「リノアを元に戻したら、別の者が美羅の器になる。それを止めることはできないかもしれない。だが、一時的に美羅という『救世の女神』をデータの集合体に戻すことはできるはずだ」
「リノアを元に戻したら、別の者が美羅の器になる。それを止めることはできないかもしれない。だが、一時的に美羅という『救世の女神』をデータの集合体に戻すことはできるはず」
そう考察した望とリノアは、この場であの決意を投げかけることを決断する。
「なら、別の者が美羅の器になる前に、美羅そのものを消滅させるしかない」
「なら、別の者が美羅の器になる前に、美羅そのものを消滅させるしかないね」
「ああ、そうだな」
望とリノアの断言に触れて、勇太は想いを絞り出すように美羅の残滓に懇願する。
「頼む! 俺達はどうしても、機械都市『グランティア』に行かないといけないんだ!」
大切だった。勇太を導く光だった。
ただ、リノアが傍にいてくれるだけで強くなれた。
リノアの笑った顔も、泣いた顔も、恥ずかしがる顔も、ふて腐れた顔も、全てが愛おしいと感じる。
「俺はどうしてもリノアを救いたいんだ!」
そう言う勇太の目には光るものが浮かんでいた。
「だから、頼む! 今すぐ、俺達を機械都市『グランティア』に行かせてくれないか!」
「……機械都市『グランティア』」
思いの丈をぶつけられた美羅の残滓は、その全てを正面から受け止める。
「了解しました」
断定する形で結んだ美羅の残滓の言葉に重なるように。
望達が気づいた時には視界が切り替わり、機械都市『グランティア』にいた。
「わあっ、すごい! あっという間に、機械都市『グランティア』に着いたんだね!」
思わぬ展開に、花音は嬉々として声を上げる。
「マスター。この周辺では、電磁波の発生は感じられません」
プラネットは目を閉じて、『レギオン』と『カーラ』による電磁波の妨害がないかを探っていた。
だが今、現在、不審な電磁波は感じられない。
「そうなんだな」
「そうなんだね」
その報告を聞いて、望とリノアはほっと安堵の表情を浮かべる。
「妹よ、ここから先は戻ることはできない。だが、プラネットによって、ギルドホームの防衛面は強化されている。たとえ、いかなる存在が攻めてきても、太刀打ちできるだろう」
「プラネットちゃん、すごーい!」
有の発言に同意するように、花音は両手を広げて歓喜の声を上げた。
「どんな強化をしたんだ……」
「どんな強化をしたの……」
望とリノアはげんなりとした表情で肩を落とす。
一悶着ありながらも、新たな目的を前にして、望達は決意を新たにしたその時ーー。
「「……っ」」
望の後方から、一筋の殺気が放たれる。
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