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留菜マナ
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第四百五十八話 死者殺しの魔術士⑤

公開日時: 2024年3月4日(月) 16:30
文字数:1,064

「妹よ、突破口を頼む」

「うん」


有の指示に、鞭を振るっていた花音は勇ましく点頭した。


「よーし、一気に行くよ!」


花音は跳躍し、『レギオン』と『カーラ』のギルドメンバー達へと接近した。


『クロス・リビジョン!』


今まさに望達に襲いかかろうとしていた『レギオン』と『カーラ』のギルドメンバー達に対して、花音が天賦のスキルで間隙を穿つ。

花音の鞭に搦(から)め取られた瞬間、鞭状に走った麻痺の痺れによって、『レギオン』と『カーラ』のギルドメンバー達は身動きを封じられた。

さらに追い打ちとばかりに、花音は鞭を振るい、何度も打ち据える。

しかし、花音の防衛をすり抜けて、『レギオン』と『カーラ』のギルドメンバー達は巧みに望達へと迫った。


「お兄ちゃん、お願い!」

『元素復元、覇炎トラップ!』

「なっ……」


花音の合図に、有は襲いかかってきた『レギオン』と『カーラ』のギルドメンバー達に向かって杖を振り下ろした。

有の杖が床に触れた途端、空中に炎のトラップシンボルが現れる。

『レギオン』と『カーラ』のギルドメンバー達がそれに触れた瞬間、熱き熱波が覆い、炎に包まれた。

だが、『カーラ』の魔術のスキルの使い手達は炎を打ち消し、襲いかかってくる。


「奏良よ、頼む」

「言われるまでもない」


有の指示に、奏良は弾丸を素早くリロードし、銃を構えた。

発砲音と弾着の爆発音が派手に響き、『レギオン』と『カーラ』のギルドメンバー達を怯ませる。


「行きます!」


裂帛の咆哮とともに、プラネットは力強く地面を蹴り上げた。


「はあっ!」


気迫の篭ったプラネットの声が響き、『レギオン』と『カーラ』のギルドメンバー達は動きを阻害される。


「「これで決める!」」


そのタイミングで、望とリノアは剣を掲げると、連なる虹色の流星群を一閃とともに放つ。

望の特殊スキルと愛梨の特殊スキル。

それが融合したように、『レギオン』と『カーラ』のギルドメンバー達に巨大な光芒が襲いかかる。

一片の容赦もない二人の一振りをまともに受けた者達は、その瞬間に体力を失い、そのまま、この仮想世界から消えていった。


「俺も加勢をしないとな」


徹がそう告げたその瞬間、背中に不穏な気配を感じ取る。

徹は振り返ることはせずに、ただ一言、言葉を発した。


『ーー我が声に従え、光龍、ブラッド・ヴェイン!』

「ーーっ!」


今まさに、背後から徹に襲い掛かろうとしていたベヒーモスの群れは、突如、目の前に現れた光龍の咆哮によってそれを防がれてしまう。

金色の光を身に纏った四肢を持つ光龍。

巨躯の光龍は、主である徹に危害を加えようとしたベヒーモスの群れを睥睨した。

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