「しばらく連絡待ちか」
プラネットの報告に、奏良はカウンターに背を預けて、疲れたように大きく息を吐いた。
そこで花音はあることに気づく。
「わーい、すごい! ギルドホームが全面的にパワーアップしているよ!」
ギルド内を一周して、ギルドホームの堅牢な守りを確認すると、花音は嬉しそうにはにかんだ。
「そういえば、ギルドホーム、やけに様変わりしたんだな」
花音の言葉に反応して、望がとらえどころのない空気を固形化させる疑問を口にする。
プラネットは誇らしげに胸を張った。
「はい。昨日、有様の監修に基づいて、ホームの防衛面を強化し、リニューアルさせて頂きました。機械都市『グランティア』に赴いている最中に、敵が攻めてこないと限りませんから」
「そうなのか?」
「……望よ、昨日はいろいろと大変だった」
望がかろうじて聞くと、有は疲れたように肩を竦める。
「それにマスター、ご安心ください。この周辺では、電磁波の発生は感じられません」
望達の会話をよそに、プラネットは目を閉じて、『レギオン』と『カーラ』による電磁波の妨害がないかを探っていた。
「そうなんだな」
その報告を聞いて、望はほっと安堵の表情を浮かべる。
そして、望は居住まいを正して、真剣な表情で尋ねた。
「有。今回は、最後の戦いになる可能性がある。やっぱり、全員で行くのか?」
「いや。父さんと母さんには、ギルドの管理を任せようと思っている。今回の戦いは、二手に分かれることになるからな」
望の素朴な質問に、有は少し逡巡してから答えた。
「ええっ、お兄ちゃん、二手に分かれるの? ギルドの管理はペンギン男爵さんに任せて、みんなで行った方が確実じゃないのかな?」
「妹よ、機械都市『グランティア』は、敵の本拠地だ。大人数で赴いても、出し抜かれる可能性がある」
花音が声高に疑問を口にすると、有はため息をついて付け加える。
「父さんと母さんには、リノアの意識を取り戻すための方法を探るために、『アルティメット・ハーヴェスト』とコンタクトを取ってもらうつもりだ。それにリノアの意識の覚醒の妨げになっているのは、美羅そのもの。その中には、あの美羅の残滓も含まれているからな」
「美羅ちゃんの残滓は、機械都市『グランティア』に赴くための鍵でもあり、リノアちゃんの意識を覚醒させるための鍵だから?」
「その通りだ、妹よ。だからこそ、父さんと母さんには、ギルドの警護に当たってもらおうと考えている」
花音の沈痛な疑問の答えを探すように、有は声を落とした。
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