【暗黒騎士団VS反逆のレジスタンス】 吸血鬼アンデッド軍団と最後の人類は、たった一人でも戦う

レジスタンスは今日も戦う
デブにゃーちゃん
デブにゃーちゃん

第129話 魔女の元から離れないと

公開日時: 2024年7月10日(水) 20:34
更新日時: 2024年7月13日(土) 11:43
文字数:3,018


 ドローン達が、飛行編隊を組んで、帝国側兵士たちを空襲する。



「ドローンが邪魔だな?」


「頭を晒すなっ!」


「また、交代して来たぞ」


「これじゃ、顔も出せない」


 無数のドローンが白い曇り空を舞い、ビル内に身を隠す、帝国側兵士たちを機銃で狙う。


 それは、二階や三階の窓から援護射撃を行おうとする帝国軍部隊を、激しい銃撃で釘付けにする。



 交代しなが、機銃弾を放ちまくる、無人機部隊は、帝国側の兵士たちには厄介な相手だった。


 敵の撃った、弾丸が建物に、弾痕を何十個も作っていくなか、ナタン達も反撃していく。



「邪魔な奴らだ…………」


『帝国側部隊に気を取られてはいるが? 連中の銃口は時おり残骸に隠れる自分たちも狙ってくる…………』


 フォイルスニェーク大尉は、愚痴りつつも、空から銃弾を放つ無人機部隊を狙う。


 また、敵機を指揮棒《タクト》の氷結魔法で撃ち落とす、彼女は相変わらず機嫌が悪そうだ。



 ナタンも同様に、連中が銃弾を撃つ前に撃破して何とか牽制した。


 こうして、残骸から身を出さないように気をつける彼等は苦戦していた。



「後方から援軍の登場だっ!!」


「正面の敵に突撃するっ!」


『テキ、ハッケン…………タダチニ、ハイジョスル…………』


 ビルの合間を通って、増援として帝国側部隊が駆けつけて来た。


 何人かの兵士からなる部隊よりも後方には、黒い六輪・装甲車型ロボット兵器が見える。



 装甲車型兵器の背部が開くと、アームが持ち上がり横に長いレーダー板みたいな物が広がる。


「電子妨害システムか? 何にせよ、援護は助かるっ!」


 ジャミングウェーブを放つ、装甲車型兵器の活躍により、ドローン達は無料化される。


 そして、コントロールを奪われて、次々と地上に落下する無人機部隊の音が周囲に響く。



 味方部隊の到着と、上空から飛来する敵部隊を退けた事で、フォイルスニェーク大尉は安堵する。


 と言っても、直ぐに険しい顔となった彼女は、激しい抵抗を続ける向かい側のビルを睨む。



「やっと、数が減りだしたか?」


 ナタン達の後方に位置する、ビルを狙って、宙を舞うドローン達は攻撃を続ける。


 もちろん、ビル内からも、警察部隊や帝国地上軍部隊が応戦する。



 ドローン部隊は、先ほど装甲車型兵器が、殆どをジャミングウェーブで撃ち落とした。


 だが、何処からか数は少ないが続々と、レジスタンス側にも、増援として味方がくるのだ。



「くぅぅっ! このままでは埒が開かんっ!!」


 逃げるドローンを、氷結魔法を乱発しながら、射ち落とした、フォイルスニェーク大尉。


 無人機部隊による脅威度は低下したとは言え、前進は出来そうになく、そのことに彼女は苛立つ。



 しかも、数が減ったドローン達と違い、レジスタンス側は、未だに健在だ。


 援軍に現れた帝国側部隊も、敵が放つ機銃掃射を避けるために、左右のビル内へと逃げ込む。



 これにより、ナタン達は再び苦戦状態に陥っているのだ。



「オリガ、援護射撃だっ!」


「はい、一時凌ぎですが…………」


 フォイルスニェーク大尉は、レジスタンス側が立て籠るビルの方を眺めつつ叫ぶ。


 この命令を聞いた、オリガは直ぐに、セルジュコフ拳銃を撃つことを止める。


 そして、彼女は金髪ロングヘアを優雅に揺らしつつ、PGSー33を両手に構えた。



 黒い肋骨服《ドルマン》、青い乗馬ズボン、黒いブーツ姿と言う、騎兵を思わせる姿のオリガ。


 ナタンが彼女に目を向けると、腰から下げる片手剣ベーブトの青い鞘が目立っていた。



「これでも、喰らいなさい」


 オリガの構える、黒い三連グレネードランチャーであるPGSー33は、三回弾丸を発射した。


 放射線を描くように飛んだ弾丸は、ビルの壁に当たったり、手前で地面に落下する。



