「はあっ!」
望はその一刀に全てを託し、連なる虹色の流星群を解き放つ。
望の特殊スキルと愛梨の特殊スキル。
それが融合したように、巨大な光芒が襲いかかる。
それに合わせるようにーー。
「行くぜ!」
勇太は、大剣に白金の闘気が伝わらせていく。
勇太が解き放ったのは、賢とニコットを打ち倒すための切り札となる新たな新技。
「これが今の俺に出せる全力だ!」
「……っ」
賢とニコットが行動を起こす以前に、勇太は新たなスキル技を披露した。
『フェイタル・クロノス!』
最高度の補正を受けた高速六連撃から、その場で舞い踊るように繰り出す七連斬、そして締めとばかりに振るわれる横薙ぎ三連閃。
一呼吸の間に十六連撃を繰り出す大技中の大技だ。
「ーーっ」
賢とニコットには何が起きたのか、見えなかった。
目で追える速度ではない。
もはや、それは洗練された演舞のようだった。
賢とニコットは体勢を立て直すこともできずにまともにその一撃を喰らって吹き飛ばされた。
そこに望の特殊スキルと愛梨の特殊スキル。
望は虹色の流星群を一閃とともに解き放った。
「ーーっ!」
凄まじい威力の技を何発も喰らったことで、ニコットの身体は大きく吹き飛び、HPが一気に減っていた。
頭に浮かぶ青色のゲージは、一気に0に変化する。
「……修復、不可能」
「ニコットちゃん!」
急速に反転する攻防を前にして、花音は大きく目を見開いた。
ニコットはかろうじて起き上がると、賢に対して報告を続ける。
「蜜風望と柏原勇太により、全傷。指令は続行不可能と判断しました。このままでは、美羅様を維持できません。早急に新たな器が必要……」
「ニコット。君のシンクロの力は発動することはない。私達が全力でそれを阻止する」
紘の発意を合図に、ニコットの放った電磁波が望へと向かおうとする。
しかしーー。
「電磁波、させない!」
「……シルフィ様!」
その瞬間、シルフィが弾かれたように望を護る。
さらに思考を途切れさせる、紘からの淀みなく続く応酬。
「手嶋賢様、申し訳ありません」
やがて、ニコットは閃光に塗り潰されて、仮想世界から姿を消していった。
「……っ!」
瀕死の賢は窮地に立たされた気分で息を詰める。
もし賢の次の動向を見抜いていた者が、この場にいるとすれば、
「十中八九、椎音紘だろうな」
全てを察した賢は忌々しそうにつぶやいた。
まるで愚かで浅い賢の妄念など、たったの一綴りで霧散するように、紘の特殊スキル、『強制同調(エーテリオン)』が立ち塞がってくる。
規格外である紘の特殊スキルによって、『アルティメット・ハーヴェスト』は様々な情勢を自由に選択することができた。
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