【暗黒騎士団VS反逆のレジスタンス】 吸血鬼アンデッド軍団と最後の人類は、たった一人でも戦う

レジスタンスは今日も戦う
デブにゃーちゃん
デブにゃーちゃん

第十二部 レジスタンス&連合軍の反撃

第151話 お前はレジスタンスか? それとも秘密警察か?

公開日時: 2024年7月11日(木) 17:22
更新日時: 2024年7月14日(日) 08:47
文字数:3,199


「それで…………お前たちは、帝国が放った猟犬なんだよな?」


「違うと言っているだろうっ!!」


 MASー1935ーAを握る、ギデオンは薄暗い室内で、銃のスライドをずらす。


 そうして、ナタンの額に銃口を当てながら顔色一つ変えず真顔で問い質す。



「ナタンッ!!」


「アンタも黙ってなっ!」


 メルヴェは叫んだが、彼女の頭に、ガンッと音が響くほど、強い衝撃が走る。


 モニカが、C7LSW分隊支援火器の重床で思いっきり殴打したからだ。



 ここは、レジスタンスのアジト内に作られた尋問部屋だ。



 証明は、簡単で小さなランプが天井から、一つしか下げられてない。


 そこだけは、強く真っ白な光が存在するのだが、周りはボンヤリとしか照らさない。



「黙らないと撃つわよ…………」


「いや、頭を潰してやろう」


 ベッキーはSIG、540ライフルを、メルヴェの後頭部に突き付ける。


 クラークの方も、ガーダと呼ばれる鈍器を右手で握りつつ振るう。



「ナタン…………まさか、本当に帝国側の人間だったとは?」


「…………残念だが、お前を生かす必要はないな? だが殺しはしない」

 

