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留菜マナ
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第三百七十三話 美羅の力に打ち勝つために⑧

公開日時: 2022年12月23日(金) 16:30
文字数:1,242

「とはいえ、椎音紘も同様に厄介な存在だな」


紘からの淀みなく続く応酬。

信也の表情に浮かんだ苦痛を『レギオン』と『カーラ』のギルドメンバー達は支え続ける。


「紘様の助勢をしたいのですが、切りがないですね」


紘を護るように、周囲の『レギオン』と『カーラ』のギルドメンバー達を押し止めたイリスにも疲労の色が滲んでいた。


美羅が生み出した理想の世界。

人の心を蝕む理不尽――それを理想の世界だと銘打っている『レギオン』と『カーラ』。

美羅の力を止める術ーーその実態を探るために、望達は『レギオン』の本拠地、機械都市『グランティア』へ赴く必要がある。

望とリノアは仕切り直すと、目の前のモンスター達と対峙した。


「「これで決める!」」


そのタイミングで、望とリノアは剣を掲げると、連なる虹色の流星群を一閃とともに放つ。

望の特殊スキルと愛梨の特殊スキル。

それが融合したように、モンスター達に巨大な光芒が襲いかかる。

一片の容赦もない二人の一振りを受けて、モンスター達が消滅していった。

だが、街道に陣形を組み上げている『レギオン』と『カーラ』のギルドメンバー達は、四大スキルの使い手も全て揃っている。

その上、彼らは初心者などでは決してない。

全員が全員、中級者以上の実力の持ち主だ。

装備もまた充実していた。

高位ギルドである『レギオン』と『カーラ』のギルドメンバー達は様々なダンジョンなどに赴いている。

彼らはそこで手に入れた適切かつ強力な装備を付けていた。

難を逃れた『カーラ』のギルドメンバー達が再び、数十匹のモンスターを呼び出す。


「また呼び出したのか! 本当に切りがないな……」

「また呼び出したの! 本当に切りがないね……」

「望、リノア、任せろ!」


望達の戦いぷりが、勇太の心に火を点ける。

露骨な戦意と同時に、勇太は一気にモンスター達との距離を詰めた。


『フェイタル・ドライブ!』


勇太が大きく大剣を振りかぶり、光の刃が波動のようにモンスター達へと襲いかかった。

万雷にも似た轟音が響き渡る。


「ーーーーガアアッ!」


迷いのない一閃とともに、勇太の強烈な一撃を受けて、モンスター達は怯んだ。

モンスター達のHPが一気に減少する。

頭に浮かぶゲージは0になり、『カーラ』のギルドメンバー達が呼び出したモンスター達がゆっくりと消えていった。


「『カーラ』の召喚のスキルの使い手。そろそろ魔力が尽きてくる頃だな」


勇太は戦意を高める。

仮想世界だけではなく、現実世界にまで影響を及ぼしてくる二大ギルド。

自分一人だったら、手に余る事柄だっただろう。

だが、今の勇太には大切な仲間ーー望達が側にいる。

だからこそ、ここで『カーラ』の召喚のスキルの使い手達を打ち倒すことに迷う理由などない。


「行くぜ」


勇太は高位ギルドの猛者達に向かって身を投げ出した。


『フェイタル・レジェンド!』


勇太は大剣を構え、大技をぶちかました。

勇太の放った天賦のスキルによる波動が、『カーラ』の召喚のスキルの使い手達を襲う。

新たにモンスターを召喚しようとしていた彼らは後方に吹き飛ばされた。

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