『フェイタル・トリニティ!』
勇太は跳躍し、信也達の不意を突くようなかたちで大技をぶちかました。
勇太の放った天賦のスキルによる波動が、『カーラ』のギルドメンバー達を襲う。
「なっーー」
視線を誘起された『カーラ』のギルドメンバーの一人が、その不慮の一撃をまともに喰らう。
その瞬間、『カーラ』のギルドメンバーの一人は体力を失い、そのまま、この仮想世界から消えていった。
光を纏った大剣が、周囲にいた『カーラ』のギルドメンバー達さえも攻撃ごと吹き飛ばす。
「行くぜ!」
一網打尽とまではいかなかったが、勇太は次々と『カーラ』のギルドメンバー達を薙ぎ倒していく。
「よーし、私達も行くよ!」
裂帛の咆哮とともに、花音は力強く地面を蹴り上げた。
『クロス・バースト!』
今まさに望達に襲いかかろうとしていたモンスター達に対して、花音が天賦のスキルで間隙を穿つ。
花音の鞭に搦(から)め取られた瞬間、鞭状に走った封印の効果によって、モンスター達は全ての特性を封じられた。
さらに追い打ちとばかりに、花音は鞭を振るい、何度も打ち据える。
「奏良よ、頼む」
「言われるまでもない」
有の指示に、奏良は弾丸を素早くリロードし、銃を構えた。
発砲音と弾着の爆発音が派手に響き、モンスター達を怯ませる。
「行きます!」
裂帛の咆哮とともに、プラネットは力強く地面を蹴り上げた。
「はあっ!」
気迫の篭ったプラネットの声が響き、モンスター達は次々と爆せていく。
花音達の攻撃により、モンスター達のHPは半分近くまで減った。
「「これで決める!」」
そのタイミングで、望とリノアは剣を掲げると、連なる虹色の流星群を一閃とともに放つ。
望の特殊スキルと愛梨の特殊スキル。
それが融合したように、モンスター達に巨大な光芒が襲いかかる。
一片の容赦もない二人の一振りを受けて、召喚されたモンスター達が全て消滅していった。
「これなら、どうだ!」
『カーラ』のギルドメンバーの一人が、新たなモンスターを召喚する。
鬼火が宙を漂う。
やがて、それらが一ヶ所に集まり、形を成していく。
望達の前に現れたのは、白骨で肉体を構成した巨大な体躯を持つ骨竜だった。
「メルサの森で現れた骨竜か……」
「メルサの森で現れた骨竜……」
カリリア遺跡のボスと同じ体躯の骨竜を前にして、望とリノアは声を上擦らせる。
「みんな、来るぞ!」
「みんな、来る!」
『アアアアアアアアアアアアアアアアアアアア!!』
望達を見据えた骨竜は、狙い誤つこともなく、望達めがけて咆哮を放った。
「……っ!」
轟音とともにそれは炸裂し、望達は弾き飛ばされ、視界が回転する。
「みんな、大丈夫か?」
望は何とか上半身を起こすと、周囲を確認する。
ロビーが風圧によって吹き飛ばされ、廃墟と変わり果てていた。
「うん。だけど、倒せる見込みが立たないよ。もう、HPがへろへろ~」
花音の指摘どおり、望達のHPは既に半分を切っていた。
「君の光龍で、対抗出来ないのか?」
「俺まで光龍を呼び出したら、ロビーが崩壊してここから出られなくなるだろう!」
奏良が非難の眼差しを向けると、徹はきっぱりと異を唱えてみせた。
「氷属性の飛礫アイテムは、『カーラ』の人達の虚を突くことが出来ないかな?」
「恐らく、目眩ましに使えるだろうな」
「わーい! 不意討ち、出来そうだよ!」
曖昧に言葉を並べる奏良をよそに、花音はぱあっと顔を輝かせる。
「妹よ、それを大声で言ってしまっては、不意討ちの意味がないぞ」
戦局を見据えていた有は、妹が口にした迂闊な発言に突っ込まざるをえなかった。
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