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留菜マナ
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第四百四十八話 君が原色に変わるまで③

公開日時: 2024年1月29日(月) 16:30
文字数:1,102

「だが、『サンクチュアリの天空牢』のどこに向かえばいいんだ? 行き当たりばったりな行動は勘弁してほしい」

「……分かっているよ」


状況説明を欲する奏良の言葉を受けて、徹はもはや諦めたように続ける。


「まずは情報収集だ。彼らがこの後、どこに向かうつもりだったのか、そこだけでも即急に判明させるつもりだからな」

「ああ」


徹の提案に、有は納得したように視線を周囲に飛ばす。

やがて、『アルティメット・ハーヴェスト』のギルドメンバー達が状況を報告するために戻ってくる。


「徹様」

「どうだった?」


徹に問い掛けられてから、『アルティメット・ハーヴェスト』のギルドメンバー達は恭しく礼をする。


「捕らえた者達の情報によりますと、『レギオン』と『カーラ』のギルドメンバー達は既に『サンクチュアリの天空牢』で待ち構えているとのことです。彼らは愛梨様を捕らえた後、ロビーで合流する手筈だったようです」

「陽動作戦が功を奏したか。マスカットの聖誕祭で手に入れたメイキングアクセサリーは有用だったな」


有は改めて、この策こそが最上だったと判断する。

マスカットの聖誕祭の射的コーナーにおける目玉景品。

それはイメージした衣装に見た目を変えることができるメイキングアクセサリーだった。


「うーん。愛梨ちゃんの格好のままだとすぐにバレると思うし、私はやっぱり、『カーラ』の人達と同じ格好にするね」


花音はそう応えると、メイキングアクセサリーを用いて白いフードを身に纏う。


「俺はどうするかな」

「私はどうしようかな」


望達全員がそれぞれ『レギオン』と『カーラ』のギルドメンバーに変装して、周囲の目から逃れようと模索する。


「空には数多くの浮き島が点在している。その中には小型のダンジョンも複数あるだろう」


有は準備を終えると、空を見上げて塔までの方角を見定めた。


「プラネットよ、頼む」

「有様、『サンクチュアリの天空牢』の位置特定、お任せ下さい」


有の指示に、プラネットは誇らしげに恭しく頭を下げる。


「……っ! 有様、『サンクチュアリの天空牢』は以前、訪れた地点よりかなり離れた場所に移動しています」


プラネットが『サンクチュアリの天空牢』の位置を探っていると、奇妙な違和感に気がついた。

浮き島の座標が流れる雲に沿って点々と動いているのだ。


「浮き島は、雲と同様に動いているはずだ。別の場所に移動していてもおかしくはない」


プラネットの説明を聞いて、有は悩むように首を傾げる。


「よし、行くぞ! 『サンクチュアリの天空牢』へ!」

「ああ」

「うん」


有の号令の下、望達は効果を確かめるように飛行アイテムを掲げた。

すると、飛行アイテムが光り、浮力が働いたかのように、望達の身体を上昇させていく。

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