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留菜マナ
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第四百六十六話 光を欺く⑤

公開日時: 2024年4月1日(月) 16:30
文字数:982

「このまま、対応しても、部屋の秘密を探ることはできないな」

「このまま、対応しても、部屋の秘密を探ることはできないね」


望とリノアは剣を構え、活路を見出だすために周囲を見渡した。

包囲を崩そうとしても、すぐに強固な陣形を組まれてしまう。

しかし、これ以上、召喚されたモンスター達に再生能力を付与させないためにも、かなめの目を誘導してしなくてはならない。

そしてーー部屋の秘密を探るために、望達に今できること。


「ふむ。『レギオン』と『カーラ』を退けるためには、やはりモンスター達の足止めは必須か」


ベヒーモス達の猛攻を回避しながらも、有は杖を構える。


「妹よ、頼む」

「うん」


有の指示に、鞭を振るっていた花音は勇ましく点頭した。


「よーし、一気に行くよ!」


花音は跳躍し、ベヒーモス達へと接近した。


『クロス・リビジョン!』


今まさに望達に襲いかかろうとしていたベヒーモス達に対して、花音が天賦のスキルで間隙を穿つ。

花音の鞭に搦(から)め取られた瞬間、鞭状に走った麻痺の痺れによって、ベヒーモス達は身動きを封じられた。

さらに追い打ちとばかりに、花音は鞭を振るい、何度も打ち据える。

しかし、花音の防衛をすり抜けて、ベヒーモス達は望達へと迫った。


「お兄ちゃん、お願い!」

『元素復元、覇炎トラップ!』


花音の合図に、有は襲いかかってきたベヒーモス達に向かって杖を振り下ろした。

有の杖が床に触れた途端、空中に炎のトラップシンボルが現れる。

ベヒーモス達がそれに触れた瞬間、熱き熱波が覆い、炎に包まれた。

だが、ベヒーモス達は炎を振り払い、襲いかかってくる。


「奏良よ、頼む」

「言われるまでもない」


有の指示に、奏良は弾丸を素早くリロードし、銃を構えた。

発砲音と弾着の爆発音が派手に響き、ベヒーモス達を怯ませる。


「行きます!」


裂帛の咆哮とともに、プラネットは力強く地面を蹴り上げた。


「はあっ!」


気迫の篭ったプラネットの声が響き、ベヒーモス達は次々と爆せていく。

花音達の攻撃により、ベヒーモス達のHPは半分近くまで減った。


「「これで決める!」」


そのタイミングで、望とリノアは剣を掲げると、連なる虹色の流星群を一閃とともに放つ。

望の特殊スキルと愛梨の特殊スキル。

それが融合したように、ベヒーモス達に巨大な光芒が襲いかかる。

一片の容赦もない二人の一振りを受けて、再生能力を持ち得ていないベヒーモス達が消滅していった。

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