「くっ!」
「ーーっ!」
望とリノアは先導しながら、目の前に迫ってくるモンスター達を屠っていった。
「あまり強くはないモンスターとはいえ、複数出てくると厄介だな」
「あまり強くはないモンスターとはいえ、複数出てくると厄介だね」
望とリノアは標的を切り替え、剣を構え直す。
狙うべきは、残りの数匹のモンスターだったのだが、望達を掻い潜り、ダンジョンの奥へと戻っていく。
「貫け、『エアリアル・アロー!』」
奏良が唱えると、無数の風の矢が一斉に逃げようとしていたモンスター達へと襲いかかる。
モンスター達は地面に伏すと、身体を震わせながら消えていった。
「よし、行くよ!」
花音は身を翻しながら、鞭を振るい、周囲のモンスター達を翻弄する。
状況の苛烈さから逃走しようとしたモンスター達を畳み掛けるように、杖を構えた有は一歩足を踏み出した。
『元素還元!』
有は、逃走を図ったモンスター達を牽制するように杖を振り下ろす。
有の杖が床に触れた途端、とてつもない衝撃が周囲を襲った。
床の一部分が、まるで蛍火のようなほの明るい光を撒き散らし、崩れ落ちるように消滅したのだ。
床が消えたことで、支えを失ったモンスター達は次々と奈落の底へと落ちていく。
しかし、それでもモンスター達はあらゆる手を使い、望達が居る上階へと上がろうとしてくる。
「させません!」
プラネットは吹っ切れた言葉ともに、上へと這い上がろうとしたモンスター達に両拳を叩きつけた。
それと同時に高濃度のプラズマが走り、爆音が響き渡る。
煙が晴れると、モンスター達は全て、焼き尽くされたように消滅していった。
「俺の出番、なかったな」
「俺もだ……」
あっさりとモンスター達を全滅させてみせた望達の姿を見て、徹が感嘆の吐息を漏らし、勇太は悔しそうにため息を零す。
「有、目的のフロアまではどのくらいになるんだ?」
「あと少しだな」
現れたモンスターの群れを一斉射撃で葬った奏良は、有と顔を見合わせて意見を言い合う。
望達は何度か、モンスターと遭遇しながら、洞窟の奥を目指していく。
マップ通りに歩いていると、やがて目的の場所である小部屋へとたどり着いた。
「お兄ちゃん、使い魔はもう呼び出せるのかな?」
「妹よ、ダンジョン内に入った時点でいつでも呼び出すことができるようだぞ」
「わーい! すごい使い魔を呼び出せそうだよ!」
花音は両手を前に出して、水を得た魚のように目を輝かせる。
花音の疑問に応えた有は、ダンジョン内に散らばる木の枝などを集めて回復アイテムを人数分、生成した。
そして、花音に向き合うと、仕切り直して続ける。
「妹よ。今回のダンジョンのモンスターは複数現れると厄介なようだが、そこまでは強くないようだ。俺達の方で外観調査と『アメジスト』の素材の入手は行うつもりだから、その間、思う存分、使い魔と戯れられるぞ」
「わーい! お兄ちゃん、ありがとう!」
有のさりげない配慮に、花音は両手を広げて歓喜の声を上げた。
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