【暗黒騎士団VS反逆のレジスタンス】 吸血鬼アンデッド軍団と最後の人類は、たった一人でも戦う

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デブにゃーちゃん
デブにゃーちゃん

第256話 ゾンビを近寄せるなっ!

公開日時: 2024年7月12日(金) 12:55
更新日時: 2024年7月15日(月) 07:59
文字数:3,190


 帝国軍は、遂に生物兵器として、ゾンビ化した軍団を戦線に投入してきた。



「ぐああっ!!」


「機関銃手が殺られたわっ!」


「撃ち返すしかない、上の連中を援護するんだっ!?」


「そうしないと、俺達の場所まで、ゾンビが来るからな」


 キャリバーM50重機関銃を握っていた、黒人民兵は、ドラム缶の中で姿勢を低くしていた。


 しかし、多数の銃弾が運悪く、頭部を貫通してしまい、力なく倒れてしまう。



 大赤ベレーを被る、女性兵士は、手で持つ方の木製スリングショットを握りながら叫ぶ。


 彼女が放った一撃は、AK74を隠れながら乱射していた、帝国軍兵士の手を見事に仕留めた。



 白人民兵と黒人PMC達は、トヨタ・テクニカルに身を隠しながら、AKMを撃つ。



「ヤバイ、ゾンビ連中が列車にまで近づいて来てやがるっ!!」


「味方の援護だっ!」


 そうこうしている内に、ゾンビの大群が建物に狭っていた。


 このままでは、押し寄せる連中に殺られてしまうと考えた、ナタンは思わず叫んでしまった。



 だが、そこに、エキペリエンス・ブルッセルズ博物館から砲弾が飛んできた。


 ワンは、味方が行った砲撃により、破壊される列車の後部を見た。



 ここにも、増援部隊が到着したのだ。



「敵も増援を読んだぞっ!」


「向こうにも、現れたのね」


「やるしかないわよっ!」


「爆弾が足りない?」


 ウェンが叫ぶ中、左右からデュカル通りに四台の装甲列車が現れる。


 これらの車両は、現代版テプルシカと言える、ウラル、ヴァゴン・ザヴォドを引いていた。



 そこから、扉が開かれると中から一斉に追加のゾンビが、ワラワラと走って来た。


 しかも、小さな横線に見える銃眼からはPKT車載機関銃が、機銃弾を放ってくる。



 メルヴェとパトリシア達は、KNー12とバーレットM82で、木壁ごと敵の機関銃手をぶち抜く。


 チューは、慌てて爆弾や無反動砲を探して、ちょこまかと走り回る。



「うわあっ! グールが毒ガスを放って来たぞっ! 逃げろーー!?」


「吸ったら、死ぬぞっ!」


「グランマッシュ、お前の毒霧を放てっ!?」


「分かってるわよ、ただ風向きによっては、味方を巻き込み兼ねないのよっ!!」


 野戦帽を被るグールが、列車内から毒ガスを吹いて、一階や車列を攻撃してきた。



 このままでは、次に自分たちも殺られると思った、スタッロは下に指示を飛ばす。


 グランマッシュと呼ばれた、大きな赤ベレーの女性兵士は、体中から赤い霧を飛ばした。



「みんな、離れてっ!?」


「分かったっ!」


「何か、ヤバそうだ」


 グランマッシュの言葉を聞いた、民兵やPMC要員たちは、急いで建物内に逃走する。


 一方、グールの毒ガスを上回る赤霧は列車を包み込んでしまう。



「ぐああああっ!?」


「ぎゃああああーー」


 赤霧を喰らった列車内の帝国軍兵士たちが悲鳴を上げて、のたうち回る。



「グランマッシュ、ゾンビには効かないのか?」


「分からないわっ! 取り敢えず、今列車に上がって見るわ」


「危ないぞ、気をつけろっ!」


 スタッロは、毒霧が、ゾンビに効果があるかと、グランに問うが、それは彼女にも分からない。


 もしかしたら、連中も赤い霧に倒れるかも知れないし、全く効かず突っ込んでくるかも知れない。



 列車側面に、サルノコシカケを生やさせた彼女は、屋根上で伏せて敵を視認する。


 その行為を危険だと言って、ウェンは止めようとする。



「おっ? 来てみれば、やってるね?」


 そんな中、赤紫色の大きなフード付きローブに身を包んだ、女性民兵が現れた。


 彼女は、コップ付きのスナイダー銃を撃ち、走るゾンビ軍団を榴弾で爆発させる。



「味方か?」


「そだよ、ヤブロー・チャク、よろしく」


 ハキムが聞くと、彼女は名乗りながら、体中から小さな羽根虫を放つ。



「やはり、敵かっ!!」


「こっちにまで来るとは?」


「たんま、見てて」


