俺達は遊園地にやって来た
遊園地ははしゃぎまわる子供と、イチャイチャするカップルでにぎわっている。
絶叫系に乗っている人の「きゃー!!」というお決まりの悲鳴も聞こえる
綾子は聞いた
「ここは遊園地?」
俺は答える
「そうだよ、ここならたいしたお金使わないだろう
使うには使うが、今の俺達からすればはした金さ」
ツウはウキウキで聞いて来た
「それで何に乗るの?やっぱりジェットコースター?ジェットコースター?」
俺は呆れた
ツウの奴何も分かってねぇ
「食事したばかりでジェットコースターはきついだろう。
まずは腹ごなしにメリーゴーランドでゆっくりするんだよ」
ツウはムクれた
「メリーゴーランドなんて退屈なもの、何の意味もないと思います。」
こいつ、全国のメリーゴーランドファンを敵にしたな
俺達はお馬さんに乗ってメリーゴーランドを楽しむ。
「ハハハ、メリーゴーランドだ。
楽しいな、楽しいな。」
絵馬と斗牛が後ろで馬に乗りながらこそこそ話している。
「ねぇ、ロズキャラ崩壊してない?大丈夫?」
斗牛は心配そうに俺を見つめてくる
「大丈夫には、見えないな。
あいつ大丈夫かな?」
うぅ、なんか恥ずかしくなって来たぞ
隣のツウはバカにして来た
「メリーゴーランドなんかで喜んじゃって、もう子供なんだから」
「うるさい…うるさい、うるさい!!」
俺達は次にお化け屋敷に入る
「遊園地と言えばお化け屋敷だろう、お化けにビビって楽しむ」
ツウはあきれながら言った
「仲間に本物のお化け、鬼が居るけどね」
俺はツウをにらみつけた
「水を差すなよ、空気読めないやつめ。」
お化け屋敷は廃病院をモチーフにしているようだ。
なんだか少し寒いし雰囲気出ている
俺達は病室の1つに入ってみる
ベットの布団の中からお化けが出て来た
「うらめしや~」
ツウは笑った
「ぷぅ、うらめしやだって!!
そんなバレバレのお化け誰も怖がらないっての、ねぇ?ねぇ?ロズ」
お化け役の人は顔を真っ赤にしている
俺は叫んだ
「よせよ、お化け役の人だって時給もらって頑張ってんだよ!!
お化け役の人の事考えてやれよ!!」
綾子はビビっている
「お化け怖いお化け怖いお化け怖い、ロズ君たちゅけて!!」
綾子は俺に抱き着いて来た
お化け役の人は希望に満ちた目で綾子を見ている
怖がってくれる人、居た!!って目だ
「怖がるのはいいけど綾子は離れろ、寒いのに鬼の体温の冷たさでさらに寒くなる
離れろ、離れろって!!」
ツウは呆れている
「鬼なのにお化け怖がっちゃってるよ綾子、まったくヘタレだなぁ。」
絵馬は呆れながら言った
「あんたが空気読めてないのもあると思うけどね、流石に。」
斗牛は頷いている
「確かに」
ちなみにこの後お化け屋敷を進んだが
同じようにお化けが出てくるたびに綾子に抱きしめられて、大変だった。
俺達はいよいよジェットコースターに乗る。
綾子は俺の隣でヘタレている
「こんなの人間が乗る乗り物じゃないよ、違う
こんなの違うよ乗るべきじゃない、今すぐ引き返すべきだ
違う違う違う」
俺は綾子を落ち着かせようと言った
「お前は人間じゃなくて鬼だろ。
スピード出るのは一瞬ですぐ終わるから安心しろって」
いよいよジェットコースターは発進した。
綾子は叫ぶ
「きゃぁあああああああ!!」
まだスピード出てないのに!!
