「徹様。ここから先に、新たなモンスターの気配を感じます」
「モンスターを、既に召喚して配置しているのかもしれないな」
プラネットの思慮に、徹は複雑そうな表情で視線を落とすと、熟考するように口を閉じる。
「前方にモンスター、後方に『レギオン』のギルドメンバーか。囲まれているのなら、突破は難しいな。何らかの対策を立てる必要がある」
「ああ」
奏良の危惧に、有は深々とため息を吐いた。
「活路を見出せないな」
「活路を見出せないね」
望とリノアは剣を構えたが、包囲の一角を切り崩す術は見つからない。
「なら、俺達がリノア達の道を切り開くだけだ!」
「「勇太くん」」
勇太の決意に、望とリノアは躊躇うように応える。
「今度こそ、絶対にリノアを救ってみせる!」
勇太は両手で大剣を構えると、立ち塞がるモンスター達と向き合った。
勇太が今、対峙するべきは、迫る眼前の脅威だ。
そして、『レギオン』と『カーラ』への邪念よりも先に、大切な幼なじみを守るという信念。
「行くぜ!」
断定する形で結んだ勇太は、信也に向かって駆けていった。
『フェイタル・トリニティ!』
勇太は、『レギオン』のギルドメンバー達の不意を突くようなかたちで大技をぶちかました。
勇太の放った天賦のスキルによる波動が、『レギオン』のギルドメンバー達を襲う。
「なっーー」
視線を誘起された『レギオン』のギルドメンバーの一人は、その不慮の一撃をまともに喰らう。
その瞬間、『レギオン』のギルドメンバーの一人は体力を失い、そのまま、この仮想世界から消えていった。
光を纏った大剣が、周囲にいた『レギオン』のギルドメンバー達さえも攻撃ごと吹き飛ばす。
「行くぜ!」
一網打尽とまではいかなかったが、勇太は次々と『レギオン』のギルドメンバー達を薙ぎ倒していく。
「よーし、私達も行くよ!」
裂帛の咆哮とともに、花音は力強く地面を蹴り上げた。
望達は、ニコットを始めとした『レギオン』のギルドメンバー達とモンスター達に囲まれているという絶望的な状況を打破するために賭けに出た。
それは美羅の残滓を消滅させて、リノアの覚醒を促すというものだった。
「望くんとリノアちゃんに手出しはさせないよ!」
「うわっ!」
「くっ!」
率先して先手を打った花音は身を翻しながら、鞭を振るい、『レギオン』のギルドメンバー達を翻弄する。
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