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留菜マナ
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第三百五十八話 静閑を裂く①

公開日時: 2022年9月9日(金) 16:30
文字数:979

「……全ての攻撃を防ぐか。特殊スキルの使い手、厄介な相手のようだな」


全てのモンスターを消滅させた望とリノアを前にして、『カーラ』のギルドメンバーの一人が焦燥を抱く。


「ーーっ。これなら、どうだ!」


『カーラ』のギルドメンバー達が協力して、新たなモンスター達を召喚する。

鬼火が宙を漂う。

やがて、それらが一ヶ所に集まり、形を成していく。

望達の前に現れたのは、二体の白骨で肉体を構成した巨大な体躯を持つ骨竜だった。


「メルサの森で現れた骨竜、しかも二体か……」

「メルサの森で現れた骨竜、しかも二体……」


カリリア遺跡のボスと同じ体躯の骨竜達を前にして、望とリノアは声を上擦らせる。


「みんな、来るぞ!」

「みんな、来る!」

『アアアアアアアアアアアアアアアアアアアア!!』


望達を見据えた骨竜達は、狙い誤つこともなく、望達めがけて咆哮を放った。


「「……っ!」」


轟音とともにそれは炸裂し、望達は弾き飛ばされ、視界が回転する。


「みんな、大丈夫か?」

「みんな、大丈夫?」


望とリノアは何とか上半身を起こすと、周囲を確認する。

街道の一部が風圧によって吹き飛ばされ、廃墟と変わり果てていた。


「うん。だけど、HPがへろへろ~」


花音の指摘どおり、望達のHPは既に半分を切っていた。


「君の光龍で対抗出来ないのか?」

「分かっている。だけど、相手もそれを読んで二体、召喚したんだろうな」


奏良の懸念に、骨竜達を見据えた徹は『カーラ』のギルドメンバー達の思惑を察する。

『カーラ』のギルドメンバー達は召喚した二体の骨竜達を行使して、徹の光龍を封じる腹積もりだ。

今回は信也によって選別された、有能な召喚のスキルの使い手達が集結している。

召喚した二体の骨竜達を巧みに使役することができるだろう。

『カーラ』のギルドメンバー達が望達の足止めをしている間に、『レギオン』のギルドメンバー達は『アルティメット・ハーヴェスト』の対処に回るつもりだ。


「氷属性の飛礫アイテムは、『カーラ』の人達の虚を突くことが出来ないかな?」

「恐らく、目眩ましに使えるだろうな」

「わーい! 骨竜達に不意討ち、出来そうだよ!」


曖昧に言葉を並べる奏良をよそに、花音はぱあっと顔を輝かせる。


「妹よ、それを大声で言ってしまっては、不意討ちの意味がないぞ」


突飛な不意討ちへの暴露。

戦局を見据えていた有は、妹が口にした迂闊な発言に突っ込まざるをえなかった。

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