「光龍だと!」
突如、具現化した光龍に、『レギオン』のギルドメンバー達が不可解な顔を浮かべて警戒した。
「行け!」
光龍とモンスターが相対する中、徹は光龍を使役する。
徹が呼び出した光龍は、身体を捻らせて『レギオン』のギルドメンバー達へと迫った。
「旋回しろ!」
「くっ……!」
虚を突かれたせいなのか、『レギオン』のギルドメンバー達は回復の手を止め、体勢を立て直す。
そして、徹が動くのを見計らっていたように、『レギオン』のギルドメンバー達のもとに次々と『アルティメット・ハーヴェスト』のギルドメンバー達が雪崩れ込んできた。
戦況を見据えた賢は、奸計を楽しむように表情を緩ませる。
このままでは埒が明かないな。
一刻も早く、椎音愛梨の特殊スキルの力を発動させて、美羅様を完全な神に等しい存在にする必要がある。
ならば、蜜風望達との戦いに勝利して、事を進めるしかないな。
賢は一拍だけ間を置くと、厳かにーーまるで神事を執り行う祭司の如く言い放った。
「モンスターの特性を解放しろ」
晴れやかな表情さえ浮かべて、賢はそう宣言する。
「「なっ!」」
賢の静かな決意を込めた声。
付け加えられた言葉に込められた感情に、望達は戦慄した。
「はっ!」
「あっ……麻痺の効果が……」
『レギオン』の魔術の使い手達は、即座にモンスターに対して手を翳(かざ)す。
その瞬間、花音が先程、モンスターに施したばかりのスタンが解ける。
「花音、ここは交替だ!」
「花音、ここは交替!」
「……うん。望くん、リノアちゃん、後はお願い!」
再び迫ってきたモンスターの猛攻に、前衛に立った望とリノアは戸惑うように息を呑んだ。
花音は口惜しそうにしながらも、望とリノアと入れ替わる形で有のもとへと駆けていく。
空を仰いでいた賢は一呼吸おいて、異様に強い眼光を望達に向ける。
「さて、そろそろ、仕上げといこうか。君達の最後の健闘を、この場から見守ろう」
「「ーーっ」」
言質を取るような賢の発言。
彼が告げる明白な事実ーー。
望達は麻痺スキルを使える花音を要に、モンスター達へと向き合った。
望達、『キャスケット』。
賢達、『レギオン』。
徹達、『アルティメット・ハーヴェスト』。
湖畔の街、マスカットまでの総力戦ーー。
賢達、『レギオン』ーー高位ギルドの猛攻により、混戦状態に陥りながらも、望達は徹達、『アルティメット・ハーヴェスト』の協力を得て次へと繋げる。
「「花音、お願い!」」
「うん!」
先手を打った望とリノアの合図に、跳躍した花音が鞭を振るい、モンスターの動きを阻んでいった。
だが、さらに『レギオン』のギルドメンバー達が襲いかかってくる。
「奏良よ、頼む」
「言われるまでもない」
有の指示に、奏良は弾丸を素早くリロードし、銃を構えた。
発砲音と弾着の爆発音が派手に響き、『レギオン』のギルドメンバー達の進行を阻止する。
「行かせません!」
プラネットは吹っ切れた言葉ともに、両拳を落ちてきたモンスターに叩きつけた。
それと同時に高濃度のプラズマが走り、爆音が響き渡る。
しかし、プラネットの攻撃を受けても、モンスターのHPを示すゲージは青色のままだった。
その直後、モンスターの背後から、『レギオン』の魔術のスキルの使い手達の火の魔術が降り注ぎ、硝煙が立ち上った。
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