「光龍、目障りな!」
立ち塞がった光龍を前に、『レギオン』と『カーラ』のギルドメンバー達が不愉快な顔を浮かべて警戒した。
「よし、行け!」
光龍とかなめが相対する中、徹は光龍を使役する。
徹が行使する光龍は、身体を捻らせてかなめへと迫った。
だがーー。
「ーーっ」
だが、別のモンスターの群れが不意を突いて包囲してきたことで、光龍は動きを阻まれる。
「徹様!」
イリスはすかさず徹の加勢に向かう。
躍動する闇と槍の光が入り乱れる戦場を、イリスは凄まじい速度で上空から駆ける。
彼女の繰り出す斬撃は早く鋭く、光龍を包囲しているモンスターを切り裂いていく。
「恐れる必要はありません」
凛とした声が、室内に響き渡った。
前に進み出たかなめは、無感動に望とリノアを見上げる。
「蜜風望。あなたは『明晰夢』の中で、理想の世界を垣間見たはずです」
かなめは両手を広げて、静かな声音で告げた。
「あなたは今、愚かなことをしています。シンクロは、あなた方と美羅様を繋ぐ希望です。未来の趨勢(すうせい)は、あなたの手にかかってーー」
「とにかく、愛梨も紘も、そして望も、おまえ達に渡すつもりなんてないからな!」
かなめの説得を打ち消すように、徹はきっぱりとそう言い放った。
「鶫原徹、そして『アルティメット・ハーヴェスト』が誇るNPC。あなた方の妨害のせいで、私達の作戦は破綻しました」
「当たり前です。私の役目はその作戦を破綻させることですから」
憐れむようなかなめの言葉に呼応するように、気迫の篭ったイリスの声が響き渡る。
「「勇太くん!」」
「望、リノア、任せろ!」
望とリノアの声に呼応するように、勇太がかなめにとっては死角から現れた。
「行くぜ! 全て打ち倒してみせる!」
勇太の振るった大剣が、意識を徹達に集中していたかなめに叩きつけられる。
だが、その直前にかなめは光の魔術によって、その一撃を防いだ。
「勇ましいですね。ですが、倒しきるその前にあなたの魔力が尽きるのが先だと思います」
「だからなんだ。勝てないからって、戦わない道理はない」
「ーーっ」
勇太の振るった大剣がかなめを狙う。
咄嗟の判断で回避行動を取ったかなめは、直後にそれが取り返しのつかないミスであったことに気づいた。
「これで終わりだ!」
「これで終わらせる!」
かなめの回避した方向にはいつの間にか、望とリノアが迫っていたからだ。
望とリノアは気迫を込めて乾坤一擲の技を放つ。
望とリノアの声に反応するように、それぞれの剣からまばゆい光が収束する。
二人の剣の刀身が燐光(りんこう)を帯びると、かってないほどの力が満ち溢れた。
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