鬼より年功序列が嫌なので、違う戦場で戦います

せんきん
せんきん

少年時代の章

初めての鬼退治(前編)

公開日時: 2021年11月12日(金) 17:31
更新日時: 2021年11月14日(日) 14:10
文字数:3,217

いよいよ初陣、倒すべき鬼と対面

俺は自分の部屋でサラシに、黒のボックスショーツ姿になり鏡を見る。俺は今年で12歳になった。

髪がショートと呼ぶには少し長くなって、体はだいぶ女らしくなってきた

胸も、でかくはないけどB+まではあると思う、3歳年上の絵馬はもっとすごいけど。


「複雑な心境だな」


女の体見放題ってのはうれしいけど、まだ子供だし

いやまてよ、でもこれから成長すれば


「美少女の体見放題!!」


そう考えると素晴らしいのかも?




襖を開けて、ツウが居た

あの時遊びに行った時と同じ私服で


「なにしてんの?」


「な、なんでもない」


俺は慌てて服を着た、白のフードつきの服、下はジーパン

もう和服はやめたんだ。


俺はツウを見た


「ツウの胸は変わらないね」


ツウは静かに言った


「…いくらでもサイズ変えられるけど、目立たないようにしてんの

 スパイだから」


そんなこともできるのか!!まぁ姿を変えられるから、潜入出来てるんだろうし。




「それで何の用?」


「今から鬼退治に行くよ」「ツウ退治?」


思わず俺は聞いた、ツウは鬼だ

だが、違うようだ。

ツウは笑顔で言う


「無鬼宗に入って、正僧侶になったのボク。

  そうすればボクを雇ってる鬼も手出ししにくいし、その、君と居られるしね」


ツウ…なんていいやつ。あれ?


「君と居られる?」


「お父様から聞いてない?初陣だよ、鬼退治の

  お父様に挨拶しておいで、師匠でもあるんだから」


おやじに…そうかおやじに

最初は仲が悪かったけど、今ではそんなに仲悪くないしな


それならいろいろ突っ込みたいことはあるけど

まずは挨拶行くか、世話になったし、本当に。




俺はあの豪華な壺や掛け軸がある親父の部屋にやってきた。

おやじはお母さんと座って居た、2人とも少し老けて来ている

お母さんはまだ若いが、おやじは50を超えている


親父は笑った


「礼儀を教えるつもりが、倒して姉弟子兄弟子と友人になるとはな

  お前には参った」


お母さんは下を向いている

あきれてる、でもそれだけじゃないような気がする。


「お前に名家の素質はないが、鬼退治の素質は間違いなくあるだろう

  一緒に修行し続けた俺が認める」


おふくろは恥ずかしそうに言った


「女としては恰好から礼儀まで、出来損ないですが」


「だが鬼退治の名家としてはいいだろう

 お前を初陣に送り出す」


初陣…鬼退治

少女を退治なんてできるのか?俺に


親父は俺の心境を見越したのか、冷静な口調で言った


「少女と思うな鬼と思え、見れば分かる

  鬼は死者で人を襲う。

   見る前に死ぬな、情けをかけなければお前はそこらの鬼には負けぬ」


…それが難しいんだよ

ツウを見てるから、だけど


「お父様、今までありがとうございました。

  初陣行ってまいります、必ず勝利を」


おやじとお母さんは驚いた眼でこっちを見ている




おやじは冗談を言った


「いつもその態度でいいんじゃぞ」


「嫌だね、行ってくる」


「「あぁ、行ってらっしゃい」」


俺は2人に送り出されていく、鬼退治に

望まれて誕生してなかった俺も、ここまで成長できたよな





俺たちはあの、遊びに行った公園の

デート向け公園の噴水前に集まる、ツウも含め同じメンバーで


俺は笑った


「一緒に鬼退治するのはお前らだったんだな、絵馬、斗牛」


絵馬はあれから身長も胸もボリュームアップ

完璧に女性の体になってる、斗牛は180センチある大男になっていた

もちろん完全にマッチョ


まぁちょくちょくあってるから、お互い見慣れたもんだけど

あの遊びに行った頃から比べると、成長した




絵馬はがっかりした


「12歳と同期とはね、あんたより3年デビュー遅れってこと?」


ツウが笑顔で冷静になだめる


「普通は高校2年、3年大人でデビューだから

 みんな天才だよ」


「「あんたがなんで知ってる」」


絵馬と斗牛が突っ込んだ


ツウは笑った


「まぁいろいろあるのさ、君たちは友達だから大丈夫だよ

  必ず守るから」




斗牛は拳を構えて言った


「鬼を殺しに行くんだ、鬼に守られる俺じゃねぇ」


そう、鬼を殺しに行くんだよな。

少女を殺しに。




「お前は同胞の死を黙って見てな」


「はいはいなー」「かるっ!!」


ツウは軽く返した

同胞をどうとも思ってないのだろうか?