 すると、黄緑色の煙を撒き散らし始め、あっという間に、辺りは化学兵器による煙幕に包まれた。



「スーラーン、ブラトノワ…………右から行けっ!!」


「分かりましたぜ」


「直ぐに行きます」


 フォイルスニェーク大尉の命令が下ると、スーラーンとブラトノワ達は走り出す。


 化学兵器を散布したことにより、レジスタンス側の抵抗が弱くなったからだ。



「援護を頼むぜ、ブラトノワ」


「あいよ、んじゃま…………?」


 先に、スーラーンがビルの側面に向かって、四つ足で駆けていく。


 その後ろを、ブラトノワは短機関銃PPSー43を撃ちまくりながら走る。



「着いたよっ! 隊長、今度は私らが援護するから早く来て下さいっ!」


 ウシャンカ帽を被り、銀色のウェーブロングヘアを揺らす、ブラトノワ。


 同様に、彼女が着ている黒革のロング・ジャケットも、走る度に揺れていた。



「分かった、今そっちに行くからなっ! ナタン、ゴプニカッ! 貴様らも左側へと突撃しろっ!」


「了解、今すぐに行きますよっ!!」


「了解しましたぁ~~すっ?」


 フォイルスニェーク大尉の声が響くと、ナタンは仕方無しに、パトカーから出て走り出す。


 その後ろから、ドラグノフKが発砲音を響かせて、ゴプニカが喋る声も聞こえた。



「ああーーーーーー!?」


「うわああああぁぁっ!!」


 入口左右に貼り付いた、スーラーンとブラトノワ達は、手榴弾をビルの一階&二階に投げ込む。


 二人が投げた手榴弾が爆発すると、中から爆発音が響き、同時にレジスタンス達の悲鳴が聞こえた。



 その声が聞こえ終わる前に、二人は内部に突入し始めた。




「死ね…………俺の投擲でなっ!」


「オラオラッ! 退かんかいっ!?」


 スーラーンとブラトノワ達が、内部で戦っている声が、外に聞こえてきた。


 どうやら、二人は入口付近を守備していた、レジスタンス員たちを蹴散らしているらしい。



 上階は、催涙ガスか、毒ガスなのかは分からないが、それにより今は機銃掃射が止んでいる。


 自動小銃による射撃も、混乱と狼狽しているのか、散発的な攻撃しかこない。



 こうして、ビルからの攻撃が止んだ今、フォイルスニェーク大尉たちは素早く前進する。



「全員、ビルに向かって走れっ!!」


「行くしかないか…………」


 上空を飛来する敵ドローン部隊も減少しており、制空権が、帝国側に傾きだした。


 この好機を逃すまいと、フォイルスニェーク大尉たちは駆け出す。



 当然、ナタンも正面に立つ、ビルへと走って行き、玄関の中へと入った。



「敵が侵入してきたぞーー!!」


「これ以上は前進させるなっ!」


「ドローンを前に出せ」


「出すなら、コイツ等の方がいい…………」


 入口を抜けた、ナタンを出迎えた物は、レジスタンス員達が構えるAK47の銃口だ。


 左右の廊下から、連中は大量に弾丸をバラ蒔くために、滅茶苦茶に銃を乱射してくる。



「不味いっ!! このままじゃ、蜂の巣にされちまうっ!」


 それらが、自らを捉える前に、ナタンは素早く、エントランス・ホール内を走った。


 広いホール内には、二階の廊下へと続く、エスカレーターが左右に、二つある。



「あそこに居たぞ、撃てーー!」


「野郎、逃がすなーー!」


『…………クソッ! また、もう撃ってきやがったか? …………』


 二階の手摺からは、レジスタンス員達が、AK74やAKM等を中心とする自動小銃を撃って来た。


 それ等の弾丸を避けるためには、遮蔽物が無いため、ナタンは必死で前へと走るしかない。



 正面には、運が良いことに、フロントの受付カウンターがあったが、そこに敵は存在しないからだ。



「んっ! 後ろからか?」


 ナタンの後方からは、ドラグノフKが放つ銃声が何回も響いた。


 そのお陰で、レジスタンス達は、そちらに気を取られたらしく、何人かが窓から離れた。



 これにより、彼は援護射撃の元、何とか敵に向かって突撃していった。


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