「とにかく、今は手に入れた情報をもとにできることをしていこう。その上で、これからの方針を決めないとな」
「うん」
手を差し出してきた望の誘いに、花音は満面の笑顔で頷いた。
二人の手が重なる。
「また、みんなで普通のクエストを受けられるといいな」
「望くんと愛梨ちゃんは、これからも私達の仲間だよ!」
望の視線を受けて、花音は喜色満面で答えたのだった。
信也が収監されている牢から踵を返すと、望達は先程、話し合いの場を設けた部屋に戻るために歩を進める。
「勇太くん達は、これからどうするの?」
「俺達は……これからも望達と行動を共にするつもりだ。リノアを救うためにできる限りのことをしたいから」
花音の疑問を受けて、勇太は眸に決意の色を示す。そして、インターフェースで表示した王都、『アルティス』のマップを見つめた。
「リノアを元に戻したら、別の者が美羅の器になる。それを止めることはできないかもしれない」
それを聞いた徹は改めて、信也から明かされた事実を如実に語る。
「それなら、美羅そのものを消滅させる方法を突き止めるしかないよな。そして、その方法の手がかりを吉乃信也が持っているのは間違いない」
「ああ、そうだな」
徹の断言に触れて、勇太は想いを絞り出すように懇願する。
「頼む! これからもリノアを救うために望達の力を貸してくれないか!」
「……勇太くん」
思いの丈をぶつけられた望達は、その全てを正面から受け止める。
「ああ、リノアは守ってみせるな」
「勇太くん、これからも頑張ろうね」
望と花音は吹っ切れたように、勇太の申し出を承諾した。
「望、花音、ありがとうな」
勇太は清々しい顔を向けると、真剣な眼差しで決意を言葉に乗せた。
「絶対にリノアを救い出そうな!」
「ああ」
「うん、頑張ろうね」
勇太の意気込みに、望と花音は決意を込めて応えた。
「そういえば、リノアは今、どこにいるんだ?」
「別の部屋で休ませている。まだ、眠ったままだが、恐らく望が訪れたら目覚めるはずだ」
勇太の疑問に、徹は真剣な眼差しで捕捉する。
その言葉を聞いて、勇太は自身の希望を口にした。
「リノアに会ってきてもいいのか?」
「勇太よ、もちろんだ。ただ、望と一緒に行った方が、俺達のもとに連れて来やすいだろうな」
そんな彼の意を汲むように、有は自身の考えを纏める。
「分かった。望、一緒に来てもらえるか?」
「ああ」
「望くん、勇太くん。私もリノアちゃんのところに行きたい」
勇太の誘いに呼応するように、望は肯定する。
それに花音も付き添い、有達と一旦、分かれてリノアがいる部屋へと足を向けた。
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