュヴァルツ・リッターの視界を遮ろうと試みる。


 威力は低いが、氷結魔法や風刃魔法などは、確実に奴のバイザーに当たって目視できぬようにした。



「今だ、前進しつつ攻撃だっ!」


「ひっそりと…………私はね」


 ナタンも、前方に居るドゥロルをAK12で援護しつつ、机の右側から飛び出す。


 そして、彼は次の遮蔽物であるコピー機へと身を隠した。



 一方、シルヴィは囮の分身を何体か作りつつ、密かに伏せながら進みだす。



「ナタン、あまり勝手に行かないでっ! 今、そっちに行くからっ!」


「分かってる、援護するから早く来てくれっ!」


 ミニミ分隊支援火器を、凄まじく乱射する、メルヴェは弾丸を途切れなく放ち続ける。


 彼女が、自身の側まで来られるように、ナタンはAK12を単発連射で、敵に牽制射撃をかける。



「■◇▩▣◆◤◉〇◥□▨」


「▤◎◢▧◇▨▣■◥」


「うぐぁっ!!」


「何とか来られたっ!」


 81式班用軽機槍を、コピー機に載せて撃ちまくってくる、チィーナ人兵。


 73式軽機関銃を、事務机の上に載せて、途切れない連射を浴びせてくる、チュソン人兵。



 ナタンは、連射から撃たれると、身を机に引っ込ませつつ、AK12を乱射する。


 そこに、ミニミ分隊支援火器を背負い、滑り込むように、メルヴェが素早く移動してきた。



「連中の方が、火力は高い」


「機銃と自動小銃、それに人数も上だし」


 何十発もの弾丸が、頭上を越えて飛んでいく中、ナタンとメルヴェ達は机裏で話し合う。



「それより、他のPMCや民兵たちは? 連中はどこだ?」


「どっか行ったわ、爆薬を取ってくるとか言ってたけど?」


 ナタンは、先ほどから居るはずの味方部隊が、階段付近から、銃を撃ってこない事を疑問に思う。


 そして、メルヴェ意外の味方兵士はどこに行ったか、それが気になる彼は彼女に聞いてみた。



「撃て、撃て」


「危なっ!」


「敵前逃亡なんて、しないでくれよな?」


「まさか、逃げるなんてっ!」


 さっき、ヂューと呼ばれた兵士は、床に伏せながらも、左手で何とかグリップを握っていた。


 そして、二脚を広げた80式汎用機関銃を曲がり角から連射している。



 05式微声短機関銃を握る、チィーナ兵も階段から机裏付近にある倒れたロッカーに移動していた。


 音はしないが、良くみると、銃から一発ずつ弾丸を発射している様子が伺える。



 次いで、彼は敵の火力が集中する前に素早く身を隠す。



 ナタンは、残った味方部隊を見ながら呟き、メルヴェは有り得ないと叫ぶ。



「ぐおおおおっ!? 前が見えないっ!!」


「うああーーーー」


「ぐああああっ!?」


 シュヴァルツ・リッターの防弾バイザーは、何回も氷結魔法を喰らってしまい、雪に覆われていた。


 しかし、奴は直も三挺の機関銃や分隊支援火器を振り回しつつ、凄まじい乱射をしてきた。



 その攻撃が、M16A3を撃っていた、黒人PMCに何発か当たって死なせてしまう。


 さらに、グリースガンを撃っていた、白いニット帽を被る民兵が、心臓を撃ち抜かれた。

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