他の子供との修行、争い
9歳の時、俺はおやじの部屋に呼び出された
壊れた高価な壺や掛け軸は新しいものになっている
「おやじ、また修行か?」
あれから修行を積んできた、だいぶ強くなったつもりだ。
だがまだ修業したい
親父は冷静に言った
「お前には強さはあるが、礼儀作法が足りない
だから武道をやってもらう」
ぶ、どう。
俺の中で先輩にやられた、あの記憶がフラッシュバックする
「けん、どう?」
「剣道?違う空手だ。
お前には無鬼宗が運営する道場に通ってもらう」
こうして俺は道場に通うことになった。
目の前にはおんぼろで小さな、看板もない道場がある
無鬼宗運営だから、もっと立派なものを想像していたんだが
僧侶は術を重視する、武術には力を入れてないってことか
それとも他の人は普通の町の道場に行ってるのか
俺は後ろから少女に、声をかけられた
「あなた、新入り?」
ぞくっ、部活で聞いたこの掛け声
お前は下だ、それどころが奴隷だ、という意味にすら聞こえる
俺は振り向いた
「つっ!!そうだけど、”てめぇ”は?」
目の前には紫のボリュームアップロングヘアー
6年生ぐらいの少女が居る
白の折襟の服、黒のひざ丈スカートを着て。おしゃれででかめなショルダーバックを持っている
少女は予想通りのセリフを言った
「新入りで年下が、ここで最年長の私に”てめぇ”はないんじゃないかしら?」
ここで最年長、なるほどここは子供道場か
俺は鼻で笑ってやった
少女は殴りかかってこようとする
「てめぇ、今何を!!」
だが
大きめの少年が手で止めた
「やめろ!!俺たちは不良じゃないぜ。」
「つっ!!」
少女はしぶしぶ引いた
俺は笑った
「ありがとう、あんたは」
少年は165センチぐらいあって、でかいく太い
道着を着ている
少年は怒りの表情をぶつけてきた
「勘違いするな、味方じゃないぜ!!
ただ礼儀を教えるのはここでの暴力じゃないってだけだ」
つっ、なるほどこいつも同類か
「行くぞ絵馬」「えぇ、斗牛」
女は絵馬で男は斗牛、覚えた
俺は道場で着替えをする、プライバシーなスペースがないなかでの着替え、というのもすごい
これも子供時代ならではか
俺はハッピを脱ぎ、短パンを脱ぎ道着に着替える
サラシの上から、膨らみ始めた胸が見える
Bカップにはなったかな
俺はそのまま道着を着ようとする
だけど絵馬が注意してきた、怒ってる
「待ちなさいよ、あんたサラシを脱がないの?」
え?
「ここでは男女関係なく道着の下は裸なの、伝統」
そんな馬鹿な、いじわるする気じゃ
と思ったが絵馬も道着の下は何も着てないようだ
俺よりでかいCカップぐらいの胸が、道着の上から見える
まぁ俺の心は男だし、いいか
俺はサラシをとった、Bカップで膨らみかけの胸が露になる
絵馬は目を隠した
そして顔を赤らめている
「きゃっ、私の前で脱ぐな
デリカシーを持て」
子供にもあるんだな、でりかしー
俺は道着を着込んだ
道着の下からだと俺の場合ふくらみはほとんど目立たない
男に戻った気がして少し安心する
あれはないし中は膨らんでるんだけど
自己紹介もなく、正拳突きにまわし蹴りなど、俺たちは普通に型稽古した
先生は普通に穏健な先生だった
名家もいる道場だ、トラブルはごめんなんだろう
あと生徒は俺と絵馬斗牛以外は数名しか居ない
やっぱりみんな町の道場に行ってるのかな?
そして組手の時間がやってきた
先生は俺の対戦相手に斗牛を指名する
斗牛は笑った
「女をいたぶるのは趣味じゃないが、礼儀知らずに礼儀を教えないとな」
先生は慌てる
「その子は名家だから、あまり荒事は…」
俺は先生を笑顔で止めた
「全力でやろう、先生ルールは?」
先生はもじもじしながら言う
「霊力もなんでもありの、主に打撃戦」
上等!!
斗牛は俺に殴りかかってくる、正拳突きだ
俺は剣道の動きでかわした
「なっ!!」
斗牛は驚いている
経験の浅いはずの俺が、あんな動きをするなんて。だろう
空手じゃなく武道歴だけで言えばこいつら全員より長いんだけどな
「てめぇ!!」
俺は斗牛の顔にまわし蹴りをお見舞いする
「いてっ」
だが斗牛にあまりダメージはない
こいつ、タフだ!!
