【暗黒騎士団VS反逆のレジスタンス】 吸血鬼アンデッド軍団と最後の人類は、たった一人でも戦う

レジスタンスは今日も戦う
デブにゃーちゃん
デブにゃーちゃん

第140話 彼女は結局二人に着いていく

公開日時: 2024年7月13日(土) 12:06
文字数:3,051


 レギナは、苦悩に満ちた表情で、WIST《ヴィス》ー94L拳銃の引き金を、力強く引いた。


 彼女の手には微かな震えがありながらも、決意がにじみ出ている。



 過酷な状況に、立ち向かい続けた彼女だったが、ついに精神が限界を迎えたからだ。



 深呼吸をして、引き金を素早く引いた、彼女の耳に響く銃声とともに、身体は硝煙に包まれた。


 彼女が下した決断は、この終わらぬ悪夢が永遠に続く世界に、終止符を打つことができた。



 かと思われた。



「ぐっ!」


 暗闇が、レギナを包み込み、意識が薄れていくが、その先に何が待っているかは分からない。


 彼女には、最後の抵抗とともに、天国へ行けると言う僅かな希望が灯されていた。



 しかし、引き金を引いたはずの彼女だったが、自決は成功する事なく、後ろに倒れてしまった。




「やったぞ、一人負傷させたっ!」


「まだ安心できんぞっ! 怪我しただけで、まだ息があるかも知れんっ!」


「とにかく、このまま押し続けろっ!」


 レギナは、一人の囚人が放った、拳銃弾に体を貫かれてしまった。


 それに、勢いづいた囚人ら&連合軍部隊は、益々突撃してきた。



「くっ! レギナ、大丈夫っ!? 生きてるっ!」


「くぅ~~! 敵が多くて、助けにも行けない……」


 レギナを心配しつつも、ミアとベーリット達は、機銃掃射や敵の多さに身動きが取れない。


 二人は、歯がゆい思いをしながら苦虫を噛み潰したような顔をしつつ、何とか敵に抵抗する。



「あと、二人だっ!! このまま押し切るっ!!」


「凄い連射精度と持続力だわ…………」


「ヤバい、後ろに下がらないとっ!」


 対空機銃PM1910の機銃掃射による火力と威力は凄まじく、ミアはコンテナから身を出せない。


 また、ベーリットも大型タイヤが機銃弾により、ガンガン削られ始めたので、焦り始めた。



 旧式とは言え、水冷式機機関銃の発射速度は速く、また連射能力も高い。


 それが、二連式に繋がれているので、二人とも中々反撃に移れない。



「ふぅ…………裏手から攻撃するしっ!?」


「死ねっ!」


「もう、後が無いわね…………? きゃあっ!!」


「くたばりやがれっ!」


 密かに、コンテナの裏から反撃に移ろうとした、ミアだったが。


 既に、敵兵が背後を取っており、彼女が踵を返した瞬間にAK103を発砲したのだ。



 ベーリットも後退しようと密かに動いたのだが、同じく、囚人も静かに彼女に近づいていた。


 そして、彼女が奴の存在に気がついた時には、もうナイフが振り下ろされていた。



「かはっ! ゴフッ!!」


「ぐはぁぁーー!?」


「いつつ…………!! ミアッ! ベーリットッ!」


 ミアは、脇腹や肩を何発か撃たれており、青い血を口から吐き出す。


 ベーリットも身を守らんとして、咄嗟に出した左腕には、ナイフの刃が深々と刺さる。



 それを、砲撃後から身を乗り出して、様子を伺った、レギナは二人の名を叫ぶ。


 自決しようとして、敵に撃たれた、彼女は左肩を軽く負傷しただけだったのだ。



「あっちにも居たか?」


「最初に死んだと思ったが、まだ生きてやがったか」


 叫んだ、レギナの声に反応した、敵兵と囚人たちは、彼女に一瞬だけ気を取られる。



「ちょっ! まだ、私は生きているわよ?」


「あの子は、殺らせないわっ!」


 だが、レギナから気を剃らせようと、ミアとベーリット達は敵を挑発する。



「まだ、生きているのかっ? いい加減に死ねっ!」


「誰が死ぬかっ!!」


「へへ…………このまま殺してやるぜっ!」


「殺…………されるのは、アンタよっ!」


 兵士がAK103を再び構えると、ミアも二丁拳銃を構える。


 囚人が、ナイフを横凪に振るうと、ベーリットも両手に掴むAGー3を前に出して受け止める。



「ぐっふぅ?」


「死ねっ!」


「がっ!?」


