防空部隊が次々と、制圧されていく中、残る対空砲も帝国軍に破壊されてしまう。
連邦政府庁舎ビル屋上に展開していた、ZPUー4対空機関砲を扱うPMC部隊も攻撃される。
「不味い、今度は向こう側だっ!!」
「破壊されたわっ!?」
帝国軍兵士の一人が、RGー6グレネードランチャーを発射しまくった。
それは、ZPUー4対空機関砲を粉々に吹き飛ばし、PMC部隊を全滅させる。
しかも、屋上に伏せた、帝国軍部隊が、MG3汎用機関銃を連射してきた。
「不味い、不味い、不味い? このままじゃ押しきられるっ!」
昨日よりも、さらに戦力を集中投入してきた帝国側部隊を前に、ナタンは焦りまくる。
大戦車軍団と歩兵大部隊が、次々と東側から攻めて来ているからだ。
「心配するなっ! もうすぐだっ!」
「軽戦車が来るぞっ!」
「は? それは本当か?」
コリャン軍のイとユン達が現れると、ナタンを勇気づける事を言った。
二人が言った通り、戦場には、現代ロテム製、無人地上車両MUGVが三台も姿を表した。
緑色の車体には、K3車載機関銃と対戦車ミサイルATーK1レイボルトが搭載されている。
遠隔操作により、MUGVからBMDー3に向けて、ミサイルが発射された。
「うおっ! 撃破したぞっ!」
「やったわ」
「まだ安心できない、次は本格的な部隊が来るぞっ!」
「イズライル製、軽戦車だっ!」
味方戦車の登場に歓喜するナタンと、興奮するメルヴェだったが。
それとは対照的に、イとユン達は、敵戦車部隊の動きを観察する。
続いて、彼等が言った、イズライル製の無人戦闘車両が、三台も登場する。
ベージュ色の六輪戦車MーRCV、ROBUSTだ。
「機関砲は、30ミリだっ! これで、少しは耐えられるっ! 味方の機甲部隊は他で善戦している」
「連中は、まだ此方に来るには時間がかかるっ!」
「発射、撃破した」
「敵の射撃管制装置を破壊したっ!」
無人戦車である、MUGV&ROBUSTの活躍により、BMDー3が次々と破壊される。
また、Tー90とTー90Mプラルィブ部隊も何台が穴だらけになり、走行を停止する。
イとユン達が、話している間にも、他の装甲車両を含めた、敵部隊が撃破されてゆく。
自衛隊員は、01式軽対戦車誘導弾で、アリエテMk3を攻撃して、見事に爆発させた。
チィーナ軍兵士は、99式対物ライフルでBMDー3のセンサー類を攻撃する。
彼等は、隣の部屋から対戦車兵器で抵抗していた。
「ぐわっ! 危ないっ!」
「敵のRPGーだっ!」
「壁から離れろっ! お前ら、そこは凄く危険だぞっ!」
「戦線を廊下まで下げる、もう壁が無いからなっ!」
イとユン達が、隠れていた壁が吹き飛ばされて、周囲に破片が飛び散る。
ウェストは、二人に指示を下しながら、自身も廊下へと走る。
ギデオンは叫びながら、後方へと仲間たちを引き連れて、退避していく。
「ナタン、私達も下がるわよっ!!」
「よし、今行くっ!」
メルヴェに呼ばれた、ナタンは両手で、ベネット・メルシエを抱えながら走り去ろうとする。
「ん? なんだ、この光は…………」
ナタンが青い光が、室内を照らしたので、不思議に思い振り向いた。
すると、機動力を活かして、帝国軍戦車を撃破していた、ロボット戦車部隊に異変が起こった。
青い光線が、左側から右へと橫凪に照射されると、ロボット戦車は全く動かなくなったのだ。
「な、なんだ、あの戦車は?」
一部、残ったロボット戦車たちも、帝国軍の戦車や歩兵戦闘車に撃破されてしまう。
ナタンは、戦場のど真ん中に、1K17、ジェーティェ自走光線兵器装置が停車している姿を見た。
これは、ロシャ連邦で過去に開発研究されていた、特殊戦車だ。
敵軍・戦車部隊を破壊せず、センサー類のみをレーザーで故障させる事で無力化する兵器だ。
