「そこです!」
しかし、その不意討ちは、プラネットには見切られていた。
プラネットは反射的に飛んできたダガーを避けると、その方向に向かって電磁波を飛ばした。
「ーーっ」
初擊の鋭さから一転してもたついた襲撃者は、電磁波の一撃をまともに喰らい、苦悶の表情を浮かべる。
「喰らえ!」
そこに、奏良の銃弾が放たれた。
弾は寸分違わず、襲撃者に命中する。
「敵意確認。指令を妨害されたことにより、臨戦態勢に入ります」
「ニコットちゃん!」
急速に反転する攻防を前にして、花音は大きく目を見開いた。
やがて、ニコットの後方から、『レギオン』のギルドメンバーの魔術のスキルの使い手達が姿を現した。
「有様」
「ああ。恐らく、待ち伏せされていただろう。浮き島がかなり離れた場所に移動していたのは、『レギオン』と『カーラ』によって、操作されていた可能性が高いな」
プラネットの躊躇いに、有は思案するように視線を巡らせる。
「転送石や転送アイテムを使用して、この場所から離脱することはできませんでしょうか?」
「プラネットよ、残念だが不可能だ。今回も、転送アイテムなどは容易に使用させてはもらえないようだ」
プラネットの申し出に、有は苦々しく唇を噛みしめた。
有の指摘どおり、『レギオン』のギルドメンバーの魔術のスキルの使い手達は、転送アイテムなどを使用不可能にする魔術を練り上げている。
とんでもなく、複雑に編み込まれた魔術の障壁だ。
恐らく、転送石を使っても、障壁に弾き返されてこの場所から出られないだろう。
だが、この場には、徹達『アルティメット・ハーヴェスト』の者達もいる。
不可解な空気に侵される中、徹は改めて、これからのことを伝えるために、上空にいるイリスに連絡を入れた。
「イリス、このまま、『サンクチュアリの天空牢』にいる美羅の残滓を消滅させる。この状況で、リノアの意識を覚醒させるのは危険な気もする。だが、この状況を打開し、美羅を消滅させるためには、リノアの覚醒がどうしても必要になるんだ。『サンクチュアリの天空牢』に残っている『アルティメット・ハーヴェスト』のメンバー達に伝えてくれないか」
『はい。徹様、了解しました』
徹は通信を切り、神妙な面持ちで入口がある通路を眺める。
「とにかく、ここからが正念場だな」
徹は一呼吸置くと、ニコット達を油断なく見つめた。
「お兄ちゃん、これからどうするの?」
「妹よ、今はここから逃げることが先決だ。ここは敵の本拠地。美羅を消滅させる方法を探るためにも、まずは『レギオン』のギルドホームの場所を把握しなくてはならないからな」
「うん」
改めて、これからのことを確認する有の言葉に、花音は勇ましく点頭してみせる。
「『レギオン』のギルドホームの場所は知っています」
リノアの両親はみんなを導くように駆けていった。
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