「……全ての攻撃を防ぐか。特殊スキルの使い手、厄介な相手のようだな」
全てのモンスターを消滅させた望とリノアを前にして、『カーラ』のギルドメンバーの一人が焦燥を抱く。
「ーーっ。これなら、どうだ!」
『カーラ』のギルドメンバー達が協力して、新たなモンスター達を召喚する。
鬼火が宙を漂う。
やがて、それらが一ヶ所に集まり、形を成していく。
望達の前に現れたのは、二体の白骨で肉体を構成した巨大な体躯を持つ骨竜だった。
「メルサの森で現れた骨竜、しかも二体か……」
「メルサの森で現れた骨竜、しかも二体……」
カリリア遺跡のボスと同じ体躯の骨竜達を前にして、望とリノアは声を上擦らせる。
「みんな、来るぞ!」
「みんな、来る!」
『アアアアアアアアアアアアアアアアアアアア!!』
望達を見据えた骨竜達は、狙い誤つこともなく、望達めがけて咆哮を放った。
「「……っ!」」
轟音とともにそれは炸裂し、望達は弾き飛ばされ、視界が回転する。
「みんな、大丈夫か?」
「みんな、大丈夫?」
望とリノアは何とか上半身を起こすと、周囲を確認する。
街道の一部が風圧によって吹き飛ばされ、廃墟と変わり果てていた。
「うん。だけど、HPがへろへろ~」
花音の指摘どおり、望達のHPは既に半分を切っていた。
「君の光龍で対抗出来ないのか?」
「分かっている。だけど、相手もそれを読んで二体、召喚したんだろうな」
奏良の懸念に、骨竜達を見据えた徹は『カーラ』のギルドメンバー達の思惑を察する。
『カーラ』のギルドメンバー達は召喚した二体の骨竜達を行使して、徹の光龍を封じる腹積もりだ。
今回は信也によって選別された、有能な召喚のスキルの使い手達が集結している。
召喚した二体の骨竜達を巧みに使役することができるだろう。
『カーラ』のギルドメンバー達が望達の足止めをしている間に、『レギオン』のギルドメンバー達は『アルティメット・ハーヴェスト』の対処に回るつもりだ。
「氷属性の飛礫アイテムは、『カーラ』の人達の虚を突くことが出来ないかな?」
「恐らく、目眩ましに使えるだろうな」
「わーい! 骨竜達に不意討ち、出来そうだよ!」
曖昧に言葉を並べる奏良をよそに、花音はぱあっと顔を輝かせる。
「妹よ、それを大声で言ってしまっては、不意討ちの意味がないぞ」
突飛な不意討ちへの暴露。
戦局を見据えていた有は、妹が口にした迂闊な発言に突っ込まざるをえなかった。
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