後ろの絵馬と斗牛は呆れている、その後ろのシルもだ
シルは言った
「よくあそこまでビビれるもの。」
このジェットコースターの名物、高速の下り坂までやって来た
ツウは笑っている
「出るぞ出るぞ、いよいよスピード出るぞ」
「きゃぁああああああああ!!」
綾子は叫んでいるが容赦なくジェットコースターは下り坂を下って行った
すごい風圧が俺達に当たる、修行しているから余裕だが。
「うぉおおおおおおおお!!」
綾子はおたけびをあげている
あれはもう、放っておこう
ジェットコースターを降りて、俺達は一息つく
ツウは笑顔で言った
「ジェットコースター楽しかったね、また乗りたいね」
綾子は全力で否定した
「あんな恐ろしい乗り物二度と乗りたくないです!!」
まぁ、綾子はそうだろうな
俺は聞いた
「もうすぐ閉園時間だが、最後何乗る?」
絵馬は言った
「最後と言えばあれでしょ、観覧車。」
俺は肯定した
「観覧車か、ロマンがあっていいな」
斗牛はつぶやいた
「観覧車と言えば、2人で乗るものだよな。」
シルは冷静に言った
「丁度6人、だれも余らず2人ずつに出来る。」
絵馬は斗牛の腕を抱きしめた
「私斗牛と乗りたい」「え、絵馬?」
斗牛は驚いている
「いいでしょ。」
反対意見は出なかった
俺は言った
「じゃあ俺は…」
ツウと綾子が同時に言った
「ボクが一緒に乗ってやってもいいよ」「私ロズ君と乗りたい」
「「ぐぬぬ…」」
2人はにらみ合っている
「ビビりのくせに」「大人のくせに、子供に譲ってよ」
俺は言った
「俺は今回ツウと乗りたいかな?」
綾子は驚いている
「ロズ君!!」
ツウは当然と言う顔をしている
「まぁ当然だよね、ロズの相棒はボクなんだから」
綾子はあからさまにがっかりしている。
すまない、なぜかツウと乗りたくなったんだ。
シルは言った
「綾子、私と、嫌だ?」「ううん、嫌じゃないよ。ただ…ううんなんでもない」
こうして
絵馬、斗牛
俺、ツウ
綾子、シル
で観覧車に乗ることになった
絵馬は観覧車に乗るなり言った
「…好き。」
斗牛は驚いている
「好きって、え?」
「恋愛的な意味でよ、ずっと一緒に居て惹かれていた。
だから付き合ってほしい」
斗牛は自分を卑下するように言った
「俺はお前より、ロズより弱いんだぞ。
そんな俺で…」
絵馬は真顔で言った
「そんなの、これから私より、ロズより強くなればいいだけの話じゃない。
私は告白しているの、返事を聞かせて欲しい。イエスかノーか」
斗牛は言った
「イエスだ、俺もお前が好きだった」
絵馬は笑った
「うれしい、チュッ」
絵馬は斗牛の唇にファーストキスをした。
「もう好き同士だから、恋人同士だから
キスぐらいしてもいいよね」
斗牛は動揺しながら返事した
「あ、あぁ。」
ツウはいつも通り悪い態度で言う
「でも観覧車も退屈だよね、ジェットコースターと違って刺激ないし
やっぱりボクは刺激がある方が」
「好きだ」
俺は言った
ツウは驚いている
「え?今なんて?」
俺は自分でも驚いている
「俺はツウに告白してるんだ。
好きだって、付き合ってくれって」
ツウはビビりながら言った
「じょ、冗談か何かだよね?
こんな嫌味なボクを好きだって」
「自分でも驚いているが、嫌味でも幼い頃からずっと一緒に居て。
何でも言えるお前が俺は好きらしい。観覧車に2人で乗りたいって思ったとき、気づいた」
「………」
「返事を聞かせてくれるか?ツウ」
ツウは聞いて来た
「こんなボクでいいの?鬼だし性格良くないよ」
「そんなお前がいいんだ、鬼だし性格よくなくて、何でも言い合えるお前が」
ツウは呆れた
「告白相手に性格よくないって言う?普通」
「言わないな、だが俺達らしいだろ。
それで返事は。」
「イエスだよ、ボクも君が好きだった
かなわない恋だと思ってたけど。強引に鬼らしく行くよ!!」
ツウは俺にディープキスをかましてきた
「むっ、むぐっ!!」
冷たい
だけど好きな人の唇だから
気持ちいい
ツウは唇を放した
「どう?これがボク流のキス。ビビった?」
俺は笑顔で言った
「馬鹿か、そんなのでビビってたら鬼相手に戦ってねぇよ
ちょうどいいキスだったぜ」
「強がっちゃって。」
ツウがそう言った瞬間丁度、観覧車の終わりの時間が訪れた。
恋の始まりとともに観覧車を降りる、ロマン的だな。
シルは無言だ
「………」
綾子は困っている
「シルちゃん、何か話そうよ。
好きな事とかないの?」
「射撃」
「そ、そうじゃなくて、もっと女の子らしくてかわいらしい趣味
私は猟師が好きだよ」
シルはあっさり言った
「ない。」
「「………」」
(き、気まずいよぉ!!)
俺達は全員観覧車から降りた
絵馬と斗牛は手を恋人つなぎしている
俺とツウも恋人つなぎしている
綾子は驚いた表情を浮かべる
「な、何かあったの?」
絵馬は言った
「私が告白して、斗牛と付き合ったのよ。
その様子だとそっちも」
俺は言った
「あぁ、俺が告白してツウと付き合った」
綾子は絶望的な表情を浮かべた
(そんな、ロズ君とツウちゃんが?
ロズ君の事、たぶん好きだったのに…)
俺は聞いた
「綾子、どうかしたか?」
「な、なんでもないよ(祝福しなきゃいけないよね、仲間の恋が実ったんだから)
綾子は小声でツウに言った
「ロズ君、幸せにしなきゃ承知しないよ
私の相手を奪ったんだから」
ツウは分かってるさ、と言う表情で小声で言った
「普段の態度はあれでも、ボクは大事な人は大事にするから
必ず幸せにして見せるよ、ロズを」
俺は聞いた
「2人とも何話してるんだ?」
「「なんでもありません」」
「???」
こうして俺達の豪遊は終わった。
最後の観覧車ではツウと付き合えたし。
とても幸せな豪遊だった。
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