『エアリアル・アロー!』
奏良が唱えると、無数の風の矢が一斉にモンスターへと襲いかかった。
HPを示すゲージは少し減ったものの、青色のままだ。
「戦局は、向こうに有利な状況にあるな」
「切りがないな」
「切りがないね」
距離を取って銃を構えた奏良の懸念に、剣を引いた望とリノアは同意する。
『レギオン』の召喚のスキルの使い手達が召喚したモンスターは少なくとも、望達が畏怖に値する敵ではあった。
躊躇していては危険だと即断させる力を秘めている。
「くっ……!」
「……っ!」
剣を翻した望とリノアは、一定の距離を保ってモンスターと対峙していた。
望とリノアによる、高度で複雑な剣閃の応酬によって蓄積されていくダメージ。
だが、モンスターのHPは、後方に控えていた『レギオン』の魔術の使い手達によって即座に回復されてしまう。
「望、リノア……。加勢に行きたいけれど……!」
地を蹴った勇太は目の前の『カーラ』の召喚のスキルの使い手達の動きに躊躇する。
勇太は起死回生の気合を込めて、『カーラ』の召喚のスキルの使い手に天賦のスキルの技を発動させた。
『フェイタル・ドライブ!』
勇太が大きく大剣を振りかぶり、光の刃が波動のように『カーラ』の召喚のスキルの使い手達へと襲いかかった。
万雷にも似た轟音が響き渡る。
「ーーっ」
迷いのない一閃とともに、勇太の強烈な一撃を受けて、『カーラ』の召喚のスキルの使い手達は怯んだ。
『カーラ』の召喚のスキルの使い手達のHPが一気に減少する。
浮かぶ青色のゲージは半分まで減少していた。
「望とリノアの加勢に行くためにも、まずはこいつらを倒す!」
勇太は畳み掛けるように、『カーラ』の召喚のスキルの使い手達の間合いへと接近した。
たとえ、勇太がこの場で、『サンクチュアリの天空牢』で覚えた『フェイタル・トリニティ』を使っても、『カーラ』の召喚のスキルの使い手達を倒すことは困難だろう。
「せめて、望とリノアが相対しているあのモンスターを倒すことが出来ればいいんだけどな」
勇太は望達が相対しているモンスターの実力を改めて実感する。
その直後、望達が相対しているモンスターの背後から、『レギオン』の魔術のスキルの使い手達の火の魔術が降り注ぎ、硝煙が立ち上った。
「みんな、大丈夫か?」
「みんな、大丈夫?」
望とリノアが声を向けるのは魔術に巻き込まれた仲間達。
有達はプラネットが張った防御のバリアによって事なきを得ていた。
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