「よーし、一気に行くよ!」
花音は跳躍し、烏賊型のモンスターへと接近した。
『クロス・リビジョン!』
今まさに望達に襲いかかろうとしていたモンスターに対して、花音が天賦のスキルで間隙を穿つ。
花音の鞭に搦(から)め取られた瞬間、鞭状に走った麻痺の痺れによって、モンスターは身動きを封じられた。
さらに追い打ちとばかりに、花音は鞭を振るい、何度も打ち据える。
「逃がしません!」
プラネットは吹っ切れた言葉ともに、両拳を花音の攻撃から逃れたモンスターへと叩きつけた。
それと同時に高濃度のプラズマが走り、爆音が響き渡る。
「これで終わりだ!」
「これで終わり!」
煙が晴れた瞬間の間隙を狙って、望とリノアはモンスターへと攻撃を叩き込む。
しかし、HPを示すゲージは0になったものの、モンスターはすぐに完全復活して青色の状態に戻ってしまう。
その有り様は、まるでゾンビのようである。
「何度倒しても、復活するなんて反則だよ!」
力尽きたはずのモンスターは、やがて立ち上がり、何事もなかったように襲いかかってくるという違和感のある事実。
それを間近で目撃した花音は、不満そうに頬を膨らませてみせる。
「もう一回、『クロス・リビジョン!』」
HPを示すゲージは減ったものの、花音は止めを刺しに行かずに鞭を振るう手を止める。
これ以上ダメージを与えて倒してしまえば、また先程のように復活してしまうからだ。
それに麻痺の効果で、モンスターはしばらく身動きが取れない。
「切りがないな」
「ーーっ」
奏良は威嚇するように、モンスターの回復に動こうとした『レギオン』のギルドメンバー達に向けて、連続で発泡する。
風の弾が『レギオン』のギルドメンバー達に衝突し、大きくよろめかせた。
『元素還元!』
『復元!』
有は、奏良へと注意を向けた『レギオン』のギルドメンバー達を牽制するように地面に向かって杖を振り下ろしたが、同じスキルのプレイヤーによって崩壊させようとしていた地面を再び、生成されてしまう。
このまま、この状況で戦うのはまずいなーー。
徹の頭の中で警鐘が鳴る。
光龍を使役していた徹は、改めて周囲を見渡した。
徹達の猛攻を受けたことで、『レギオン』のギルドメンバーの魔術のスキルの使い手達はモンスターへの援護魔術を止めらずを得ない状況に追い込まれていた。
『レギオン』のギルドメンバーの魔術のスキルの使い手達の攻撃は、徹達『アルティメット・ハーヴェスト』へと矛先を変えている。
「ここから何とかして、望達が転送アイテムを使えるようにしないといけないな」
徹は少し躊躇うようにため息を吐くと、複雑な想いを滲ませる。
「俺と魔術のスキルの使い手達で、モンスターの背後に居る『レギオン』の魔術のスキルの使い手達へと攻める。他のみんなはこのまま、周辺の『レギオン』のギルドメンバー達に対処してくれないか!」
徹は気持ちを切り替えるように一呼吸置くと、『アルティメット・ハーヴェスト』のギルドメンバー達はそれに応えた。
全員がレア装備を身につけ、それぞれの武器を『レギオン』のギルドメンバー達に突きつけてくる。
「お兄ちゃん、これからどうしたらーー」
「妹よ、まずは、あのモンスターの光の加護を何とかする必要がありそうだ」
陣を張った『アルティメット・ハーヴェスト』の動きを見て、有は戸惑いの色を滲ませる花音の想いに応えた。
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