【暗黒騎士団VS反逆のレジスタンス】 吸血鬼アンデッド軍団と最後の人類は、たった一人でも戦う

レジスタンスは今日も戦う
デブにゃーちゃん
デブにゃーちゃん

第55話 間抜けな狢の最後

公開日時: 2024年7月10日(水) 00:31
更新日時: 2024年7月12日(金) 23:03
文字数:3,280


「一人で飛び出るから怪我するのよっ!」


「すまない、ミア、心配を掛けてしまったな…………」


 銃弾が飛び交う最中、ミアとレオ達は、互いの位置を確認して、声を掛け合う。


 そして、レジスタンス達は、脱出用の穴を目指して後退する。



 彼等を仕留めるべく、レオは拾った、グレネードランチャー付きのH&K、G36Gを構えた。



「だけど、目的の物は手に入ったよ」


「それで、敵を吹き飛ばそうって訳ね?」


 レオは、部屋の入口から素早く身を出すと、ミアも二丁拳銃で援護射撃を開始する。


 次いで、グレネードランチャーにより、レジスタンス達の隠れる部屋に、狙いを定めて発砲する。



「そうさ、でっ! コレを発射してっと…………」


「その間の援護は任せてっ!」



 グレネードランチャーを発射した、レオは、着弾を確認する暇なく、部屋の中に身を隠す。


 一方、ミアは敵の気を引こうと、彼を守るため、両手で握る拳銃を乱射しまくる。



「グレネードランチャーだっ!」


「逃げろっ!」


 レジスタンス達が、身を隠す部屋に着弾した、榴弾が、派手に炎と煙を巻き上げる。


 すると、これ以上は後退しながら戦闘を継続することは時間の無駄だと、連中は判断した。



 そうして、退散を決意したようで、奴等は銃撃を止めて走り出した。



「これ以上の戦闘は無駄だっ! 撤退っ! 撤退ぃーーーー!!」


「了解だっ!」


「逃げろっ!」


 煙に紛れて、奥へと逃走する、レジスタンス達は通路の角を曲がる。


 その先から、仲間が手だけを出して手招きをしているさまを発見した。



「そっちが、安全なんだなっ!」


 生き残った、レジスタンス達は曲がり角の陰から手招きをする、仲間に向かって走り出す。


 そして、彼等は角を曲がったが、手招きしていた、仲間の姿は無かった。



 その代わり、静かな空間が不気味に広がっていた。



「味方の奴は何処へ行ったんだ…………」


「何処にも、いないぞ?」


 彼等レジスタンスは立ち止まって、静まりかえった辺りに目を配る。


 それで、仲間が何処に行ったのかと、キョロキョロと見回す。


 しかし、そこに存外する物は、左右にある部屋のドアと、通路最奥に作られたドアだけで有った。



 そして、レジスタンス達は追っ手として、帝国側部隊が迫っていることを思い出す。


 これにより、そんな些細な事よりも、脱出用の穴まで、逃走することが先決だ。


 そう考えた、レジスタンス達は、再び最奥のドアへと走り出した。



「きっと、奴は先に逃げたんだっ!」


「そうだなっ!」


 二人のレジスタンス達が、ドアを開こうとして、ドアノブを引くと、いきなり爆発した。


 爆風は凄まじく、周囲に居た連中は巻き込まれてしまう。


 その被害は、二名死亡、四名負傷と言う、酷い有りさまであった。



「うひひっ! 引ぃ~~掛かったっ! 引っ掛かったぁーー!」


 爆発した、ドアよりも向こう側から通路内に響く、女性の笑い声。


 それに、レジスタンス達は、頭に?マークを浮かべる。



 その正体は、何と、ミミックマスターであった。



「あひゃひゃっ! どうよ? 貴方達の罠を再利用させて貰ったのよ、最高でしょっ!」


 爆発で破壊された、ドアの向こう側を真っ暗にする黒煙から現れた、ミミックマスター。


 彼女は、楽しそう話しつつ、右手に握る、死体の迷彩服を纏った腕を見せる。



「そんな…………ゲホッ!」


「うぅ~~?」


「あーーまだまだ、色々と見せたい物が、いっぱい、あるんだけどなぁ~~? でも、チェックメイト見たいねぇ?」


 爆発に巻き込まれて、武器を手放してしまった、レジスタンス達。


 連中に、冷たい微笑を浮かべながら見下ろす、ミミックマスター。


 彼女に抵抗しようとした、一人のレジスタンス員だが。


 彼は、自らの手から放れた、ストックレスAKMに手を伸ばす。



「あらあら? ダメよっ♡」


「ぐあっ!!」


 ミミックマスターは、即座に、ストックレスAKMを蹴飛ばす。


 次いで、手を伸ばした、レジスタンス員の右腕を蹴りあげ、さらに黒いブーツで踏みつける。



