「一人で飛び出るから怪我するのよっ!」
「すまない、ミア、心配を掛けてしまったな…………」
銃弾が飛び交う最中、ミアとレオ達は、互いの位置を確認して、声を掛け合う。
そして、レジスタンス達は、脱出用の穴を目指して後退する。
彼等を仕留めるべく、レオは拾った、グレネードランチャー付きのH&K、G36Gを構えた。
「だけど、目的の物は手に入ったよ」
「それで、敵を吹き飛ばそうって訳ね?」
レオは、部屋の入口から素早く身を出すと、ミアも二丁拳銃で援護射撃を開始する。
次いで、グレネードランチャーにより、レジスタンス達の隠れる部屋に、狙いを定めて発砲する。
「そうさ、でっ! コレを発射してっと…………」
「その間の援護は任せてっ!」
グレネードランチャーを発射した、レオは、着弾を確認する暇なく、部屋の中に身を隠す。
一方、ミアは敵の気を引こうと、彼を守るため、両手で握る拳銃を乱射しまくる。
「グレネードランチャーだっ!」
「逃げろっ!」
レジスタンス達が、身を隠す部屋に着弾した、榴弾が、派手に炎と煙を巻き上げる。
すると、これ以上は後退しながら戦闘を継続することは時間の無駄だと、連中は判断した。
そうして、退散を決意したようで、奴等は銃撃を止めて走り出した。
「これ以上の戦闘は無駄だっ! 撤退っ! 撤退ぃーーーー!!」
「了解だっ!」
「逃げろっ!」
煙に紛れて、奥へと逃走する、レジスタンス達は通路の角を曲がる。
その先から、仲間が手だけを出して手招きをしているさまを発見した。
「そっちが、安全なんだなっ!」
生き残った、レジスタンス達は曲がり角の陰から手招きをする、仲間に向かって走り出す。
そして、彼等は角を曲がったが、手招きしていた、仲間の姿は無かった。
その代わり、静かな空間が不気味に広がっていた。
「味方の奴は何処へ行ったんだ…………」
「何処にも、いないぞ?」
彼等レジスタンスは立ち止まって、静まりかえった辺りに目を配る。
それで、仲間が何処に行ったのかと、キョロキョロと見回す。
しかし、そこに存外する物は、左右にある部屋のドアと、通路最奥に作られたドアだけで有った。
そして、レジスタンス達は追っ手として、帝国側部隊が迫っていることを思い出す。
これにより、そんな些細な事よりも、脱出用の穴まで、逃走することが先決だ。
そう考えた、レジスタンス達は、再び最奥のドアへと走り出した。
「きっと、奴は先に逃げたんだっ!」
「そうだなっ!」
二人のレジスタンス達が、ドアを開こうとして、ドアノブを引くと、いきなり爆発した。
爆風は凄まじく、周囲に居た連中は巻き込まれてしまう。
その被害は、二名死亡、四名負傷と言う、酷い有りさまであった。
「うひひっ! 引ぃ~~掛かったっ! 引っ掛かったぁーー!」
爆発した、ドアよりも向こう側から通路内に響く、女性の笑い声。
それに、レジスタンス達は、頭に?マークを浮かべる。
その正体は、何と、ミミックマスターであった。
「あひゃひゃっ! どうよ? 貴方達の罠を再利用させて貰ったのよ、最高でしょっ!」
爆発で破壊された、ドアの向こう側を真っ暗にする黒煙から現れた、ミミックマスター。
彼女は、楽しそう話しつつ、右手に握る、死体の迷彩服を纏った腕を見せる。
「そんな…………ゲホッ!」
「うぅ~~?」
「あーーまだまだ、色々と見せたい物が、いっぱい、あるんだけどなぁ~~? でも、チェックメイト見たいねぇ?」
爆発に巻き込まれて、武器を手放してしまった、レジスタンス達。
連中に、冷たい微笑を浮かべながら見下ろす、ミミックマスター。
彼女に抵抗しようとした、一人のレジスタンス員だが。
彼は、自らの手から放れた、ストックレスAKMに手を伸ばす。
「あらあら? ダメよっ♡」
「ぐあっ!!」
ミミックマスターは、即座に、ストックレスAKMを蹴飛ばす。
次いで、手を伸ばした、レジスタンス員の右腕を蹴りあげ、さらに黒いブーツで踏みつける。
そして、敵が腕の痛みに苦しむさたを楽しんで眺め、被虐的な笑みを浮かべる。
「あら可愛いわぁ♡ 貴方には、帝国兵に成って貰いましょうかね~~♡」
「クソが、ふざけやがってっ!」