ツウは小声で俺に言って来た


「鬼はたいてい凶暴だから、ボクのことは忘れて戦って

  ボクみたいな可憐な美少女を想像すると、死ぬよ」


「!!!!」


死ぬ、そうこれから戦うのは実戦

だけど


リンチされて死ぬよりはいい

もし鬼と戦って死ぬとして、ちゃんと鍛えた技で

戦って死ねる!!


死にたくないけど




ツウは冷静に説明する


「鬼は30歳ニートの男性が鬼化した存在

  自宅で暴れて家族を食べた」


え?家族を、え?


「嘘でしょ」「嘘だろ」


2人もあ然としている


「鬼であることは家族が隠してたけど。

  ニートが家族を殺したから隠せなくなって判明した、ってわけね」


「「「………」」」


ツウは笑顔で言う


「初めてが情けをかける相手じゃなくてよかったね、うん初めてがかわいそうだと

  同情して隙を突かれて死ぬ子も居るから」


なんで詳しいんだ、と聞きたかったがやめる

正式な僧侶になるまでに、悲しい経験もしたのだろう




「とにかく容赦なく退治しよう、ボクみたいに話しが通じるやつじゃないし」


斗牛はつぶやいた


「自分で話通じるとか、言うかよ」「通じてるでしょ」


確かに通じてるし、遊べてる。

俺とは親友だし

鬼にもいろいろあるのだろう、だとしたらなおさら


俺は情けをかけてしまいそうだが

今回はある程度情け無用で行けそうだ

クズみたいだからな




俺たちは鬼が居るという一軒家にやってきた

2階建ての、白を基調とした普通の一軒家だ。

だがガラスが割れていて、鬼が暴れた跡がある


「「「つっ!!」」」


ツウが冷静に言った


「窓から入るよ、扉を開ける音を知らせる必要はない」


確かに、窓は壊れて開いている

俺たちは静かに窓から家の中に入った




そこはリビングだった、普通の洋風リビングだった

血の跡はあったが死体はない


「ふぅ…」


悲惨な死体がなくて少し安心した

リビングは窓やテーブルが壊れてるし、テーブルや壁に少し血の跡はあるが

きれいと言えばきれいと言える、前世の俺の部屋より整理されてる。


ツウは冷静に指揮する


「進むよ」


俺たちはそれに従って、廊下に出る

廊下はきれいで暴れた後すらない




斗牛は言う


「そこまで暴れた跡はないな」


絵馬は落ち着いて突っ込んだ


「鬼だからって常に暴れてる方がおかしい

  そんなんばかりならみんな討伐されてる」


確かに、暴れてない

潜むから鬼は厄介なものだ。


キッチン、トイレ、風呂を確認するが特に何もなかった

俺たちはこの家族の両親の部屋に入る


部屋はダブルベットが1つある。

ただし割れている


「「「「つっ!!」」」」


他にも部屋にあるタンス、棚全部壊れている

衣類などまでとび出ている

鬼はここで両親に八つ当たりでもしたのか


うん?俺は割れた写真ケースを見つけた

拾ってみる


「どうしたのよ?」「これ…」


そこには小学生の、この家の息子だろうか。

それと美人な母親と、ダンディで優しそうな父親が笑顔で映っていた

幸せそうだ


斗牛は怒りを込めてつぶやいた


「これが、これがなんでこんな風によ!!

 鬼のお前なら分からねぇかよ」


斗牛!!ツウにそれは


ツウは静かに言った


「親居ないから分からない、ごめんね~」


ツウは無理して軽い笑顔を作ってる

痛々しい




斗牛はうつむいた


「わ、悪かった」「いいよ」


そう、ツウは孤児だから幼いころから家で働いている

本当は強い鬼のスパイらしい、その強い鬼は俺が倒す予定


「婆、めしくれぇ」


少女のような高い声が後ろから聞こえる

後ろを振り向いた、そこには


緑ロング1つ結び高め

カチューシャ、ピンクと白が混じった各襟の服、アリス風ミニスカート

美少女が居た、性格は悪そうだが美少女だ。

ブラをしていないのか、大きくも小さくもない胸が揺れる


こいつが鬼か!!


「なんで、なんで両親を殺した?

  この写真を見ろ、愛されてた」


鬼は笑った


「今月お小遣い少なくてさぁ、不景気だって

 だからいらついてつい、反省してまーす

  だっていろいろ困るし、今だって婆が居ないから」


鬼は邪悪な笑顔を浮かべる


「料理作れない、お前ら食わないと」

読み終わったら、ポイントを付けましょう!

ツイート