 ウェストは、驚いた表情のまま、ナタンとメルヴェ達を見る。


 ハキムも、二人を眺めながら注射器を何処からか取り出した。



 今、ここには二人と、ギデオン率いる部下たちしか居ない。



 改造手術を受けている、彼等は目を赤々と光らせ、鋭い眼光を二人に向ける。



「いやっ! やめてっ!!」


「やめろっ! よせっ!!」


「心配するな…………これは自白剤だ? ただ、お前らが本当に帝国兵だったら…………」


「その時は、もっと強い薬で廃人にしてやるっ!」


 椅子に座らされる形で拘束された、ナタンとメルヴェ達は、必死で叫ぶ。


 しかし、いくら体を揺らしてガタガタと椅子を動かそうとも、拘束具が外れる気配はない。



 そんな二人を強い憎しみの籠った瞳で、ハキムは睨みつつ注射器を近づける。


 そして、ギデオンは二人を完全に信用してはいない様子だ。



「MASー1935ーA? 銀色に光るコイツで何人レジスタンスを殺したんだ…………そっちはサルマスシズK10でな」


「く…………」


「っ…………」


 ギデオンは、ナタンの頭にMASー1935ーA拳銃をサッと向ける。


 次いで、メルヴェにも素早く銃口を向け、照準を会わせる。



「だが、次は貴様らの番だ」


 ギデオンの言う、MASー1935ーAは、もちろん、ナタンが使用している拳銃だ。


 サルマスシズK10は、メルヴェが予備武器として愛用していた、ティルク製の軍用拳銃だ。



 重たい空気が室内を支配する中、ハキムは段々と注射器を手に近づいてくる。



「ナザールボンジュウ…………ティルク製の御守りだが、これを工作員アセナは装備していたと聞く」


「だから、私じゃないわよっ!!」


 煎餅《せんべい》ほどの大きさである、ガラス細工である青い目玉ナザールボンジュウ。


 これを、ギデオンは二人に見せつけながら、お前たちは工作員だろうと、真剣な顔つきで問う。



 しかし、それをメルヴェは頑なに否定する。



 当然だが、彼女を信用している者は、ここには一人も居ない。



「自白剤でも、効かないように訓練されている可能性もあるからな? もし情報を吐かない場合は? さっき言った通り…………」


「うぅっ!! 」


 そう言いつつ、ハキムは身動きが取れない、ナタンの首筋に注射器を射した。


 ーーと、同時にバタンッと、急にドアが開く音が室内に響いた。



「大変ですっ! 帝国警察部隊に襲撃を仕掛けられましたっ!」


 全員が振り向いた先では、ブルーノが叫び、間も無くアジト内に警報がなる。


 また、地震が起きたかのごとく、アジト全体が激しい揺れに襲われる。



「チッ! 貴様ら、もう連絡しやがったのかっ!」


「直ぐに迎撃するっ! 我々も行くぞっ!」


 ハキムは、薬液を注入する一歩手前で止めると、ナタンの首から注射器を外す。


 ギデオンも、我先にと開かれたドアに走りだし、部下を引き連れていく。



「ふん、運がいいなっ! だが、逃げられはせんぞっ! おいっ! コイツ等を見張っていろっ!」


「了解しました」


「了解っ!!」


 ギデオンは、ドアの両脇に控えていたであろう部下たちを呼ぶ。


 彼は、二人に、MASー1935ーAとサルマスシズK10を預けた。



 赤いベレー帽を被る彼等は、明細服と弾帯つき防弾ベストを着ている。


 また、武器も高性能なブルパップ自動小銃であるFADを装備している。



 その重装備から、二人がレジスタンスではなく、連合軍兵士であることが伺える。



 しかも、顔が切り傷だらけである事から察するに、普通の兵士ではない。


 きっと、二人は、連合軍側のトーテン・シェーデル・ゾルダートなんだろう。



 そう、ナタンとメルヴェ達は思った。



「ナタン、メルヴェ、お前たちが帝国側だと信じたくはないが…………」


「信じてくれよ………ウェスト」


「私たちは無実だわっ!」


 それだけ言い残すと、この場で唯一レジスタンス員である、ウェストも走って行った。


 この場には、ナタンとメルヴェ達を、見張る兵士達だけが残された。



「………………」


「ふぅ…………」


 連合軍兵士たちは、二人を睨みつつ、ドアの両脇に立っている。



「敵だっ!! 迎え撃てっ!!」


「敵発見、交戦開始だっ!?」


「ぐええっ!?」


「やった、ブービートラップに引っ掛かったぞ」


「ぎゃあ…………」


「毒ガスでも喰らいなっ!!」


 レジスタンス&連合軍か、それとも帝国警察と帝国軍か。


 ドアの外からは、激しい銃撃音と男女の怒声が聞こえて来る。



 しかし、敵味方の判別が着かぬ、二人と連合軍兵士たちは、じっと待つ他ない。



「がはっ!?」


「また、トラップに引っ掛かったぞっ!!」


「ぐええええぇぇーー!!」


「細菌の味はどうだ…………」


 段々と戦闘が激しさを増し、この部屋にどちらか分からないが、誰かが近づいてくる。



「どっちが来るんだ…………」


「分からないわ?」


「黙れ」


「スパイの癖に喋るなっ!!」


 ナタンの不安そうな言葉に返事を返した、メルヴェだったが。


 連合軍兵士たちは、二人から目を離さず自動小銃を向ける。



 だが、その時、異変が起きた。



「うらああぁぁぁぁっ!?」


「うわっ! なんだっ! ぐおっ!」


「敵かっ! がふっ!」


 トンファーに似た武器、筒盾ダンを装備した、オーガーが、ドアを蹴破って侵入して来た。


 それに、驚いた兵士たちはFADを向けるも、時既に遅く、一気に殴られてしまう。



 まず、左側の兵士が、ダンで腹を殴られてしまい、次いで右側に立っていた兵士が頭を叩かれる。



「ぐぅぅ?」


「まだ生きていたか、止めだっ!」


 左側の壁に激突した兵士には、まだ息があり、苦しそうに呻いていた。


 そこに、勢いよく追撃として、筒盾ダンが打ち込まれる。



 こうして、彼の頬をぶち抜き頭を吹き飛ばしてしまった。



「ひぇぇ………………」


「ヤバいわね?」


「何もヤバく有りません」


 その様子を見ていた、ナタンとメルヴェ達は次に自分らが殺られる番ではないかと思った。


 しかし、そんな彼等の前に、新たな帝国軍・女性兵士が現れた。



 その女性兵士は、東アシュア系らしく、長くて艶々な黒髪が目立つ。


 また、頭に巻いた鉢巻の両側から、藍色とターコイズブルーのビーズを垂らす。


 服装も、チィーナ系に見える青と黄色からなる派手な衣服を、軍服の上に着ていた。



 また、見る限りだと、武器は木製のリカーブ・ボウを背中に背負っているだけだった。



「貴方たちは助かったのですから…………」


 プスップスッと、八発も彼女は何処からか取り出した、消音器付きナガン・リボルバーを撃つ。


 これにより、ナタンとメルヴェ達は拘束が破壊された事で、自由の身となった。



「助かったが、もしかして?」


「貴女、私たちの事を…………」


「もちろん、貴方たちが潜入していた、ガルムとアセナね…………救助に着たわよ」


 ナタンとメルヴェ達は、謎の女性兵士によって、解放された。

 だが、当然ながら二人は帝国側が放った潜伏工作員《スリーパー》ではない。


 しかし、当の女性兵士は、二人を助けられたことに安堵していた。

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