「そこまでだっ! 俺達は己の命等惜しくは無い、帝国に捕まるくらい成らば自爆してやるよっ!」
そう語る、ミミックマスターに憤るレジスタンス員だったが。
その背後から、破壊工作を担当する仲間が、左側にあった、ドアを開いて現れた。
彼は、体中に、ダイナマイトやC4爆弾を巻き付けている。
「チッ! 邪魔が入った!?」
「やれ…………やってく!?」
「ぐああァァ…………」
「フゥシューーーー!!」
しまったと思う、ミミックマスターと、床に倒れた、レジスタンス員。
二人は、体中に爆発物を巻き付けた、レジスタンス員が爆死すると思ったが。
謎の人物が、背後から急に現れた途端、自爆しようとした奴が、苦しみ出したことに驚いた。
その人物は、口元を覆う、黒いガスマスクを取る。
どうやら、彼が密かに口から無色の毒ガスを吐いていたらしい。
これにより、体中に爆発物を巻き付けた、レジスタンス員が苦しみ悶えて死亡する。
それから、その場に立っているミミックマスターに対して、彼はローマ式敬礼をした。
「帝国軍・化学施設警備隊、所属のユライ・ライェツ、二等兵であります…………自分の兵科はバクテリエラー・ゾルダートです」
ユライと、自らの名前を名乗った人物だが、かなり目付きが鋭かった。
彼は、顔の下半分を覆うガスマスクと黒いフリッツ・ヘルメットを被る。
服装は、黒い化学防護服を身に付け、下にも黒い防護服風のズボンを履いていた。
体には、弾帯付きのベストを装着しており、ベスト左側は、四角い細菌保存用装置を身に付ける。
そこから、黒いホースが顔に装備したらガスマスクの左側まで伸びている。
ガスマスクの右側には、四角い機械があり、青いチューブが伸びている。
背中に背負う、細菌用の空気中から栄養素を採取するためにある装置だ。
この青い栄養精製用ミニ・タンク装置を、彼を含む細菌戦兵は常に備えている。
装備は、背中に、ブレン・ライフルを背負っている。
下半分を、黒いガスマスクに覆われた顔だが、それは右側を青黒く変色させていた。
「帝国軍・奇襲専門班、所属のテレザ・シェラー、二等兵よっ! 兵科は見ての通りミミックマスターですわ」
ミミックマスターも右手を伸ばして、ローマ式敬礼を取る。
そして、自らの所属と階級を名乗った。
「バクテリエラー・ゾルダート、細菌兵器を扱う兵士…………あっ! ところで貴方以外の警備隊員は何処に?」
「自分以外の隊員は、テロリストの襲撃により、全て戦死しました…………」
テレザの質問に対して、ユライは自分以外、全員戦死したと答える
「一人生き残った自分は、側の部屋の中で味方が到着するまで潜んで居たところに、テロリストが部屋に入り込んで来たので、奥の棚裏に隠れ…………様子を伺って居ると、貴女にテロリストが襲い掛かろうとするさたが見えたので? 咄嗟に助けた次第で有りますっ!」
ユライは、今までの経緯を事細かに語り、それで、テレザを助けるまでの詳細を彼女に教えた。
「ふぅん…………そう言う訳だったのね? で、この後、貴方はどうするの? 警備隊は殲滅したんだし、テロリストも全て倒したし」
「取り合えず、命令があるまで自分は待機しています…………」
テレザは、戦闘が終了した事で、今後の行動予定を、彼に質問してみたが。
上からの指示が有るまでは、大人しくしていると、ユライは答えた。
「クスッ♡ じゃあ部隊が再編されたら同じ部隊に配属されると良いわね~~」
「だと良いのでしょうか…………」
帝国軍の洗脳処置によって、性格を明るく残忍に改竄されている、テレザ。
彼女は、屈託の無い笑みを浮かべる。
そんな彼女とは対照的に、無表情な真顔のユライ。
彼も、帝国軍の洗脳処置により、一般兵として、感情を抑制されている。
それ故、感情に全く起伏が無いのだ。
「後はコレ、どうしようかしら~~?」
「ぐぐっ!」
戦闘が終了してしまった事から、事後処理の始末を考える、テレザ。
彼女は、捕らえた、レジスタンス員の頭をブーツで踏みつけた。
面白かったら、ブックマークとポイントを、お願いします。
あと、生活費に直結するので、頼みます。
(^∧^)
読み終わったら、ポイントを付けましょう!