「とはいえ、椎音紘も同様に厄介な存在だな」
紘からの淀みなく続く応酬。
信也の表情に浮かんだ苦痛を『レギオン』と『カーラ』のギルドメンバー達は支え続ける。
「紘様の助勢をしたいのですが、切りがないですね」
紘を護るように、周囲の『レギオン』と『カーラ』のギルドメンバー達を押し止めたイリスにも疲労の色が滲んでいた。
美羅が生み出した理想の世界。
人の心を蝕む理不尽――それを理想の世界だと銘打っている『レギオン』と『カーラ』。
美羅の力を止める術ーーその実態を探るために、望達は『レギオン』の本拠地、機械都市『グランティア』へ赴く必要がある。
望とリノアは仕切り直すと、目の前のモンスター達と対峙した。
「「これで決める!」」
そのタイミングで、望とリノアは剣を掲げると、連なる虹色の流星群を一閃とともに放つ。
望の特殊スキルと愛梨の特殊スキル。
それが融合したように、モンスター達に巨大な光芒が襲いかかる。
一片の容赦もない二人の一振りを受けて、モンスター達が消滅していった。
だが、街道に陣形を組み上げている『レギオン』と『カーラ』のギルドメンバー達は、四大スキルの使い手も全て揃っている。
その上、彼らは初心者などでは決してない。
全員が全員、中級者以上の実力の持ち主だ。
装備もまた充実していた。
高位ギルドである『レギオン』と『カーラ』のギルドメンバー達は様々なダンジョンなどに赴いている。
彼らはそこで手に入れた適切かつ強力な装備を付けていた。
難を逃れた『カーラ』のギルドメンバー達が再び、数十匹のモンスターを呼び出す。
「また呼び出したのか! 本当に切りがないな……」
「また呼び出したの! 本当に切りがないね……」
「望、リノア、任せろ!」
望達の戦いぷりが、勇太の心に火を点ける。
露骨な戦意と同時に、勇太は一気にモンスター達との距離を詰めた。
『フェイタル・ドライブ!』
勇太が大きく大剣を振りかぶり、光の刃が波動のようにモンスター達へと襲いかかった。
万雷にも似た轟音が響き渡る。
「ーーーーガアアッ!」
迷いのない一閃とともに、勇太の強烈な一撃を受けて、モンスター達は怯んだ。
モンスター達のHPが一気に減少する。
頭に浮かぶゲージは0になり、『カーラ』のギルドメンバー達が呼び出したモンスター達がゆっくりと消えていった。
「『カーラ』の召喚のスキルの使い手。そろそろ魔力が尽きてくる頃だな」
勇太は戦意を高める。
仮想世界だけではなく、現実世界にまで影響を及ぼしてくる二大ギルド。
自分一人だったら、手に余る事柄だっただろう。
だが、今の勇太には大切な仲間ーー望達が側にいる。
だからこそ、ここで『カーラ』の召喚のスキルの使い手達を打ち倒すことに迷う理由などない。
「行くぜ」
勇太は高位ギルドの猛者達に向かって身を投げ出した。
『フェイタル・レジェンド!』
勇太は大剣を構え、大技をぶちかました。
勇太の放った天賦のスキルによる波動が、『カーラ』の召喚のスキルの使い手達を襲う。
新たにモンスターを召喚しようとしていた彼らは後方に吹き飛ばされた。
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