 また、ミアは何発も銃弾を喰らい、ベーリットは右肩に刃が深々と突き刺さる。



「ミアッ! ベーリットッ!」


 先ほどと同じく、レギナは窮地に陥った、二人の名を叫ぶ。



「きゃああっ!!」


 しかし、二人を助けようにも、対空機銃である水冷式機銃PM1910が、レギナの邪魔をする。


 途切れない機銃弾が、雪が積もる地面に穴を開けていく中、彼女の悲鳴が銃撃音とともに響いた。



「レギナ、助け…………」


「レギナ、貴女だけがっ! グフッ!!」


 ミアは地面に倒れて、悲しそうな顔で、レギナの方に振り向く。


 ベーリットも、囚人に押し倒されてしまい、胸にナイフによる一撃を喰らう。



「ミア、ベーリット、今助けるわっ!!」


 気がつけば、レギナは自分が本来レジスタンスの一員である事を忘れてしまい、体が勝手に動いた。


 彼女は、二人を助けようとして、敵の機銃弾が頬を霞める中、敵に向かって反撃する。



「ぐわっ!」


「う…………」


「がはっ!?」


 まずは、PM1910を撃ちまくっていた機関銃手の胸を、レギナが放った拳銃弾が貫く。


 次いで、ミアに止めを刺そうとした連合軍兵士の横顔を撃ち抜く。


 最後は、ベーリットを襲う囚人の側頭部に弾丸を貫通させた。


 その他、自動小銃を撃ちまくる兵士や鉈を片手に走ってくる囚人を何人か次いでに、レギナは殺す。



「はあ、はあ…………これで、全滅したのかしら?」


「居たぞーー」


「狩り殺せっ!」


 ミアとベーリット達の窮地を救った、レギナだが、敵は未だに増援として、次々とやってくる。


 また、別な囚人達が彼女達の隙を狙って、銃を向けてきた。



「…………思わず助けちゃったけど、本来なら…………」


 レギナは、そう思いつつ身を低くして、砲撃跡地に這いつくばる。


 彼女は、レジスタンスに所属するため、かつての友を助けるためとは言え、銃を撃ってしまった。


 なので、本当は自身が味方するべき、囚人や兵士たちを撃ったことに罪悪感を感じた。



 それ故、身を隠したまま、今の彼女は身動きせずに、じっと敵を観察していた。


 その時、空から上部にあるプロペラを回す、ヘリコプターが飛んでくる音がした。



 大型輸送ヘリ、Yakー24が、一機。


 戦闘攻撃ヘリ、Miー24VPが、二機。



 どちらも、青と水色に迷彩塗装され、一直線に刑務所の上空を目指して飛んできた。



「て、てった、がっ!?」


「ヤバい、撃ち落…………」


 戦闘攻撃ヘリである、二機のMiー24VPは、地上に激しい攻撃を行い始める。


 機体下部に搭載された、航空機関砲GShー23ー2で、囚人や連合軍兵士たちを掃射したのだ。



 23ミリ機関砲を撃たれた、敵は肉片となって、跡形もなく吹き飛んでいく。


 それにより、激しい機関砲弾を何発も食らった、トヨタ・テクニカルも爆発する。



「援軍よっ! レギナッ!」


「レギナッ! 助けてくれて、有り難うっ!」


「…………いや、ね?」


 三機のヘリコプターが飛来した事により、戦況は帝国側が有利となり、形勢逆転した。


 そして、ミアとベーリット達は強力な援軍の登場に喜ぶ。



 しかし、レギナだけは複雑な思いで、空を見上げるのだった。



「まただわ」


 レギナが見る先には、大型輸送ヘリ、Yakー24から降下する帝国軍兵士たちの姿が映る。


 さらに、遠くから黒い機体である、無人多目的ヘリ、Kaー137が四機飛来してした。



「凄い火力ね」


 四機の無人多目的ヘリ、Kaー137は、二連式ビゾン短機関銃を備えている。


 そして、レギナは地上を逃げ回る敵を狙って、無人ヘリ部隊が、銃弾をバラ撒いていくさまを見る。



「私達の勝利は、もう近いわっ!」


「レギナ、すぐに行くわよっ!」


「…………え? あ?」


 ミアとベーリット達は、混乱しながら逃げ惑う敵を追撃するべく走ってゆく。


 それにつられて、レギナもなし崩してきに後を追い掛けて行く。



 こうして、三人は崩された塀の外へと駆け出していき、残敵を掃討するために向かっていった。

 面白かったら、ブックマークとポイントを、お願いします。


 あと、生活費に直結するので、頼みます。


 (^∧^)

読み終わったら、ポイントを付けましょう!

ツイート