斗牛は反撃のパンチをしてきた
「ごふっ!!」
すごい打撃力、おやじのパンチに慣れてなきゃ
吹っ飛んでKOだった
だが俺の腹はへこんでいる、痣とか出来てないよな?
斗牛は感心してる
「俺のパンチを食らってダウンしないとはな」
「はぁはぁ」
苦しい、すごい打撃だった
腹が痛い、息がしにくい
斗牛は笑顔だ
「とはいえ満身創痍のようだが」
俺は生きも絶え絶えで、道着がズレ膨らみかけの胸が少し見えかけている
先生が慌てて止めた
「もう降参しても」
俺は笑った
「そりゃない、こいつには勝ち目がある
親父は修行中全力を隠しているが、こいつはこれが全力だ」
斗牛は怒って殴りかかってくる
「こいつではない、先輩だ」
俺は霊力を手に込めて、斗牛の腹を思いっきり殴った
「ごふっ!!」
「先輩なんぞこの世に存在しない!!」
俺は叫ぶ
確かにダメージはある。
なら
「オラオラオラオラオラオラオラオラオラ!!」
俺は霊力を込めて斗牛を連続で殴りまくった
霊力を込めてダメージが入るなら、連続で霊力の拳をお見舞いすればいい
3年前なら無理だったが、だが今ならその程度のことができる霊力はある
斗牛は倒れた
「うそだろ、あの斗牛先輩が新入りに」「ありえない…」
門下生たちは驚いている
その中でも絵馬は怒りに近い表情を浮かべている
「つっ!!斗牛」
先生は驚きつつも、そこまで驚いてない
名家だしね、という反応だ
ムカつく。
「はいはいここまで、斗牛君しっかりして」
先生は斗牛を介抱する
「はい、お礼のあいさつ」
『ありがとうございました!!』
こうして今日の練習は終わった
帰り道、俺は絵馬に話しかけられた
「斗牛を倒したからって、だからあんたが私たちより偉いわけじゃないから」
俺は絵馬に軽く返した
「興味ない、偉いとか偉くないとか。」
俺は笑顔で言う
「俺は年功序列をぶっ壊しに来たんだ」
絵馬はあ然とした、何を言っていいか分からないようだ
そうだろうな、マウントをとりたいやつに俺は理解できない
俺は自分の部屋でツウに話しかける
「ってわけで、あのでか物を倒して爽快だったぜ」
ツウは心配そうに腹を覗いた
「爽快?惜勝だろう、お腹見せて」
お腹にはすごいでかい拳のあざがあった
「いてっ!!」
ツウはまじめな顔で言う
「斗牛は名家じゃないけど、怪力で有名
将来を有望視された僧侶研修生なの。」
そうなのか?まぁ強そうだったけど
俺は笑った
「怪力でも鬼に通じるとは思えないね、鬼のほうが力がある」
ツウは笑った
「知らないの?霊力をチャージできるんだよ彼は。
組手では隙だらけになるだけだから、使うわけないけど」
マジか
「そんな彼に勝てたのはすごいけど、圧勝できるほど甘くはないということですね」
ツウは俺の腹に消毒液をかける
「キャッ、痛い」
「がまんがまん、若いんだから」
お前も若いよ
俺はツウと2人で、縁側で大福を食べてる
「うまい」「おいしいね」
ツウははかなそうな顔をしている
「何か悩みでも?」
ツウは自分の顔を手で押さえながら、言った
「ボクさぁ、隠してることがずっとあってつらいんだ
純粋な君を見ていると、どうしよう?」
俺は考えた
「う~ん…」
そして言った
「俺はツウの味方だよ、その隠し事がなんであれ
言っても言わなくても」
ツウはいじわるな顔を浮かべる
「ボクが鬼のスパイだとしても?」
俺は笑顔で返した
「鬼に反年功序列委員会を作ってきてくれ
鬼に味方する」
「あ、うん。鬼を退治する仕事なのに?」
俺は寝転がりながら笑った
「そんな仕事つくかわかんねえ」「修行頑張ってるのに?」
俺は親指を立てる
「俺の目的は年功序列をぶっ潰すこと。
修業はそのため、それ以外のなんでもないよ。だからさ」
俺は起き上がりツウを撫でた
「ツウが鬼でも俺は味方、だから俺が鬼でもツウは味方してくれよ」
ツウは笑顔で笑った
「うん」
俺は笑顔で皿を見た
「最後の1個は?」「食べた」
俺は怒ってツウを追う
「せめてじゃんけんしろぉ!!」「いやーだよ」
ツウは逃げる
こんなやり取りがどこか楽しい、やっぱりツウは親友だ
名家なども含め、僧侶が集まる道場だからこそ
もめごとは起きるもの、主人公の性格もありますが
読み終わったら、ポイントを付けましょう!