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留菜マナ
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第四百七十五話 あの世界を生きた君は今⑥

公開日時: 2024年5月3日(金) 16:30
文字数:1,012

「ねえ、お兄ちゃん。アイテム生成のスキルを使って、全ての罠を解除することはできないかな?」

「妹よ、時間はかかるが可能だ。その間、出現するモンスター達の相手を頼む!」

「うん!」


有の指示に、花音が勇ましく点頭する。


「なら、罠を全て解除したら、天井の先を調べることかできるね!」


右手をかざした花音は、嬉々とした瞳で天井を見上げた。


「はい。ただ、新たな複数の生命体が出現するのを感知しました」

「『カーラ』が新たに喚んだ召喚獣か。罠を解除するまでここを防衛するのは、骨が折れそうだな」


プラネットの警告に、奏良は不満そうに視線を逸らした。


「よーし、お兄ちゃんが罠を全て解除するまで、食い止めてみせるよ!」


鞭を閃かせたと同時に、花音は勇猛果敢に壁を蹴った。


「ーーっ」


先陣を切った花音はてきぱきと鞭を動かし、新たに召喚しようとした『カーラ』のギルドメンバー達を翻弄する。

だが、相手は高位ギルドのプレイヤー達だ。

容易く攻撃を喰らってはくれない。

『カーラ』のギルドメンバー達は、花音が振るった鞭を身体を反らし紙一重でかわした。


「あっ……」


完全に虚を突いたはずの攻撃を避けられて、花音は足を踏み止める。


「この先に行かせるな!」


その隙に『レギオン』と『カーラ』のギルドメンバー達が新たに召喚した飛行モンスター達が目前に迫ってくる。

飛行モンスター達が一斉に花音に襲いかかろうとしたーーその時だった。


「花音、多少のダメージは堪えろ」


花音に迫り来るプレイヤー達に合わせて、奏良が放った銃の弾が全方位に連射される。

放たれた弾は、対空砲弾のように相手の攻撃にぶつかり、飛行モンスター達を怯ませた。


「マスターと愛梨様を渡すわけにはいきません!」


プラネットは吹っ切れた言葉ともに、両拳を迫ってきた飛行モンスター達に叩きつけた。

それと同時に高濃度のプラズマが走り、爆音が響き渡る。

煙が晴れると、召喚された飛行モンスター達は焼き尽くされたように消滅していった。


『元素還元!』


有はその隙に、天井に向かって杖を振り下ろす。

有の杖から、放射状の光が放たれる。

その光が、避雷針がある場所に触れた途端、とてつもない衝撃が周囲を襲った。

避雷針が、まるで蛍火のようなほの明るい光を撒き散らし、崩れ落ちるように消滅したのだ。


「罠はまだまだ存在しているようだ。全て解除するまで、先行きは長そうだな」


有の切羽詰まった声は再度、ぶつかり合った徹達とかなめの激突によって吸い込まれて消えた。

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