「有様は今頃、ペンギン男爵様のアイテムショップでしょうか?」
プラネットは先程、出かけた有の動向を気にかける。
有の母親が掲示板に書き込んでいる間に、有は望達にギルドを託してペンギン男爵が営んでいるアイテムショップに出向いていた。
回復アイテム、状態異常の回復アイテム、モンスター避けのお香などの必需品の購入を済ませるためだ。
「お母さんは掲示板にどんな内容を書き込むのかな?」
「愛梨に関することみたいだな」
「愛梨に関することみたいだね」
花音が声高に疑問を口にすると、望とリノアは有の母親からの情報を確認しながら応えた。
「愛梨ちゃんのこと?」
意外な発言に、花音はきょとんと目を瞬かせる。
すると、望とリノアはそんな彼女の気持ちを汲み取ったのか、決意の眼差しで告げた。
「現実世界で愛梨を狙ってきたことといい、『レギオン』と『カーラ』は俺達、特殊スキルの使い手を手に入れるためならどんな手段も厭わない。だから、それを利用するみたいだ」
「現実世界で愛梨を狙ってきたことといい、『レギオン』と『カーラ』は俺達、特殊スキルの使い手を手に入れるためならどんな手段も厭わない。だから、それを利用するみたい」
「利用……?」
花音の戸惑いに、望とリノアは元気づけるように花音を見つめる。
「……なるほど。吉乃信也の件で、『レギオン』と『カーラ』はこれからも現実世界、仮想世界問わず、愛梨を執拗に狙ってくる可能性がある」
奏良は一拍置いて動揺を抑えると、望とリノアが口にした言葉を改めて、脳内で咀嚼した。
「愛梨を目撃したという偽の情報を流して、『レギオン』と『カーラ』の者達を誘き寄せるんだな」
「ああ、それなら必ず、情報があった場所に訪れる可能性が高いからな」
「うん、それなら必ず、情報があった場所に訪れる可能性が高いから」
奏良の言及に、望とリノアは落ち着いた口調で答える。
美羅の真なる覚醒ーー。
そのためには、リノアに愛梨の特殊スキルを使わせる必要がある。
美羅の真なる覚醒のための最後の重要な要である愛梨を、『レギオン』と『カーラ』の者達はこれからも執拗に狙ってくるだろう。
現実世界だけではなく、仮想世界の状況も目を配るはずだ。
もし仮想世界で愛梨の姿を見たという目撃情報があったら、必ずその場所に向かうだろう。
たとえ、それが疑わしい内容だったとしても、彼らは事実なのかその真偽を確かめようとするはずだ。
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