さて翌日。
「ショウマ王、今日は『野獣の森』に行かないのですか」
「一日おきで迷宮探索と村を回るをやってくよ。
今日は組合だけ行って、ステータス確認しよう」
ハチ子は残念そう。
でも亜人の村を見て回るのも大事。
ショウマは既に亜人の村の代表みたいな立場。
村長代理にみみっくちゃんとミチザネ。
その上がショウマ。
ショウマが何か言えば全員従っちゃうのだ。
と言ってもショウマは村の内政なんて何もしてない。
みみっくちゃんとミチザネにおまかせ。
出来る人に任せるのが一番だよね。
「ケロコさん、おはようございます」
「おはようっ、ユキトくん」
組合に向かうと挨拶された。
亜人の村の少年ユキトだ。
妹イチゴちゃんは美少女、母ナデシコさんは色っぽい。
お隣に住んでるのは着やせするコノハ、その母可愛らしいサツキさん。
そう考えると実は天然ハーレム野郎だ。
「ユキト少年、どうしたのだ」
「ユキト少年、どうしたんですか」
「散歩だよ、“獅子山羊”(キマイラ)の運動。
たまに運動させてやらないと」
見ると“獅子山羊”を連れてる。
頭部はライオン、胴体はヤギ。
一見するとバケモノだ。
最近は見慣れてきて少しだけ可愛くも感じるようになってきたショウマだ。
ユキトは従魔師見習い。
“獅子山羊”と“土蜘蛛”を従魔にしてるのだ。
“土蜘蛛”に関しては強引に押し付けたんだけど。
「へー、従魔師になるのを嫌がってたわりには真面目じゃないですか。
にしても“獅子山羊”だけですか。“土蜘蛛”ちゃんはどうしたんです」
「アイツはだって、自分で勝手に天井とか這いまわって運動してるもの。
一緒に歩こうとしても、木の上を移動するし。
家の屋根から屋根へ糸を飛ばして移動したりするんだ。
一緒に散歩はムリだよ」
うーん、ス〇イダーマン。
組合に行くとザクロさんは倒れてた。
「うー、呑み過ぎたよー。
あのライスワインは危険だね。
吞み口いいからついつい吞んじゃう」
「ザクロさん、『冒険者の鏡』…」
「あー、勝手に使って―」
「ザクロ、だらしないですよ。一人前の大人なら自分が耐えられる酒量くらい把握しておくものですよ」
みみっくちゃんはいくら呑んでも変わらないものなー。
子供っぽい見た目なのに実は酒豪の従魔少女だ。
名前:タマモ
種族:亜人/従魔
冒険者LV:25
体力:400
魔力:325
攻撃力:225
魔法攻撃力:150
防御力:200
魔法防御力:163
行動速度:200
職業
斧戦士 ランク2
スキル
特殊攻撃
猛り打ち ランク1
種族特性
マヒの遠吠え
変身
まずはタマモから
ショウマがタマモのステータスをちゃんと見るのは初めて。
「どうなんだ、ご主人?」
「うん。いいんじゃない」
まずまずのステータス。
突出したところも少ないけど欠点も無い。
『マヒの遠吠え』を引き継いでる。
相手をマヒさせて、斧で攻撃。
なかなか凶悪なコンボかも。
まあ職業を増やしてからだね。
「タマモはLVが10を越えました」
「職業Ⅱを習得できます」
「タマモはLVが25を越えました」
「職業Ⅲを習得できます」
職業Ⅲキター!
職業ⅡはLV10が条件だった。
職業ⅢはLV25か。
もう一個くらい、職業Ⅳも有るかな。
そろそろ打ち止めかな。
条件はLV40、それともLV50くらい。
選択肢は。
斧士、闘士、軽戦士、剣戦士、槍戦士、弓戦士、盾戦士、衛兵、斥候、忍者、暗器使い、野伏、踊り子………
どうしようかな。
タマモに関してはまだ一緒に迷宮探索したのが一日だけ。
どういう役割が良いとか考えてない。
まだ経験少ないし、今回は職業つけずに焦らず様子見。
そんな手もある。
「タマモ、なりたい職業有る?」
「うーん。
ご主人を守るのが役目。
それを果たせるヤツ」
守るか。
盾戦士。
これはいわゆるガーダーっぽい。
盾で身を守り、敵の攻撃を受け止めるタンクキャラ。
タマモに向くかな?
