示唆されていた『カーラ』の襲撃に遭い、望達は一時的に分断させられる状況に陥る。
辛くも何とか合流を果たした後、待ち構えていたかなめが重要な事実を口にしたのだ。
『プロトタイプ版のみに存在するダンジョンは、あなた方が知る限り、『サンクチュアリの天空牢』のみですね』
『『それはーー』』
かなめが訥々と語った内容。
望は改めて、かなめが口にした言葉を脳内で咀嚼する。
『もしかして、他にもあるのか?』
『もしかして、他にもあるの?』
不可解な空気に侵される中、望とリノアは慄然とつぶやいた。
『サンクチュアリの天空牢』がプロトタイプ版のみに存在するダンジョンーー。
それはプラネットの事前調査で判明したことだ。
だからこそ、もし今回のダンジョン調査で、特殊スキルの手がかりが得られる場所があるとすれば、『サンクチュアリの天空牢』しかないと思っていたのだ。
プロトタイプ版のみに存在するダンジョンが他にも存在するのかーー。
望の驚愕とは裏腹に、かなめは夢見るような表情を浮かべて応える。
『今回、あなた方が調査している範囲内のダンジョンでは、特殊スキルのーー究極のスキルの秘密に繋がる場所は残念ながらありません』
『『なっ!』』
想定外の答えに、望とリノアは絶句した。
『お兄様が告げていたはずです。『創世のアクリア』のプロトタイプ版には、あなた方の知らない事実が隠されている、と。だからこそ、あなた方はこのダンジョン調査依頼のクエストを選んだのですよね』
『『ーーっ』』
かなめの追及に、望とリノアは事態の重さを噛みしめる。
確かに、新たなダンジョンを選んだ発端は、信也のあの言葉を聞いたからだ。
しかし、それは望達が、『レギオン』と『カーラ』の術中に完全に嵌まっている事を意味した。
『新たなダンジョンに、特殊スキルのーー究極のスキルの秘密が隠されているのは事実です。ですが、それは『アルティメット・ハーヴェスト』の管轄内にあるダンジョンには存在しません』
かなめが語っていた新たなダンジョンに関する顛末。
『アルティメット・ハーヴェスト』の管轄外にあるダンジョン。つまり、プロトタイプ版のみに存在するダンジョンに特殊スキルの手がかりがあるーー。
有はそこにリノアを元に戻すための手がかりがあることを感じ取った。
もしかしたら機械都市『グランティア』に赴く手段も見つかるかもしれない。
「なら、プラネットよ、『サンクチュアリの天空牢』のダンジョンマップの表示を頼む」
「はい。有様、こちらをご覧下さい」
そう判断した有の指示に、プラネットは恭しく礼をする。
そして、軽い調子で指を横に振り、望達の目の前に『サンクチュアリの天空牢』のダンジョンマップを可視化させた。
「なっ……!」
それを視野に納めている最中で、望は見覚えのない場所が混ざっていることに気づき、目を瞬かせる。
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