「まだまだ、敵が多いわ」
「味方は、未だ不利だな」
シルヴィは狙撃を止めると、次なる技を放つべく戦闘服の袖から蔦《ツタ》を出す。
ナタンは、彼女を援護しようと敵の機関銃手を狙って、AK弾を何発か撃つ。
「それっ!」
「■◥▣◇▤◢◣っ!?」
蔦を伸ばした、シルヴィは机の隙間から、間近にまで迫って、ソファーに身を隠していた敵を掴む。
そうして、ニューナンブM60を握るジューポン人兵の首を閉めて、ソファーから左側に投げる。
「よくやった、シルヴィッ!」
連合側部隊の中でも、敵に対して、一番近くに居る、ドゥロルは棚裏から左側に身を出す。
そして、体勢を崩された、ジューポン人兵を狙って、右手から素早く火球を放った。
「●■◢◣◆◇▣…………」
「一人、倒したぞっ!」
「▩■○〇▣▤●◤◣っ!!」
ジューポン人兵は、顔が炎が包まれて踠《もが》いていたが、やがて物言わぬ躯と化した。
一人、敵を倒したドゥロルの声が響いたが、次いで、K2自動小銃をコリャン人兵は連射する。
「おわわっ!? 危ねぇ…………」
「◥▣■●◣◤◇▧□っ!」
銃撃から冷静かつ素早く身を隠すことで、難を逃れたドゥロルだったが。
別のK5ピストルを持った、コリャン人兵は机から一気に身を出す。
そして、片手で銃を撃ちながら、天井に向かって、キラリと光る何かを投げた。
「うわ、コインが飛んで来たぞっ!?」
ドゥロルは、叫びながら味方に危険を伝える。
「ヤバいっ! なっ!」
「何か、くるぞっ!!」
「ぐわっ!」
何回も、バウンドした銀色のコインは、天井や床を行ったり来たりする。
そして、遂にはPMCと民兵の混成部隊に襲いかかった。
銃撃に混じって、飛来した銀色コインは最終的に、真っ直ぐトンプソンを持つ民兵へと迫る。
次いで、彼が被る緑ベレー帽を斜め上から突き破った。
「ミミックマスターか? あっちにも厄介な敵が居るなっ! うわっ!?」
「どうやら、そのようだわねぇ…………ふっ!」
ナタンとシルヴィ達が、隠れていた机裏に小さな茶色のマンホールが投げられた。
ガコンッと金属音を鳴らした、それは回転しながら拳銃弾を振り撒いた。
「危なかったわ?」
「死ぬかと思った…………」
「ナタン、無事っ!?」
「シルヴィ、死ぬわけ無いよな?」
シルヴィは、すぐさま床に伏せた事で射撃を回避した。
ナタンも、机の中に入ったことにより、拳銃弾が当たらなかった。
投げられたのは、マンホールに偽装された、空中炸裂型地雷である。
これを投擲したのは、先ほどK5拳銃を撃った、コリャン人兵ミミックマスターか。
それとも、別の兵士が、ミミックマスターとして、投げつけてきたかは不明だ。
たった今、空中炸裂地雷による思わぬ攻撃を受けた、二人をドゥロルとメルヴェ達は心配した。
「大丈夫だよ、何とか生きているっ!」
「私も無事だわ、次の行動に移るわ」
そう言って、ナタンとシルヴィ達は自分らの身を案ずる二人に返事を返した。
だが。
「ぐわわっ? 今度は、どんな技を使う気だっ!」
「上からっ!? あっ!」
「◆◢○◣●▧□っ!?」
「▶□▧◆◇◎●◤◣◣◉◌っ!!」
ガタガタッと、天井が揺れだして地震のような震動が辺りに響く。
ナタンとシルヴィ達は、突然の事態に身動きが取れなくなる。
そして、何故か天井が崩れたかと思いきや、帝国側兵士たちが、瓦礫の下敷きになってしまう。
こうして、運良く帝国兵が崩落に巻き込まれたかと思ったが。
「うおおっ? ここにも、敵兵が存在するとは…………まああ、見つけたからには撃ちまくるだけだ」
「ぐああっ!?」
「ぶぶああっ!」
「う…………やられた」
崩落した瓦礫の山から、シュヴァルツ・リッターが現れた。
しかも、連合側を見るなり、両肩に装着したPKP汎用機関銃と、RPK分隊支援火器を撃ち出す。
それは、周囲の帝国側アシュア系兵士たちが放つ弾丸と相まって、連合側を圧倒する。
ダットサイトを備えた、AK74を撃っていた、ラテン系PMC要員は、胸を撃ち抜かれる。
MP28を撃ちまくっていた、鉢巻きを頭に巻いていた、アシュア系の民兵も胴体を撃たれた。