もっと体力や防御力に長けた人の役割な気がする。
斧士、これは斧使いの上級職。
ハチ美も弓戦士から弓士になった。
忍者、どんなのか気になってたが斥候の上級職の一つらしい。
忍者のコザルさんから聞いた。
スキルは『千里眼』視力や聴力が異常に上がる。
攻撃回避上昇もスキルで身に着くらしい。
“妖狐”忍者。
狐ミミくのいち。
どうだろう。
けっこうイケてないか。
忍者装束から狐シッポ出してる美少女忍者。
「タマモ、忍者になってみる?」
「忍者、コザルと一緒か。
オレ、コザルけっこう好き」
「いつの間にかコザルさんと仲良くなったんだ?」
「うん、コザルいつもかくれんぼして遊んでくれる。
目じゃ見つけ辛いところにいつも隠れてる。
オレ鼻で見つける。
アイツすごいビックリする。
メッチャおもしろい」
あー、別に遊んでくれてるワケじゃないと思うけど。
まーいーや。
名前:タマモ
種族:亜人/従魔
冒険者LV:25
体力:400
魔力:325
攻撃力:225
魔法攻撃力:150
防御力:200
魔法防御力:163
行動速度:210
職業
斧戦士 ランク2
忍者 ランク1
スキル
特殊攻撃
猛り打ち ランク1
攻撃回避上昇
種族特性
マヒの遠吠え
変身
分身
じゃあもう一個、職業Ⅲは取っておこう。
様子見してから。
名前:みみっくちゃん
種族:亜人モドキ/従魔モドキ
冒険者LV:26
体力:598
魔力:780
攻撃力:156
魔法攻撃力:355
防御力:299
魔法防御力:390
行動速度:104
職業
運び人モドキ ランク2
魔術師モドキ ランク2
スキル
特殊攻撃
丸呑み ランク3
魔術
水属性 ランク1
風属性 ランク1
木属性 ランク2
種族特性
体内収納(中)
変形
「ミミックチャンはLVが25を越えました」
「職業Ⅲを習得できます」
選択肢は多い。
隠者、賢者、祓魔師、闘士、軽戦士、軍師、衛兵、斥候、罠師、盗人、闘士、治療師、神官、暗器使い、野伏、吟遊詩人………
気になるのはやっぱり、隠者、賢者、祓魔師。
この辺は魔術師の上級職くさい。
定番の賢者。
普通ゲームやアニメだと魔術のスペシャリスト、魔法使う人の頂点だ。
その一方で仏教なんかだと大したことない人の意味だったりする。
仏教だとその上は聖者。
賢者とは頭いいけど聖者にはなれない人の事なのだ。
ショウマはフツーの知識は少なくても、その手の中二マインドが引っかかる知識は意外と有る。
学校にまともに行かずネット検索してたのはダテじゃないのだ。
とは言ってもネット検索してたのなんて大分前。
どこまで記憶が正しいやらだ。
隠者。
正確な意味は知らない。
タロット占いで有名だよね、ハーミットってヤツ。
名前的に少しトキメク。
実力はあるのに隠れて生きてる人。
いいじゃん。
ショウマもなりたい。
流行りのスローライフじゃないの。
祓魔師。
名前のトキメキ度で言ったら一番上だ。
そのままマンガの主役張れる。
でもなー。
ショウマは少し検索したコト有る。
本家キリスト教に実際に有った職業。
でも大した事無いのだ。
スペシャリストとかじゃない。
教会で職務に当たる人、その中の下っ端なのだ。
その上が司祭とかになっていく。
名前だけカッチョイイってヤツだ。
夢を壊された感が有って良く覚えているのである。
まあこの世界はキリスト教じゃない。
職業としても意味合い違うかもしれない。
「みみっくちゃんの希望は?」
「うーん、ここは賢者にしておきましょうかねですよ。安全パイです。完全にハズレって事は無いと思うですよ」
確かに隠者辺りはアヤシイ。
お家に引きこもって外出しなくなるかも。
ヒキコモリモドキのニートモドキ。
それどんなスローライフモドキ?
