「奏良様。それは……『アルティメット・ハーヴェスト』によって、彼らが捕らえられたことを報告するのですか?」
「プラネットよ。俺達は『アルティメット・ハーヴェスト』と交戦したことになっている。愛梨を狙っていた者達がどうなったのか、知っていてもおかしくはないだろう」
プラネットの思慮に、有は複雑そうな表情で視線を落とすと熟考するように口を閉じた。
「先程の出来事を報告か。いや、事実をそのまま報告するより、少し虚実をない交せにした方がいいかもな」
「先程の出来事を報告。いや、事実をそのまま報告するより、少し虚実をない交せにした方がいいかもね」
その言葉を皮切りに、望とリノアは沈着に現状を分析する。
「貴様ら、そこで何をしている?」
「……っ」
その時、先程の『レギオン』のギルドメンバーが疑問を発した。
望達の間に緊張が走り、会話が止まる。
「あ、あの……。実は僕達、かなめ様に伝言を頼まれていたんです。椎音愛梨の目撃情報の真偽について……」
咄嗟の機転で、奏良は辿々しくも沈痛な面持ちで続ける。
「真偽だと……?」
『レギオン』のギルドメンバーは不思議そうに奏良の真偽を確かめた。
「はい。実はーーあの情報は真実でした。実際に蜜風望は椎音愛梨に変わっていました。ただ、椎音愛梨を捕らえに向かった者達は、『アルティメット・ハーヴェスト』の者達の介入によって捕らえられてしまいました」
奏良は虚実をない交ぜにし、知られたら都合の悪いことを伏せながら話を続ける。
「偶然、通りかかった僕達は、かなめ様にそのことを報告してほしいと頼まれたんです」
「そうだったんだな」
到底、聞き流せない言葉を耳にした『レギオン』のギルドメンバーは虚を突かれたように瞬く。
奏良はそれを見越した上で、徹頭徹尾、かなめのもとに行くために行動を起こす。
「もし、よろしければ、かなめ様の力をお貸してください。恐らく今も椎音愛梨のままです。かなめ様の光の魔術なら、椎音愛梨と美羅様とシンクロさせることができるはずです」
「なんだと……!」
奏良が語った、愛梨を捕らえようとした者達の顛末。
それは真実と詭弁が入り混じった内容だった。
だが、そのことを知らない『レギオン』のギルドメンバーは焦燥を抱く。
「確かにそれは絶好の好機だな。即急にかなめ様に報告せねば!」
「あの……、僕達に報告させて頂けませんか? あの場にいた僕達なら、椎音愛梨をどこに匿っているのか分かると思います」
「確かに。ついて来い」
愛梨のもとには『アルティメット・ハーヴェスト』の者達がいる。
到底、この場にいる自分達では対処することは出来ない。
状況を把握した『レギオン』のギルドメンバーに先導されて、望達はかなめのもとへと向かう。
そして、この場にいる者達に作戦の変更が言い渡された。
読み終わったら、ポイントを付けましょう!