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留菜マナ
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第五百ニ話 最後の攻防戦①

公開日時: 2024年8月5日(月) 16:30
文字数:1,107

望とリノアは深呼吸をすると、これからの戦いに向けて、身体をほぐして両手を伸ばした。


「とにかく、今は手に入れた情報をもとにできることをしていこう。その上で、これからの方針を決めないとな」

「とにかく、今は手に入れた情報をもとにできることをしていこうね。その上で、これからの方針を決めないとね」

「うん」


手を差し出してきた望とリノアの誘いに、花音は満面の笑顔で頷いた。

三人の手が重なる。


「花音、絶対に諦めないからな」

「花音、絶対に諦めないから」

「うん。望くんとリノアちゃんは、これからも私達の仲間だよ!」


望とリノアの視線を受けて、花音は喜色満面で答えたのだった。






望達が転送石を用いて、『キャスケット』のギルドホームにたどり着いた頃には空は夜闇に包まれていた。


「母さん!」

「お母さん、ただいま!」

「お帰りなさい。その様子だと、うまくいったみたいだね」


有達がギルドに入ると、有の母親が出迎えてくれた。


「わーい! これで、いつでも機械都市『グランティア』に行けるよ!」


花音は嬉しそうにはにかんだ。


「ギルド内に入ったのは久しぶりだな」


徹が顔を片手で覆い、深いため息を吐くのを見て、有の母親は気遣うように声をかける。


「こんばんは」

「こ、こんばんは、お邪魔します」


有の母親の挨拶に、徹は居住まいを正して、真剣な表情で返した。


「君はいつも、有のお母さんに対しては、かしこまっているな」

「……おまえ、一言多いぞ」


奏良の言及に、徹は恨めしそうに唇を尖らせる。


「母さん。『サンクチュアリの天空牢』と美羅の残滓の管理は、『アルティメット・ハーヴェスト』に任せることにした」

「美羅の残滓?」

「『サンクチュアリの天空牢』の部屋の秘密を解く鍵。それが美羅の残滓だったようだ」


有の母親の疑問に、有は判明した情報を提示した。


「これで、吉乃信也と吉乃かなめが構築した『サンクチュアリの天空牢』のダンジョンに変化が生じたはずだ」


有は意味ありげに表情を緩ませる。


「プラネットよ、『サンクチュアリの天空牢』のダンジョンマップを表示してほしい」

「はい。有様、こちらをご覧下さい」


有の指示に、プラネットは恭しく礼をする。

そして、軽い調子で指を横に振り、望達の目の前に『サンクチュアリの天空牢』のダンジョンマップを可視化させた。

『サンクチュアリの天空牢』のダンジョンは『シャングリ・ラの鍾乳洞』の上空にある浮き島だ。

しかし、ダンジョンマップにはあの部屋の位置は示されていない。


「ダンジョンマップの方はいまだ、ニコットが操作しているみたいだな。だが、ダンジョンの管理については変化があるはずだ」


有は早速、インターフェースを使い、『サンクチュアリの天空牢』の情報を確認する。

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