 ウェストは、クリスヴェクターを、ハキムはムーディーAKMSの銃口を、ヤブローに向ける。


 そして、当の本人は、呑気な言葉を吐きながら、両手を上に上げて、ブツブツと呟く。



 すると、彼女の袖やフードから飛び出た羽根虫たちが、建物から出ていった。


 そして、ゾンビの頭上を飛び越え、ウラル、ヴァゴン・ザヴォドへと向かっていく。



「はっ! 彼女は味方よ、敵が中から出てきたわっ!」


「でしょ、でしょ…………でしょ、私の虫に噛まれたのよ」


 列車内から急いで飛び出てきた、帝国兵たちは、JS、7、62ミリ狙撃銃で撃たれた。


 倒れた敵兵を見ながら、アイリーは他の兵士たちも苦しむ様子を見た。



 どうやら、ヤブローは操虫術に長けた人物らしく、虫を自由自在にうごかせるようだ。


 きっと、列車を襲った羽根虫も、蚊《カ》や虻《アブ》などの吸血性・昆虫だろうと思われる。



「おっ?  空襲だーーーー!?」


「いや、待てっ!」


「味方機だわ、小型ヘリのドローンよっ!」


「ゾンビを掃討していくわ」


 ワンが叫びながら窓から離れようとすると、ナタンは彼を呼び止めながら外の上空を見た。


 そこを飛ぶのは、二機編隊で急降下しながらAAー12自動散弾銃を連射する、小型ドローンだ。



  白い機体である、MQー8ファイアスカウトを、メルヴェも眺めた。


 ベッキーは、C7LSW分隊支援火器を連射しながら、ゾンビ軍団が倒れてゆく様子を伺う。



「また、来たぞっ! 今度は爆弾だっ!」


 先ほどより、やや大きな小型ヘリ・ドローンが飛来すると、クラスター爆弾を投下した。


 これは、ボーイングA160ハミングバードと言われる機体である。



 コイツが落下させた無数の小爆弾は、爆竹みたいに彼方此方《あちらこちら》で、火花を散らすように炸裂する。


 結果、ゾンビの半数以上を倒した、飛行ドローン部隊は満足したように帰投していく。



 それを見ながら、チューは圧巻されていた。



「チュー、ボケッとするな、残り僅かな連中を狙撃するんだ」


「あの連中を倒せば、この戦いは連合側の勝利だっ!!」


 数の多い場所を狙って、ワンは80式汎用機関銃を数発ずつ連射する。


 ナタンも、ベネット・メルシエを窓に立て掛けると、AMDカービンを構えて射撃する。



 と、そこへ新たに機甲部隊が到着したらしく、キャタピラの駆動音が聞こえてきた。



「また、敵か…………いい加減にして欲しいわ、はぁ? 疲れた」


「いいえ、待って下さい? アレは味方部隊ですっ!」


「ようやく、登場か、コノヤローー」


「まあ、ここの戦いは終わったな」


 パトリシアは、バレットM82を抱えながら溜め息を吐くと、アイリーは緑色の戦車隊を見つめる。


 デュカル通りの左側から機甲師団かとおもえるほど、戦車が列を成して走行してくる。



 一台のTー90Mプラルィブを先頭とする、Tー90が、六両も続く機甲部隊だ。


 その後ろからは、Tー72とT64などが走ってくる。



 ブルーノとウェン達は、肩から力を抜いて、機銃弾に殺られていく、残りのゾンビ達を眺める。



 戦車隊から放たれる、機銃弾により、連中は木っ端微塵と化してゆく。



「味方の民兵部隊だわ、イズライル軍を先頭に建物を取り返しているわっ!」


「対空砲も来たわねっ!?」


 アイリーとメルヴェ達は、味方部隊が帝国軍歩兵隊を撃退していくのを見ながら狙撃支援を行う。


 そして、制圧された建物の横から次々と機甲戦力が登場する。



 ベージュ色のシャヒネ対空ミサイル・システム部隊が、ランベルモント通りから現れた。



 前方の一台だけは、左右に広がった、レーダーを備えてある。


 残り二台は、前方に円形レーダーを搭載しており、左右には三機ずつミサイル発射缶を備える。



「イズライル軍戦車ね?」


「ようやく、到着したか」


 ベッキーとギデオン達は、沢山の灰緑色に塗装された、機甲車両を見ながら呟く。



 パレ広場には、右側のデュカル通りから、イズラエル軍戦車部隊が到着した。


 戦車に見える自走式ミサイルランチャーに見える、ペレフが八台並走している。



 また、最後尾には、四台の第一世代主力戦車ショットが停車する。



 こうして、ブリュッセル公園を巡る戦いは幕を閉じるのであった。

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