「望、リノア……!」
その頃、勇太は交戦していた。
相手は勇太と同じ、天賦のスキルの使い手達。
とはいえ、全力でぶつかり、打ち倒すしかない。
「くっ……!」
相手の力を感じながらも、勇太は大剣で目の前の天賦のスキルの使い手達を薙ぎ払う。
自分より格上の相手を善戦するものの、次第に体力を消耗させられてしまう。
「勇太くん!」
望達のもとに向かおうとして、そのまま倒れそうになった勇太を、すんでのところで後方支援に回っていたリノアの両親が支える。
『アーク・ライト!』
「……っ!」
リノアの父親は光の魔術を使って、勇太の体力を回復させた。
『お願い、ジズ! 彼に力を与えて!』
それと同時にリノアの母親も、自身の召喚のスキルで小さな精霊を呼び出し、勇太の攻撃力を上げる。
「勇太くん。後方からのサポートは任せてほしい」
「リノアを救う手立てを見つけたいの」
「おじさん、おばさん、ありがとうな」
リノアの両親の懇願に、勇太は嬉しそうに承諾した。
「行くぜ!」
「ああ」
「ええ」
リノアの両親は望達のサポートに徹する。
勇太はリノアの両親の援護を受けながら、望達のもとを目指して駆け出した。
「美羅の真なる力の発動を食い止めるためにはーー」
「では、その奇跡の力を……私達にお見せください」
そう告げる前に先じんで言葉が飛んできて、勇太は口にしかけた言葉を呑み込む。
「お兄様の時のように……。椎音愛梨の特殊スキル、『仮想概念(アポカリウス)の奇跡を」
「……『カーラ』のギルドマスターは、本当に先生の妹なんだな」
そう申し出るかなめの様子に、勇太は不信感を抱いたまま、表情を険しくする。
「この部屋の秘密を探るためには、この状況を打破するしかないな」
「この部屋の秘密を探るためには、この状況を打破するしかないね」
「うん」
望とリノアの決意の宣言に、花音は意図して笑みを浮かべてみせた。
「なら、俺達がリノア達の道を切り開くだけだ!」
「「勇太くん」」
勇太の決意に、望とリノアは躊躇うように応える。
「今度こそ、絶対にリノアを救う手立てを見つけてみせる!」
勇太は両手で大剣を構えると、かなめがいる方向へと目を向けた。
勇太が今、対峙するべきは、迫る眼前の脅威だ。
「行くぜ!」
断定する形で結んだ勇太は、かなめに向かって駆けていった。
『フェイタル・トリニティ!』
「……っ」
勇太は跳躍し、かなめ達の不意を突くようなかたちで大技をぶちかました。
勇太の放った天賦のスキルによる波動が、『レギオン』と『カーラ』のギルドメンバー達を襲う。
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