望とリノアは深呼吸をすると、これからの戦いに向けて、身体をほぐして両手を伸ばした。
「とにかく、今は手に入れた情報をもとにできることをしていこう。その上で、これからの方針を決めないとな」
「とにかく、今は手に入れた情報をもとにできることをしていこうね。その上で、これからの方針を決めないとね」
「うん」
手を差し出してきた望とリノアの誘いに、花音は満面の笑顔で頷いた。
三人の手が重なる。
「花音、絶対に諦めないからな」
「花音、絶対に諦めないから」
「うん。望くんとリノアちゃんは、これからも私達の仲間だよ!」
望とリノアの視線を受けて、花音は喜色満面で答えたのだった。
望達が転送石を用いて、『キャスケット』のギルドホームにたどり着いた頃には空は夜闇に包まれていた。
「母さん!」
「お母さん、ただいま!」
「お帰りなさい。その様子だと、うまくいったみたいだね」
有達がギルドに入ると、有の母親が出迎えてくれた。
「わーい! これで、いつでも機械都市『グランティア』に行けるよ!」
花音は嬉しそうにはにかんだ。
「ギルド内に入ったのは久しぶりだな」
徹が顔を片手で覆い、深いため息を吐くのを見て、有の母親は気遣うように声をかける。
「こんばんは」
「こ、こんばんは、お邪魔します」
有の母親の挨拶に、徹は居住まいを正して、真剣な表情で返した。
「君はいつも、有のお母さんに対しては、かしこまっているな」
「……おまえ、一言多いぞ」
奏良の言及に、徹は恨めしそうに唇を尖らせる。
「母さん。『サンクチュアリの天空牢』と美羅の残滓の管理は、『アルティメット・ハーヴェスト』に任せることにした」
「美羅の残滓?」
「『サンクチュアリの天空牢』の部屋の秘密を解く鍵。それが美羅の残滓だったようだ」
有の母親の疑問に、有は判明した情報を提示した。
「これで、吉乃信也と吉乃かなめが構築した『サンクチュアリの天空牢』のダンジョンに変化が生じたはずだ」
有は意味ありげに表情を緩ませる。
「プラネットよ、『サンクチュアリの天空牢』のダンジョンマップを表示してほしい」
「はい。有様、こちらをご覧下さい」
有の指示に、プラネットは恭しく礼をする。
そして、軽い調子で指を横に振り、望達の目の前に『サンクチュアリの天空牢』のダンジョンマップを可視化させた。
『サンクチュアリの天空牢』のダンジョンは『シャングリ・ラの鍾乳洞』の上空にある浮き島だ。
しかし、ダンジョンマップにはあの部屋の位置は示されていない。
「ダンジョンマップの方はいまだ、ニコットが操作しているみたいだな。だが、ダンジョンの管理については変化があるはずだ」
有は早速、インターフェースを使い、『サンクチュアリの天空牢』の情報を確認する。
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