当時としては、先進的すぎた事と開発予算を失った軍部により、研究は凍結された。
しかし、レーザー兵器や魔術兵器を多数保有する帝国は、これも実戦投入してきたのだ。
「急に、誘導弾が使えなくなった?」
「ダメだ、ダットサイトが使えない?」
自衛隊員の01式軽対戦車誘導弾、チィーナ軍兵士が持つ、03自動歩槍も電子機器が故障する。
人造ルビーを使った、プリズム・ビーム光線を浴びると、あらゆる機器が使用不可能になるのだ。
「おい、これはどうするんだ、もうそこまで戦車隊が来ているぞっ!」
「大丈夫だっ! この距離なら、テミスが前に出せる」
機銃掃射と砲撃を受ける壁の裏で、ハキムが叫ぶと、ウェストはラップトップを取り出す。
そして、空中を飛ぶドローンを使って、テミス・コンバットUGVを誘導する。
「やった、BMDー3とTー90が破壊されていく、あのレーザー戦車もやったぞ」
「本当か?」
画面内の映像で、敵戦車が爆発すると、戦場にも同時に爆音が轟く。
ウェストは喜びながら戦果報告するが、ハキムは壁に隠れながらムーディーAKMSで反撃する。
「しかし、ヤバイな、公園内のバスや地対空ミサイルは全て砲撃で吹き飛ばされてしまった」
「次は敵の航空機が来るぞっ!! 対空車は何処に行ったんだ?」
最初の多連装ロケット弾による砲撃と、戦車隊から受けた攻撃で、公園内は滅茶苦茶になった。
偵察用ドローンからの映像を見ながら、ウェストは険しい表情で呟く。
ギデオンは、爆撃機による空襲が行われると予想して、対策を立てねばと思案する。
「空襲だ、敵機飛来っ! ヘリコプターだっ!」
Kaー52アリガートル三機、Miー28Nハヴォック二機。
どちらも、黒い塗装を施されており、低空で飛行編隊を組みながら向かってくる。
そして、一度上昇すると、ロケットポッドと機銃掃射を行いながら急降下爆撃してきた。
「屋内に逃げろっ!」
「ヤバイなっ! 退避するっ!」
「退避、退避だっ!?」
「うわああ」
自衛隊員やチィーナ軍兵士たちは、空襲を避けるべく、屋内に我先にと逃げ込んできた。
「ここも危険だ、二階に下がるぞっ!」
ギデオンの先導により、階段へと連合側部隊は下がっていく。
直後、三階は屋根全部を纏めて、ロケット弾により吹き飛ばされた。
「次は、どうするんだっ! もう、戦う手段はないぞっ!」
「また、飛行機が飛んでくる音がするっ!!」
「退避するしかない、ここは放棄する」
ハキムとウェスト達は、焦りまくり、半ばパニックになりながら怒鳴る。
ギデオンも、どうしていいか分からず、仕方なく撤退を選択する。
「ん? 爆発音が向こう側でしたぞっ!」
「あっ! 本当だわっ!!」
ナタンとメルヴェ達は、不意に聞こえた爆発音に気がつき、部屋の中を覗く。
PKとMG3による機銃掃射と、RPGー7からの砲撃が飛ぶ中、外に見えた光景は凄まじかった。
爆炎が、デュカル通りに展開していた、機甲部隊を纏めて包み込んだのだ。
「なんだ、あの攻撃は?」
「ナタン、皆さん、翼竜2型ですっ!」
ナタンの背後から、いきなり現れた、アイリーが話しかけてきた。
彼女が言った、翼竜2型とは、チィーナ製の爆撃機型ドローンでる。
「連合軍の空挺部隊が援軍に来ていますっ! それまで、ここは死守しましょう」
「隊長、ベッキー、大丈夫だったか?」
「敵部隊は? ただいま、味方の戦車部隊が向かってます」
アイリーの背後から、モニカとブルーノ達も現れると、戦況を聞いてきた。
「お前達も、ようやく到着したか?」
「我々も、来ましたよ」
ギデオンが、部下たちが来たので、安堵すると、ウェンも部隊を率いて現れる。
こうして、連合側は勢いを盛り返し始めた。
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