戦国時代とは今から約600年前の15世紀終わりから16世紀にかけての時代を指す。
この頃に、大きな力を持って領地を治めていた者たちを戦国大名という。
尾張国(現在の愛知県西部)の織田信長や、駿河国(現在の静岡県)を中心に三国を治めた今川義元なんかがそれに当たる。
この時代は、室町幕府の権威が失墜し政治が不安定だった。そのため各地の有力者が下剋上して戦国大名となることもしばしばあった。
そんな戦国時代に、一人の男子高校生が紛れ込んでいたらどうなっただろう。俺はそんなこと考えたことすらなかった。
俺は木下秀太。16歳の高校一年生。サッカー部に所属していて、エースキッカーでもある。
ある日の帰り道。俺は毎日使う通学路を一人で歩いていた。その時だった。曲がり角を猛スピードで曲がってきた車と正面衝突しそうになった。
死ぬ!……俺はとっさに道の端に飛び込んだ。結構頑張って反応した。
身体が地面とぶつかって痛みが走る。
「いてててて……」
起き上がろうとして手をつくと、なにか変だ。俺が飛び込んだところには全くなかった草が生えているのだ。
「ここ、どこだ?」
俺は全く知らない場所にやってきていて、辺りに人はなくただひたすら田園風景が広がっているだけだった。
いつの間にか来ている服も学校の制服から、麻か何かで作られたボロボロの和服になっていた。
しばらくあっけにとられていると、遠くの方に甲冑をつけた人だかりを見つけた。
軍隊だ。そう思った。その行き先に視線を移してみると、薄っすらと黒いお城が見えた。
え……俺、戦国時代にタイムスリップしちゃった!?
やばいどうしよう。日本語だよな?歴史的に話し方できる?どうやって生きていく?
頭の中にたくさんのクエスチョンマークが浮かび上がってくる。
「あ、そうだ。なんか持ってないかな?」
俺はポケットを漁ってみる。何か硬い感触があった。
「なんだよ。これかぁ」
持っていたのは、スマホとワイヤレス充電器。こんなのこっち世界じゃつかえない……
そう思っていた。しかし、俺のスマホにはWiFiがつながっている事を指す棒が見事に3本とも立っている。
ネットも何の不自由なく使えるし、充電も、バッテリーを太陽光で充電できるので可能。
「え、待って俺最強じゃない?」
突然のタイムスリップによって戦国時代へと送り込まれて、諦めかけていた俺に、一筋の光。いや光が束になって俺に押し寄せてきた。
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