兄と妹とVRMMOゲームと

留菜マナ
留菜マナ

第三百五十六話 過ぎ去りし透光⑦

公開日時: 2022年8月26日(金) 16:30
文字数:1,021

望とリノアが剣を掲げると、さらなる輝きを発する。


「望くん、リノアちゃん、すごーい!」

「上手く使いこなせるかは分からないけれどな」

「上手く使いこなせるかは分からないけれどね」


花音の言い分に、望とリノアは少し逡巡してから言った。

その指摘に、花音は信じられないと言わんばかりに両手を広げる。


「望くんとリノアちゃんが同時に特殊スキルを使ったら、一気に突破口を開くことができそうだね」

「ああ、そうだな」

「うん、そうだね」


花音の咄嗟の疑問に、望とリノアは戸惑いながらも答えた。


「わーい! 望くん、リノアちゃん、すごーい!」

「花音、ありがとうな」

「花音、ありがとう」


喜色満面で喜び勇んだ花音の姿を見て、望とリノアは苦笑する。

望とリノアは仕切り直すと、残りのモンスター達へと対峙した。


「「これで決める!」」


そのタイミングで、望とリノアは剣を掲げると、連なる虹色の流星群を一閃とともに放つ。

望の特殊スキルと愛梨の特殊スキル。

それが融合したように、モンスター達に巨大な光芒が襲いかかる。

一片の容赦もない二人の一振りを受けて、モンスター達が消滅していった。

だが、街道に陣形を組み上げている『レギオン』と『カーラ』のギルドメンバー達は、四大スキルの使い手も全て揃っている。

その上、彼らは初心者などでは決してない。

全員が全員、中級者以上の実力の持ち主だ。

装備もまた充実していた。

高位ギルドである『レギオン』と『カーラ』のギルドメンバー達は様々なダンジョンなどに赴いている。

彼らはそこで手に入れた適切かつ強力な装備を付けていた。

難を逃れた『カーラ』のギルドメンバー達が再び、数十匹のモンスターを呼び出す。


「また呼び出したのか!」

「また呼び出したの!」

「望、リノア、任せろ!」


望達の戦いぷりが、勇太の心に火を点ける。

露骨な戦意と同時に、勇太は一気にモンスター達との距離を詰めた。


『フェイタル・ドライブ!』


勇太が大きく大剣を振りかぶり、光の刃が波動のようにモンスター達へと襲いかかった。

万雷にも似た轟音が響き渡る。


「ーーーーガアアッ!」


迷いのない一閃とともに、勇太の強烈な一撃を受けて、モンスター達は怯んだ。

モンスター達のHPが一気に減少する。

頭に浮かぶゲージは0になり、『カーラ』のギルドメンバー達が呼び出したモンスター達がゆっくりと消えていった。


「俺も加勢をしないとな」


徹がそう告げたその瞬間、背中に不穏な気配を感じ取る。

徹は振り返ることはせずに、ただ一言、言葉を発した。

読み終わったら、ポイントを付けましょう!

ツイート