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留菜マナ
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第ニ百八十四話 水想の言伝⑦

公開日時: 2021年6月29日(火) 16:30
文字数:1,802

有が示唆した方針を聞いて、勇太は新たな戦い方を模索する。


『フェイタル・トリニティ!』


勇太は跳躍し、賢達の不意を突くようなかたちで大技をぶちかました。

勇太の放った天賦のスキルによる波動が、賢達を襲う。


「なっーー」


視線を誘起された『『レギオン』』のギルドメンバーの一人が、その不慮の一撃をまともに喰らう。

その瞬間、『『レギオン』』のギルドメンバーの一人は体力を失い、そのまま、この仮想世界から消えていった。

光を纏った大剣が、周囲にいた『『レギオン』』のギルドメンバー達さえも攻撃ごと吹き飛ばす。


「行くぜ!」


一網打尽とまではいかなかったが、勇太は『アルティメット・ハーヴェスト』のギルドメンバー達と協力して、次々と『レギオン』のギルドメンバー達を薙ぎ倒していく。


「よーし、私達も行くよ!」


裂帛の咆哮とともに、花音は力強く地面を蹴り上げた。


『クロス・バースト!』


今まさに望達に襲いかかろうとしていたモンスターに対して、花音が天賦のスキルで間隙を穿つ。

花音の鞭に搦(から)め取られた瞬間、鞭状に走った封印の効果によって、モンスターは全ての特性を封じられた。

さらに追い打ちとばかりに、花音は鞭を振るい、何度も打ち据える。

後方に控える『レギオン』の魔術の使い手達は、徹と『アルティメット・ハーヴェスト』の魔術の使い手達によって回復の手を阻害されていた。


「奏良よ、頼む」

「言われるまでもない」


有の指示に、奏良は弾丸を素早くリロードし、銃を構えた。

発砲音と弾着の爆発音が派手に響き、モンスターを怯ませる。


「行きます!」


裂帛の咆哮とともに、プラネットは力強く地面を蹴り上げた。


「はあっ!」


気迫の篭ったプラネットの声が響き、モンスターは爆せていく。

花音達の攻撃により、モンスターのHPは半分近くまで減った。


「「これで決める!」」


そのタイミングで、望とリノアは剣を掲げると、連なる虹色の流星群を一閃とともに放つ。

望の特殊スキルと愛梨の特殊スキル。

それが融合したように、モンスターに巨大な光芒が襲いかかる。

一片の容赦もない二人の一振りを受けて、モンスターのHPが一気に減少していった。

しかし、HPを示すゲージは0になったものの、モンスター達はすぐに完全復活して青色の状態に戻ってしまう。

その有り様は、まるでゾンビのようである。


「何度倒しても、復活するなんて反則だよ!」


力尽きたはずのモンスターは、やがて立ち上がり、何事もなかったように襲いかかってくるという違和感のある事実。

それを間近で目撃した花音は、不満そうに頬を膨らませてみせる。


「今度は、『クロス・リビジョン!』」


HPを示すゲージは減ったものの、花音はこれ以上はダメージを与えずに鞭を振るう手を止める。

これ以上ダメージを与えて倒してしまえば、また先程のように復活してしまうからだ。

それに麻痺の効果で、モンスターはしばらく身動きが取れない。


「切りがないな。とにかく、転送アイテムを使って、この場から早急に離脱する必要がある」

「ーーっ」


奏良は威嚇するように、『レギオン』のギルドメンバー達に向けて、連続で発泡する。

風の弾が『レギオン』のギルドメンバー達に衝突し、大きくよろめかせた。

難を逃れるために、この場を離脱したいのに身動きが取れない。

賢はそれを見越した上で、徹頭徹尾、美羅のために行動を起こす。


「『アルティメット・ハーヴェスト』の加勢があったとはいえ、君達を捕縛するのに支障はない。召喚されたモンスターを葬り、私達から逃れるのは困難を極めるはずだ。もちろん、私達自身も、君達をここで逃がすつもりはない」

「「……それは」」


あまりにも単刀直入な言明に、望とリノアは言葉に詰まる。

完全復活したモンスターは望達を睥睨し、『レギオン』のギルドメンバー達も一気に距離を縮めてくる。

巨体のモンスターを中心に壁のように迫り来る様は、まるで密集陣形のようだ。

四方八方から、モンスターを中心に『レギオン』のギルドメンバー達が望達へと襲いかかる。


「お兄ちゃん達に手出しはさせないよ!」


花音は身を翻しながら、鞭を振るい、モンスターと『レギオン』のギルドメンバー達を翻弄する。

だが、それはほんのわずか、モンスター達の動きを鈍らせただけで動きを止めるには至らない。


「このままでは逃げられないな」


迫り来る攻撃に合わせ、奏良は全方位に連射する。

モンスター達の動きを阻害しながら、奏良は事実を冷静に告げた。

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