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留菜マナ
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第三百七十八話 幻想の空を纏う⑤

公開日時: 2023年1月27日(金) 16:30
文字数:1,050

「望よ、こちらは大丈夫だ」

「プラネットちゃん、すごい!」


有の言葉に同意するように、花音は両手を広げて喜び勇んだ。


「有様。このまま、バリアを展開していてもよろしいでしょうか?」

「もちろんだ、プラネットよ」

「ありがとうございます」


有の承諾に、プラネットは一礼すると強気に微笑んでみせる。

骨竜達を対処していた徹は光龍を一旦、引かせると、望達が相対しているモンスターを物言いたげな瞳で見つめた。


「……このタイミングで、新たなモンスターか」


この局面において現れたーー新たな敵。

徹は必死に光明に縋り、勝利に繋がるための手段に思いを巡らせる。

徹は骨竜達と対峙しながら、モンスターへと立ち向かう望達に希望を托した。


『レギオン』の召喚のスキルの使い手達が呼び出したモンスター。

モンスターは危害を加えてきた望達をゆっくりと睥睨する。

まるで望達を敵と見定め、圧倒的な迫力を直に訴えかけてくるようだ。

圧倒的な能力が厚となって、望達の肌に突き刺さる。


「望、リノアよ、吉乃信也にリノアの意識を失わせるように仕向けるためにも、あのモンスターを倒すぞ!」

「……有。あのモンスターを倒すためには、かなりの時間を要する。望達を吉乃信也のもとに行かせることを考慮して、波状攻撃で攻め立てた方がいいと思う」


迎え撃つ姿勢の有の意思に、奏良はモンスターを威嚇するように発砲しながら苦言を呈した。

有の表情が硬く強張ったのを見て、奏良は付け加えるように続ける。


「だが、『アルティメット・ハーヴェスト』が他を抑えに回ってくれている今なら、あのモンスターを倒すことは出来る。そのためには、みんなの体力を回復させる必要があると僕は思う」

「はい。あのモンスターを討伐する方法はあります」

「討伐する方法?」


有の疑問を受けて、プラネットは花音に目配せした。

花音は即座にインターフェースを使い、ステータスを表示させると、自身のスキル技を確認する。


「妹よ、どういうことだ?」

「あのね、お兄ちゃん。私のスキルを使えば、あのモンスターに対処出来るんだよ!」


有の発言に、花音は両手を広げて歓喜の声を上げた。


「花音のスキル『クロス・リビジョン』を使えば、モンスターは麻痺の効果で動きが鈍くなる」

「なるほどな。ステータス異常を発生させて動きを阻害するんだな」

「なるほどね。ステータス異常を発生させて動きを阻害するんだね」


奏良が事実を如実に語ると、望とリノアは納得したように首肯する。


積み上げた強さとともに、望達は『レギオン』と『カーラ』、そして信也に立ち向かう意志を示した。

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