そして、一発の弾丸がチィーナ軍兵の機関銃手に当たってしまう。
「朱《ヂュー》っ! 大丈夫かっ!」
「ああ、あ、何とかな、だが機関銃は?」
階段の曲がり角から攻撃していた、05式微声短機関銃を握る、チィーナ兵は叫ぶ。
同じく、階段付近で床に伏せていた、チィーナ軍兵の機関銃手は、右肩に銃弾を受けていた。
「負傷したのっ? 後送しなきゃっ!」
「いや、大丈夫だ、まだ左手で撃てるっ!」
メルヴェは、ヂューと呼ばれたチィーナ軍兵を引っ張りながら様子を探る。
真っ赤に染まる右肩には、何発もの弾痕があり、衛生兵が必要だと彼女は思った。
しかし、肝心の彼は未だ戦意が衰えず、左手で床に置いていた、80式汎用機関銃を掴んだ。
「く、敵の火力が不味いっ! オラ、オラオラッ!」
「わっ! 前が見えんっ! クソがあーーーー!?」
雷撃魔法や火炎魔法を乱発しつつ、ドゥロルはシュヴァルツ・リッターの視界を遮ろうと試みる。
威力は低いが、氷結魔法や風刃魔法などは、確実に奴のバイザーに当たって目視できぬようにした。
「今だ、前進しつつ攻撃だっ!」
「ひっそりと…………私はね」
ナタンも、前方に居るドゥロルをAK12で援護しつつ、机の右側から飛び出す。
そして、彼は次の遮蔽物であるコピー機へと身を隠した。
一方、シルヴィは囮の分身を何体か作りつつ、密かに伏せながら進みだす。
「ナタン、あまり勝手に行かないでっ! 今、そっちに行くからっ!」
「分かってる、援護するから早く来てくれっ!」
ミニミ分隊支援火器を、凄まじく乱射する、メルヴェは弾丸を途切れなく放ち続ける。
彼女が、自身の側まで来られるように、ナタンはAK12を単発連射で、敵に牽制射撃をかける。
「■◇▩▣◆◤◉〇◥□▨」
「▤◎◢▧◇▨▣■◥」
「うぐぁっ!!」
「何とか来られたっ!」
81式班用軽機槍を、コピー機に載せて撃ちまくってくる、チィーナ人兵。
73式軽機関銃を、事務机の上に載せて、途切れない連射を浴びせてくる、チュソン人兵。
ナタンは、連射から撃たれると、身を机に引っ込ませつつ、AK12を乱射する。
そこに、ミニミ分隊支援火器を背負い、滑り込むように、メルヴェが素早く移動してきた。
「連中の方が、火力は高い」
「機銃と自動小銃、それに人数も上だし」
何十発もの弾丸が、頭上を越えて飛んでいく中、ナタンとメルヴェ達は机裏で話し合う。
「それより、他のPMCや民兵たちは? 連中はどこだ?」
「どっか行ったわ、爆薬を取ってくるとか言ってたけど?」
ナタンは、先ほどから居るはずの味方部隊が、階段付近から、銃を撃ってこない事を疑問に思う。
そして、メルヴェ意外の味方兵士はどこに行ったか、それが気になる彼は彼女に聞いてみた。
「撃て、撃て」
「危なっ!」
「敵前逃亡なんて、しないでくれよな?」
「まさか、逃げるなんてっ!」
さっき、ヂューと呼ばれた兵士は、床に伏せながらも、左手で何とかグリップを握っていた。
そして、二脚を広げた80式汎用機関銃を曲がり角から連射している。
05式微声短機関銃を握る、チィーナ兵も階段から机裏付近にある倒れたロッカーに移動していた。
音はしないが、良くみると、銃から一発ずつ弾丸を発射している様子が伺える。
次いで、彼は敵の火力が集中する前に素早く身を隠す。
ナタンは、残った味方部隊を見ながら呟き、メルヴェは有り得ないと叫ぶ。
「ぐおおおおっ!? 前が見えないっ!!」
「うああーーーー」
「ぐああああっ!?」
シュヴァルツ・リッターの防弾バイザーは、何回も氷結魔法を喰らってしまい、雪に覆われていた。
しかし、奴は直も三挺の機関銃や分隊支援火器を振り回しつつ、凄まじい乱射をしてきた。
その攻撃が、M16A3を撃っていた、黒人PMCに何発か当たって死なせてしまう。
さらに、グリースガンを撃っていた、白いニット帽を被る民兵が、心臓を撃ち抜かれた。
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