「よーし、一気に行くよ!」
望達のその想いを皮切りに、花音は跳躍し、『レギオン』のギルドメンバー達へと接近した。
『クロス・リビジョン!』
今まさに花音達に襲いかかろうとしていた『レギオン』のギルドメンバー達に対して、花音が天賦のスキルで間隙を穿つ。
花音の鞭に搦(から)め取られた瞬間、鞭状に走った麻痺の痺れによって、前衛に立っていた『レギオン』のギルドメンバー達の幾人かは身動きを封じられた。
さらに追い打ちとばかりに、花音は鞭を振るい、何度も打ち据える。
「吉乃かなめさん。望くん達のもとには行かせないよ!」
打って出たその先制攻撃を要に、鞭を振るった花音は跳躍し、かなめへと接近した。
『クロス・レガシィア!』
「今度は西村花音さん。あなたが私の相手ですか……」
再度、魔術を発動しようとしたかなめに対して、花音がそのまま、天賦のスキルで間隙を穿つ。
しかし、瞬間の隙を突いた花音のスキルを前にしても、かなめに動揺の色はなかった。
「残念ですが、その攻撃は防がせてもらいます」
かなめは片手をかざすと、花音の鞭を防ぐための光の魔術の防壁を生み出す。
「奏良くん、お願い!」
「言われるまでもない」
花音の呼びかけに、奏良は弾丸を素早くリロードし、かなめに照準を合わせた。
その直後、発砲音と弾着の爆発音が派手に響き渡ったが、それらをかなめは光の魔術の防壁を用いて防いでしまう。
「行きます!」
裂帛の咆哮とともに、プラネットは力強く地面を蹴り上げた。
「はあっ!」
気迫の篭ったプラネットの声が響き渡った。
プラネットの猛攻により、かなめが張った光の魔術の防壁は爆せ、罅が入る。
「吉乃かなめ様への敵意確認。交戦を一時中断し、これより援護攻撃に入ります」
それを火蓋として、ニコットは数本のダガーを花音に向けて投げようとした。
「させません!」
しかし、その不意打ちは、プラネットには見切られていた。
前に出たプラネットは反射的に飛んできたダガーを弾くと、その方向に向かって電磁波を飛ばした。
「ーーっ」
初擊の鋭さから一転してもたついたニコットは、電磁波の一撃をまともに喰らい、苦悶の表情を浮かべる。
「ニコットは、妨害対象を排除します」
イリスと対峙していたニコットは、動きを阻害してきたプラネットを注視する。
次撃のニコットの動きを見計らったように、イリスは槍を振りかざす。
「それは、こちらの台詞です。彼らとともに今すぐ、ここから立ち去りなさい」
「お断りします。ニコットはこのまま、指令を続行します」
「そうですか……」
イリスの言葉に返ってきたのは、提案でも懐柔でもなく、断固とした拒絶。
その折りを見計らって、イリスはニコットの追撃を捌き、花音達のもとへと跳躍した。
「イリスちゃん!」
「皆様、ご無事で何よりです」
花音が安堵の表情を浮かべると、戦闘を切り上げたイリスは誠意を伝えてくる。
「イリス。他のメンバー達とともに、望達がこの場を切り抜けるまでの時間を稼げるか?」
「徹様、問題ありません」
徹の指示に、イリスが槍を素早く構え直し、気合いを入れる。
「時間を稼いでみせます!」
「ーーなっ」
イリスは、『レギオン』のギルドメンバー達の挙動に注意を傾ける。
彼女は躍動すると、望達に襲い掛かってきた『レギオン』のギルドメンバー達を勢いよく叩き伏せた。
この瞬間、『レギオン』のギルドメンバー達の目標はイリスに切り替わった。
次々と襲いかかって来る集団を、イリスは機敏な動きでかわす。
「ニコットは、妨害対象を排除します」
だが、イリスが着地した隙を見逃さず、ニコットは数本のダガーを彼女に向けて投げた。
愛梨のイラストになります。
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