 そして、敵が腕の痛みに苦しむさたを楽しんで眺め、被虐的な笑みを浮かべる。



「あら可愛いわぁ♡ 貴方には、帝国兵に成って貰いましょうかね~~♡」


「クソが、ふざけやがってっ!」


「そこまでだっ! 俺達は己の命等惜しくは無い、帝国に捕まるくらい成らば自爆してやるよっ!」


 そう語る、ミミックマスターに憤るレジスタンス員だったが。


 その背後から、破壊工作を担当する仲間が、左側にあった、ドアを開いて現れた。


 彼は、体中に、ダイナマイトやC4爆弾を巻き付けている。



「チッ! 邪魔が入った!?」


「やれ…………やってく!?」


「ぐああァァ…………」


「フゥシューーーー!!」


 しまったと思う、ミミックマスターと、床に倒れた、レジスタンス員。


 二人は、体中に爆発物を巻き付けた、レジスタンス員が爆死すると思ったが。



 謎の人物が、背後から急に現れた途端、自爆しようとした奴が、苦しみ出したことに驚いた。



 その人物は、口元を覆う、黒いガスマスクを取る。



 どうやら、彼が密かに口から無色の毒ガスを吐いていたらしい。


 これにより、体中に爆発物を巻き付けた、レジスタンス員が苦しみ悶えて死亡する。


 それから、その場に立っているミミックマスターに対して、彼はローマ式敬礼をした。



「帝国軍・化学施設警備隊、所属のユライ・ライェツ、二等兵であります…………自分の兵科はバクテリエラー・ゾルダートです」


 ユライと、自らの名前を名乗った人物だが、かなり目付きが鋭かった。


 彼は、顔の下半分を覆うガスマスクと黒いフリッツ・ヘルメットを被る。


 服装は、黒い化学防護服を身に付け、下にも黒い防護服風のズボンを履いていた。



 体には、弾帯付きのベストを装着しており、ベスト左側は、四角い細菌保存用装置を身に付ける。


 そこから、黒いホースが顔に装備したらガスマスクの左側まで伸びている。



 ガスマスクの右側には、四角い機械があり、青いチューブが伸びている。


 背中に背負う、細菌用の空気中から栄養素を採取するためにある装置だ。


 この青い栄養精製用ミニ・タンク装置を、彼を含む細菌戦兵は常に備えている。



 装備は、背中に、ブレン・ライフルを背負っている。



 下半分を、黒いガスマスクに覆われた顔だが、それは右側を青黒く変色させていた。



「帝国軍・奇襲専門班、所属のテレザ・シェラー、二等兵よっ! 兵科は見ての通りミミックマスターですわ」


 ミミックマスターも右手を伸ばして、ローマ式敬礼を取る。


 そして、自らの所属と階級を名乗った。



「バクテリエラー・ゾルダート、細菌兵器を扱う兵士…………あっ! ところで貴方以外の警備隊員は何処に?」


「自分以外の隊員は、テロリストの襲撃により、全て戦死しました…………」


 テレザの質問に対して、ユライは自分以外、全員戦死したと答える



「一人生き残った自分は、側の部屋の中で味方が到着するまで潜んで居たところに、テロリストが部屋に入り込んで来たので、奥の棚裏に隠れ…………様子を伺って居ると、貴女にテロリストが襲い掛かろうとするさたが見えたので? 咄嗟に助けた次第で有りますっ!」


 ユライは、今までの経緯を事細かに語り、それで、テレザを助けるまでの詳細を彼女に教えた。



「ふぅん…………そう言う訳だったのね? で、この後、貴方はどうするの? 警備隊は殲滅したんだし、テロリストも全て倒したし」


「取り合えず、命令があるまで自分は待機しています…………」


 テレザは、戦闘が終了した事で、今後の行動予定を、彼に質問してみたが。


 上からの指示が有るまでは、大人しくしていると、ユライは答えた。



「クスッ♡ じゃあ部隊が再編されたら同じ部隊に配属されると良いわね~~」


「だと良いのでしょうか…………」


 帝国軍の洗脳処置によって、性格を明るく残忍に改竄されている、テレザ。


 彼女は、屈託の無い笑みを浮かべる。



 そんな彼女とは対照的に、無表情な真顔のユライ。


 彼も、帝国軍の洗脳処置により、一般兵として、感情を抑制されている。


 それ故、感情に全く起伏が無いのだ。



「後はコレ、どうしようかしら~~?」


「ぐぐっ!」


 戦闘が終了してしまった事から、事後処理の始末を考える、テレザ。


 彼女は、捕らえた、レジスタンス員の頭をブーツで踏みつけた。

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