ヒンド、デリー首都直轄領。
ハンスラージ大学。
「タギー団は、不滅だああああぁぁっ!」
「我ら、タギー団に、栄光あれぇぇっ!!」
「うわああっ!」
「に、逃げろーーーー!」
大学校内を走り回り、タギー団を名乗る、ワーウルフの男女たち。
青いラバースーツの上に、黒い衣裳を身につけた彼等は、刀剣を振るう。
ワーウルフの男は、装飾刀タルワールを振るいながら、学生を背後から斬り倒さんと走る
ワーウルフの女は、直剣カンダを真っ直ぐ構えながら、学生を串刺しにせんと跳び跳ねる。
逃げ惑う学生を追う、連中の目は血走っており、青い欠陥が浮き出ている。
「うわっ! 前からもっ! げがっ!?」
「うあああああっ! ぐゃっ!?」
逃げていた学生たちの正面からも、ワーウルフが曲がり角から現れた。
そして、奴は両手から戦輪チャクラムを投げつけて、学生たちの首筋を切り裂いた。
それにより、走っていた二名の学生は、首を押さえながら廊下に倒れた。
ララ・ジャガン・ナス・マーグ通りに面した、ヒンジュー寺院。
「カーリー様への供物に捧げてやるっ!」
「はあーー! はあーー!」
寺院屋上からは、南西にある警察署を狙って、RPGー7が何発も放たれる。
連中は、黒衣を身に纏い、頭には黒いターバンを巻いている。
薬物を接種しているせいか、連中は極度の興奮状態にある。
「ロシャナラ・ロードに、パトロールに行ってきます」
「分かった…………」
クリーム色の制帽を被り、同じ色をした制服を着ている警官たちは、署内で仕事を行っていた。
「うわっ! な、なんだっ!? テロかっ!」
「駐車場の木々が倒れているぞっ!」
いきなり、署内が激しく揺れたので、中年警官は動揺する。
部下の警官は、外を見て叫ぶ。
警察署が、テロリストから狙われないように、駐車場の裏手に植えている木々が倒れていたからだ。
RPGー7弾が、警察署の駐車場を滅茶苦茶に破壊したことで、倒れた木も炎上している。
「早く外に出ろっ!」
「ヒンジュー寺院の上だっ!」
「また、RPGー7が来るっ!」
何人もの警官たちが、警察署から外に出ていき、どこに敵が居るだろうかと探す。
そして、一人の警官が寺院屋上からRPGー弾を飛ばす一団を見つけた。
彼等は、SAFカービン短機関銃やASMI《アスミ》短機関銃を撃ちまくる。
「撃ってきたかっ!」
「だが、止めないぞっ!」
帝国により、洗脳改造されているタギー団員たちは、臆することなくRPGー弾の発射を止めない。
オマケに、彼等は強力な薬物を、帝国軍工作員により、投与されているので決して恐れを成さない。
「なっ! 連中、砲撃をやめないっ!」
「危ない…………あっ!」
黒い車体のダイムラー、バーラトベンツ3143が止まる。
それと同時に、荷台に載せてあった銀色コンテナが開いた。
警官たちは、RPGー弾を避けようと署内に逃げていくが。
コンテナの中から、敵が大量に出てくるさまを見た。
「死ねーー! カーリーさま、万歳っ!」
「突撃だっ! 行くぞーー!」
「死ね、死ね、死ねぇぇっ!」
コンテナが横に開くと、中からタギー団員部隊が飛び出すように走ってくる。
黒衣のタギー団員や、ワーウルフ化した団員などだ。
しかも、連中はAKー100ライフルや、スコーピオン短機関銃を乱射する。
コンテナ内の中央部には、ポールマウントが設置されている。
そこには、NSV重機関銃が載せてあり、タギー団員が、警官隊に機銃掃射する。
それら猛火力の前に、警官たちは署内で身を隠すほかない。
「うああっ! く、来るなっ!?」
「敵を近寄らせるなっ! うぐ? 撃たれたか」
「これでも喰らえっ!」
「うーー?」
署内の窓から、警官たちは頭上に短機関銃だけを掲げつつ、敵を牽制しようと連射し続ける。
その中で、騒ぎを聞き付けて奥から出てきた女性警官が、IOF32リボルバーを構える。
黒いリボルバーから放たれた、必殺の一撃は、NSV重機関銃を握るタギー団員に当たった。
それも、眉間の真ん中にだ。
「機銃がっ!? いや、まだ行けるっ!」
「止まるなーー! 突っ込めーー!」
「援軍を要請しろ」
「ヤバイ、近寄ってくるっ!?」
タギー団員やワーウルフ達は、銃を撃ちつつ止まる事なく、ひたすら突っ走る。
一方、警官たちは短機関銃で応戦する。
そこに、ヘリコプターまで現れた。
「今度は空襲かっ!?」
「いや、援軍だわっ!」
「ぐあ、なんの、ぐ…………」
「ぎゃあっ!!」
警官たちは、署内から空を見上げると、一機のヘリコプターを視認した。
そこから機関銃が放たれ、地上に雨霰のように振り袖いだ。
この空襲により、機銃掃射で、タギー団員たちは次々と倒れてゆく。
「ここにも来るっ! ぐゃっ!?」
「撃てっ! うわああっ!?」
ヒンジュー寺院の上に陣取っていた、タギー団員もRPGー弾を、ヘリコプターに撃つ。
しかし、間一髪でヘリは攻撃を回避すると、即座に機関銃を連射する。
この機体は、グリーン系迷彩で塗装された、汎用ヘリ、ドゥールブだ。
その右側にある、武器マウントに備えられた、MG6A旋回機銃を、ヒンド陸軍兵士は撃ち続けた。
結果、7、62ミリ弾を何発も喰らった、タギー団員たちは寺院屋上で倒れてしまった。