名前:みみっくちゃん
種族:亜人モドキ/従魔モドキ
冒険者LV:26
体力:598
魔力:780
攻撃力:156
魔法攻撃力:362
防御力:299
魔法防御力:398
行動速度:104
職業
運び人モドキ ランク2
魔術師モドキ ランク2
賢者モドキ ランク1
スキル
特殊攻撃
丸呑み ランク3
魔術
水属性 ランク1
風属性 ランク1
木属性 ランク2
魔力消費減少(小)
種族特性
体内収納(中)
変形
職業に賢者モドキが加わる。
魔法攻撃力、魔法防御力が微増。
大事なのはスキル、魔力消費減少(小)。
多分、魔法を使う時魔力消費が少なくてすむ。
スキルを会得したみみっくちゃんは少し考え込んでる。
どうかした?
「ご主人様、これ覚えてますか」
んがっと取り出したのは薄汚れたローブ。
何だっけ、見た事ある気も。
「『魂のローブ』です」
ああ、“迷う霊魂”戦で手に入ったヤツ。
幽霊みたいなのが持ってた装備。
呪われそうと思って忘れてた。
みみっくちゃんはいつの間にかミチザネに鑑定させたらしい。
魔術師にして商人のミチザネ。
彼は商人のスキル、『鑑定』が使える。
『鑑定』によると『魂のローブ』は魔力消費減少(中)。
キタ!キタキタ!魔力消費減少(中)キター。
これで木属性魔法、バンバン使えるじゃん。
魔法ランク上げだ。
木魔法コンプリート目指そう。
そういや木属性魔法のランク2は何覚えたの?
『眠りの胞子』
効果はまだ分からないけど、普通に考えて魔獣を眠らせるヤツ。
いいじゃん。
便利そう。
「じゃあ、みみっくちゃんが『魂のローブ』使っていいんですね?」
いいよー。
他に魔法使う人いないじゃん。
「ご主人様がいますし、他のみんなだってスキル使います」
僕?
ショウマはだって、魔力が足りないと思ったコト無いし。
他の従魔少女達。
魔法は使わないけど、戦闘スキルは使う。
スキルは魔力を消費するのだ。
けど、魔力が足りなくて不自由と言う話はそんなに聞かない。
「じゃあ本当にみみっくちゃんのでいいんですね」
ん-、何だかやけに慎重じゃない。
「アタリマエですよ。効果(中)の魔法防具です。超絶レア品です。これ一個でお家が建ちます。
ミチザネによると10万Gは下らないです。もしかしたら100万Gいくかもですよ」
「それ幅が大きすぎない?」
「普通売ってないんですよ。持ってるのは帝国軍くらい、皇帝一族くらいなんです。普通の商店で販売した時の価格なんて測りようが無いんですよー」
このローブ一着で10万Gから100万G。
日本円換算で1000万円から1億円。
億!
うひゃー。
何時の間に世の中デフレから脱却したの。
みみっくちゃんでも慎重になる金額か。
「うん。
みみっくちゃんが持ってて」
だってみみっくちゃんじゃ無かったらショウマが着る事になる。
1億だよ。
びびるじゃん。
【次回予告】
修行。意外とまっとうだ。修行所で修行する事で、職業やスキルを手に入れる。
正道とも言える。今まで武道なんて習った事も無かったのに武道家になったり、弓使いの上級職になったりしてた。それよりも自然でまともだ。
「えーー! そんなメンドクサイの。本部って何処に有るの?向こうから導師とか派遣してここで修行つけてくれないの」
次回、ショウマ納得しない。
(ボイスイメージ:銀河万丈(神)でお読みください)
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