「戦闘は終わったのか?」
機関銃による射撃音が止まった後、中年警官は、窓の外を警戒しながら見て粒やいた。
赤い城。
「迫撃砲、発射用意っ! 撃てっ!!」
ポンポンと言う音とともに、赤い城の奥から大量に砲弾が空を飛んでいく。
それが、市街地のアチコチに落下すると、青い毒ガスが空へと登っていく。
タギー団員が、それを城の正門屋上から眺める。
「行け、行け、連中を一人も残らず殲滅しろっ!」
「散会するっ! 援護しろっ!!」
OTー64装甲兵員輸送車が、三台も到着すると、後部から兵士が慌てて飛び出てくる。
エクスカリバーライフル、アモグカービンを構えながら走る彼等だが。
頭上から、タギー団員が隙を狙って、RK機関銃で猛烈な連続射撃を放ってきた。
「うわっ!」
ウッドランド迷彩に、緑のベレー帽を被るヒンド陸軍兵士たちだが。
敵の集中砲火を前に、彼等は装甲車へと身を隠すほか無かった。
南アシュアは、このようにして、都市部で連続テロが発生していた。
南アフレア、ヨハネスブルグ。
ゴールド・リーフ・シティ・カジノ。
「きゃああっ!?」
「うわああ、テロだっ!!」
「いやーーーー!」
「だっ! 誰か、誰かっ!」
カジノ正面入口から、我先にと蜘蛛の子を散らすように、客が逃げ出していく。
逃げる彼等は、中央にある、金色のレイヨウ像が何体も飾られた噴水を避けて走ってゆく。
また、その左右にある花壇を乗り越えたりして、駐車場に向かっていく。
「逃がすか、全員死ねっ!」
「あぁっ!?」
「ぐげげげげっ!!」
火炎放射と凄まじい稲光を放ちながら、パナマ帽を被り黒スーツを着た、ウィザードは歩いていく。
火炎に焼かれた白人男性は、悲鳴を発する事なく小さな声を出しながら消し炭と化す。
稲光を受けた、黒人女性も、高電圧の電撃に悶え苦しみながら死に絶える。
「さて…………」
「いやああああっ!? ぐえ…………」
「助けてくれーー! ぶぁっ!」
絶叫しながら逃げていく、客だが彼等の正面に現れた、オーガーが暴れる。
散々になって逃げる、白人女性を捕まえた、奴は軽々と片手で投げ飛ばした。
それは、アジア人男性の体に衝突して、グキッと変な音を立てる。
「死んだか?」
「なら、残りを減らさんとな」
「ぎゃあっ!!」
「いやぁっ!?」
オーガーが呟くと、何処からか現れたシュヴァルツ・リッターがPKP汎用機関銃を撃ちまくる。
逃げることしか出来ない、客たちは正面から弾丸の雨を浴びて悲鳴を上げていく。
しかし、カツンッカツンと、オーガー&シュヴァルツ・リッターの装甲に何かが当たる。
「クソ、防弾アーマーだっ!」
「連中、手強いぞっ!」
「あん? 警備の連中か?」
「やっちまうか」
いつまでも、一方的に虐殺を続けられるはずがなく、カジノの警備員たちが駐車場に現れた。
左右から何人もの、白シャツを着た警備員たちが拳銃を撃つ。
ベクターSP1とベクターCP1などから、何発もの拳銃弾が放たれるが。
オーガー&シュヴァルツ・リッターの防弾装甲にすべて弾かれてしまう。
しかし、その間に駐車場へとパトカーが何台か走ってきた。
白い車体と、下部が黄色く塗装された、三菱ランサーだ。
「チッ! 勝てるワケもねぇのに、よくやるぜっ!」
「全くだなーー?」
「ごはっ!」
「ぐああ」
オーガーは、両腕に搭載した、グレネードランチャーを放つ。
一方、シュヴァルツ・リッターは、PKP汎用機関銃を撃ちまくる。
これにより、パトカーは即座に破壊され、警備員たちも射殺されてゆく。
「よぉし、我々も外に出るとするか?」
カジノ内部を破壊しつくした、ウィザードは部下を引き連れて正面玄関へと歩いてくる。
その部下は、老若男女と人種関係なく、さまざまな人間で構成されていた。
トーテン・シェーデル・ゾルダート、ワーウルフ、グール等からなる部隊だ。
無表情の彼等は、アチコチに向かって、AKMやRPKを撃ちまくった。
こうして、カジノは惨劇の場と化した。
サッカー・シティ・スタジアム、ジャーマン・カントリー・クラブ、テムニサ病院。
ヨハネスブルグ市内は、帝国軍・潜入工作部隊により、何処も戦場と化していた。
ポンテシティーアパート。
「クヒヒ…………」
アパート最上階から下卑た笑い声を出しながら、双眼鏡を覗く、金髪の女性。
彼女は、帝国軍・工作部隊の隊長だ。
『ああ、私だ? マネキンを四十体、追加な? あ、ああ分かった…………ブーークックックックッ!!』
金髪女性は、双眼鏡をテーブルに置き、スマホで誰かに電話しながら指示を下す。
そうして、艶かしいピンクのリップを塗った唇を舌なめずりした。
おそらく、マネキンと言うのは拉致・洗脳改造された、ヨハネスブルグ市民たちだろう。
彼女は、帝国により、脳から記憶や感情を削除された彼等が起こす悲劇を想像する。
それを思うと、あまりの面白さに笑いが止まらず身悶えした。
ハンザ・アフレア地域で戦う、連合軍の後方兵站基地であった南アフレアだが。
ここにも、帝国による魔の手が、密かに侵食を続けていた。
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